夏に焼きつく不安と決心 -再発 急性期- | 妻と私の異世界生活

妻と私の異世界生活

2020年の春
妻が統合失調症を発症

突然、異世界に放り出された妻と私の闘病記録

急性期、休息期を経て回復期に入り安定したのも束の間、2023年の夏、妊娠発覚と同時に再発

いつかこのブログが誰かの助け舟になります様に。







-統合失調症 再発から1ヶ月半-

-妊娠13w-



担当の助産師さんの計らいで、


1週間早く妊婦健診を受けてきました。











精神科病棟に妻を迎えにいくと、


外出手続き中、


妻は信号待ちのランナーのように、


足踏みをしていました。









トイレ我慢中の妻の癖です。


トイレ行った状態で待ってればいいのに…


妻らしさが出ていました。










ジーンズの後ろポケットから、


妊婦用サプリの袋がはみ出していて、


最近肌身離さず持っているようでした。












「最近何も言わなくてもご飯食べるんです」


「妊婦用サプリも自分で飲んでますよ」


外出前に看護師さんと少し話していましたが、


妻がランニングマン状態だったので、


すぐに院内のトイレに移動しました。










「産婦人科で尿検査あるぞ…」


「え…」


「とりあえずお茶飲んどくしかないな」


「飲む」










家に帰り少しして、


産婦人科のある総合病院に行きました。









受付を済ませ尿検査、


「なんとかなった」


担当の助産師に呼ばれ、


血圧、体重測定、むくみチェックをしました。









「身体の変化、腹痛や出血はありますか?」


「ないです」


「心境の変化はありますか?」


「前とは少し違います、心配です」









意味深な返答だなと横で聞いていましたが、


「そうですよね」


「今日はじっくりエコー見ましょう」


「はい、わかりました」


受け答えは前よりできてきたなと、


私は私で妻を健診している気分でした。


体重も1kg増えていてご飯頑張っているんだなと、


そんな気持ちでみていました。













診察室に通され、


妊娠13週目、今日からお腹でエコーみますね」


先生は早速エコーに取りかかりました。


妻は前回より落ち着いていました。









「いいですねー」


「頭、鼻、口、手、足、心臓、順調ですよ」


「はい」


いろんな角度から何回も、


妻と私に赤ちゃんの状態を見せてくれました。









検索魔と化していた私は、


エコーの見方や所見は一通り調べていたので、


何となく順調そうなのはわかりました。









言われたサイズ感や頭の大きさも、


13週の平均値くらいだなと思い、


よく言われる12週の壁も越えたのだと、


少しほっとしました。










妻はただじっと画面を見つめていて、


妻より私の方が動揺してたのかもしれません。









先生はさらに、


出生前診断を控えた私達に、


「一般的に染色体異常がある場合は」


「この辺り、首から腰に浮腫がでやすいです」


「この子の場合は浮腫はでてませんし」


「まだ小さいですが鼻もこれかな」


そんな感じに説明してくれました。









妻は健診後、


先生や助産師さんに何度も、


「ありがとうございました」


と言っていました。


「もしNIPTで何かあればすぐ連絡ください


そう言われて診察室を後にしました。










待合で待っていると、


妊婦さん達がいかに様々な心境かがわかります。


弾むように笑顔で歩く方、


涙を浮かべておられる方もおり、


喜びや悲しみが交差した空間です。









妻はまだ表情がつくれない状況で、


はたからみたら哀しそうに見えたと思います。









私達以外はほとんど1人で来ており、


妊婦さん達は病院では1人で健診の不安と、


向き合わないといけないんだなと、


そう感じました。










妊婦健診休暇なるものを作り、


夫婦で健診を受けられる世の中の方が、


きっと孤独感や不安を解消できるのでは…









そんな事を考えていると妻が急に、


「色々と普通にやってくれありがとう」


「え?どういうこと?」


「普通じゃない事、普通にやってくれて」


「ありがとう」









妻がそんな事を考えているとは、


びっくりしました。









今年の夏は例年にもなく真夏日が続き、


再発がいつ起きてもおかしくないという事実、


妊娠という今後の人生を左右する出来事、


不安と決心が同時に心に焼きつきました。










食欲の秋、


帰りにとんかつ屋に行きました。


季節感など失ってるはずの妻ですが、


定食を私より早く食べ終わり、


おかわりしたキャベツも食べ、


最後にサプリをお茶で流し込んでいました。


その単純さに、妻の強さを感じました。




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