素直すぎる妻の哀愁 -再発 急性期- | 妻と私の異世界生活

妻と私の異世界生活

2020年の春
妻が統合失調症を発症

突然、異世界に放り出された妻と私の闘病記録

急性期、休息期を経て回復期に入り安定したのも束の間、2023年の夏、妊娠発覚と同時に再発

いつかこのブログが誰かの助け舟になります様に。







-統合失調症 再発から1ヶ月半-
-妊娠10w-


市役所にて妻の障害年金の手続き、

初診の病院と今の病院が違うため、

初診証明(受診状況等証明書)が必要でした。









初診の病院に電話で依頼すると、

「当院では患者様同席でないと書けません」

「入院中であれば外出してください」

そう言われました。








市役所の担当者も、

ソーシャルワーカーさんも、

そんなことあります?となっていましたが、

病院によっては仕方ないとのことでした。









入院担当の先生は、

「ちょうど仕事が始まる前でよかったです」

「外泊で様子を見て欲しかったところです」

という事で妻の外泊となりました。









初日の妻は終始、幻聴を気にしていました。

私の問いかけには2回に1回答える程度、

あとは幻聴に夢中でした。









食材がなかったので外食に行きましたが、

妻はおしゃれをするわけでもなく、

病院で着ていたよれよれ服のまま、

曇ったメガネにボサボサの髪の毛でした。









途切れ途切れの会話と元気のない私達2人、

周りにいた若者達も、

ドリンクバーを取りに行く度に、

妻や私の方をちらちら見ていました。









本来の妻のポテンシャルの高さを、

若者に自慢したい気持ちでいると妻が急に、

「私さ、頑張ろうと思うんだ」

「ん?何を?」

何故かそこで会話は途切れました。









夜は妻がご飯を作ると言い出し、

スーパーに買い出しに行きました。

買い出しを終え車に戻ると、

妻は目を瞑り深呼吸をしていました。









幻聴や妄想も口に出さないように、

必死で自分を抑えているように見えました。









きっと妻はこの外泊を、

退院への試験だと思ってるのだろう。

そう思うと少し切なくなりました。









無理してでも平然を装い、

手足の震えや不安も隠そうとしているのが、

見ているとよく分かりました。

ご飯も全盛期のように沢山食べていました。









翌朝は少し幻聴から離れた感じで、

会話が前日よりはスムーズでした。

初診証明も一緒に貰いに行く事ができました。









外泊の時間も終わりに近づき、

車の中で少し不安そうな顔に戻りかけた時、

「病院でずっと木のベンチに座ってて」

「お尻にアザみたいなんできてるんだよ」

「恥ずかしいよね」

思いっきり引き攣った笑顔で妻が言いました。








笑ってあげるところなのか分からず、

「それなら広間の柔らかそうな所に座れば?」

と真面目に返してしまいました。










「あそこちょっと緊張するから」

「それならベットの上の方がマシかもよ?」

「悪化したらつらいやん」

「まぁ…そうなんだけどね…」










そんな会話をしながら、

時間通り病棟に妻を送り、

名残惜しく別れた後、

私は看護師さんに呼ばれ別室へ移動しました。








「どうでした?退院できそうですか?」

「頑張っていたので可哀想ですが」

「退院には少し早すぎるかもしれません」

前回の退院後の悪化を考えた上で、

看護師さんに詳しく状況を報告しました。










しばらく経った帰り際、

ガラス越しに病棟内を見ると、

妻が広間にポツンと座っていました。









「いや、素直すぎるやろ…」

思わず独り言を言ってしまいました。









何かを頑張ろうとする妻の姿は、

哀愁があり悲しくも映りましたが、

私も頑張ろうと言う気持ちにはなれました。


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