
2024年9月28日18時公演
ベジャール・バレエ来日。
日本が大好きだったというコンテンポラリーバレエの巨匠、モーリス・ベジャールがローザンヌに設立したカンパニー。その昔は「王立モネ ベルギーなんとかバレエ」だったと思う。多分王室の支援を受けたカンパニーに、ベジャールはいたんだろう。
一番有名なのはなんといっても「ボレロ」(ラヴェル)だと思う。バレエ観たことない人でも、さすがに舞台芸術に関心ある向きは音楽はご存じであろう。今風にいえば「ミニマル・ミュージック」の走りかなあ。
踊った人はたくさんいるだろうが、やはりジョルジュ・ドン!
ベジャールとドンはこの作品で不朽の名声を得た。
この日のプログラム的には
「だから踊ろう…!」(ジル・ロマン)
「2人のためのアダジオ」(ベジャール)
「コンセルト・アン・レ」(ベジャール)
で、
「ボレロ」
と続くわけなのです。が…。
ここはボレロの語りにしよう。
(コンセルトなんて、センターのダンサーが3回も誰にも分かるバランスを崩したしなー久しぶりにこんなの観たわ…)
ボレロの「メロディ」はエリザベット・ロス。
彼女を特別好きとかそうでもないとか、そんなことは置いといて、やはりこれ作品で語るべきものなんだと思います。
クラシックバレエは男性と女性が役でぴしっと分かれていて、使われるテクニックと評価されるポイントも異なる(と、思います)。
コンテンポラリーダンスはその辺のボーダーがぼやけてきていて、初演とは違う性別の(優秀な)ダンサーが踊ってもオッケーなものもあるのかも…しれません。まあ、リフト多用とかだと無理かもしれないけどね。
そしてこの「ボレロ」は、メロディと呼ばれるセンターダンサーは男女どちらでもよく、純粋に踊り手としての剥き出しの力量を評価される。
たいそう珍しい演目です。
振り付け的にはとっても難しいわけではないらしい…なので、いっそう。
この「海から上がってきた海女」を見てインスパイアされたという名作を、どう踊るのか。
15分ほどほぼ一人きりでテーブルの上に立ち、数千の視線を浴びながら、観客を惹き付けて魅了してよそ見をさせない力があるのか。
舞踊って、なんなのか。
ダンスが上手いとかどうとか、舞台観て感想書くのにも、こういうのを生で観てねーと、ちょっとだけ、思う。
エリザベット・ロスは御年55歳。まったくそんな感じしないし、抑制の効いたセンター感はきっと彼女の持ち味なんだろう。
非常な長身なので男性の中に混じっても見劣りせず、このへんも中性的でぴったり。
そしてやはり…ヨーロッパのダンサーが「リズム」(群舞)を踊ると派手ですねー。華やか。
身体が大きくて上半身が筋骨隆々なので、それが束になると空間の埋めつくし度合いが違う。
最後にメロディを飲み込むさまも。
これいっちゃおしまいだが、「リズム」は日本人ダンサーは外の人には敵わない…すみません…。
ボレロを観るたびに、ベジャールの天才を思う。
そして生命削って踊っていたジョルジュ・ドンも。
そういう舞台経験を得られたことを、しみじみ幸せだと思わずにはいられない。私が偉いのではない、単に巡り合わせなのだ。