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-統合失調症 再発から1ヶ月半-
-妊娠10w-
市役所にて妻の障害年金の手続き、
初診の病院と今の病院が違うため、
初診証明(受診状況等証明書)が必要でした。
初診の病院に電話で依頼すると、
「当院では患者様同席でないと書けません」
「入院中であれば外出してください」
そう言われました。
市役所の担当者も、
ソーシャルワーカーさんも、
そんなことあります?となっていましたが、
病院によっては仕方ないとのことでした。
入院担当の先生は、
「ちょうど仕事が始まる前でよかったです」
「外泊で様子を見て欲しかったところです」
という事で妻の外泊となりました。
初日の妻は終始、幻聴を気にしていました。
私の問いかけには2回に1回答える程度、
あとは幻聴に夢中でした。
食材がなかったので外食に行きましたが、
妻はおしゃれをするわけでもなく、
病院で着ていたよれよれ服のまま、
曇ったメガネにボサボサの髪の毛でした。
途切れ途切れの会話と元気のない私達2人、
周りにいた若者達も、
ドリンクバーを取りに行く度に、
妻や私の方をちらちら見ていました。
本来の妻のポテンシャルの高さを、
若者に自慢したい気持ちでいると妻が急に、
「私さ、頑張ろうと思うんだ」
「ん?何を?」
何故かそこで会話は途切れました。
夜は妻がご飯を作ると言い出し、
スーパーに買い出しに行きました。
買い出しを終え車に戻ると、
妻は目を瞑り深呼吸をしていました。
幻聴や妄想も口に出さないように、
必死で自分を抑えているように見えました。
きっと妻はこの外泊を、
退院への試験だと思ってるのだろう。
そう思うと少し切なくなりました。
無理してでも平然を装い、
手足の震えや不安も隠そうとしているのが、
見ているとよく分かりました。
ご飯も全盛期のように沢山食べていました。
翌朝は少し幻聴から離れた感じで、
会話が前日よりはスムーズでした。
初診証明も一緒に貰いに行く事ができました。
外泊の時間も終わりに近づき、
車の中で少し不安そうな顔に戻りかけた時、
「病院でずっと木のベンチに座ってて」
「お尻にアザみたいなんできてるんだよ」
「恥ずかしいよね」
思いっきり引き攣った笑顔で妻が言いました。
笑ってあげるところなのか分からず、
「それなら広間の柔らかそうな所に座れば?」
と真面目に返してしまいました。
「あそこちょっと緊張するから」
「それならベットの上の方がマシかもよ?」
「悪化したらつらいやん」
「まぁ…そうなんだけどね…」
そんな会話をしながら、
時間通り病棟に妻を送り、
名残惜しく別れた後、
私は看護師さんに呼ばれ別室へ移動しました。
「どうでした?退院できそうですか?」
「頑張っていたので可哀想ですが」
「退院には少し早すぎるかもしれません」
前回の退院後の悪化を考えた上で、
看護師さんに詳しく状況を報告しました。
しばらく経った帰り際、
ガラス越しに病棟内を見ると、
妻が広間にポツンと座っていました。
「いや、素直すぎるやろ…」
思わず独り言を言ってしまいました。
何かを頑張ろうとする妻の姿は、
哀愁があり悲しくも映りましたが、
私も頑張ろうと言う気持ちにはなれました。