雑話192「ダリの動く絵画…アンダルシアの犬」
シュールレアリスムの代表的な画家であるダリは、まだ駆け出しの頃、学生時代の友であるルイス・ブニュエルと共同で映画を作りました。
「アンダルシアの犬」というタイトルのその作品は、センセーショナルなシーンで有名なシュールレアリスム映画です。
この映画は、二人がダリの故郷カタロニアのフィゲラスで毎朝互いの夢を告白しあうというプロセスの中で原案が練られました。
ダリはこの映画のことを「ダリの動く絵画」だといっていましたが、常に主導的な立場にあったのはブニュエルでした。
「アンダルシアの犬」の1シーン
※主人公がピアノに乗せた驢馬の死体を引いています
ダリは撮影の最終日にスタジオに現われ、有名な二人の神学生とピアノと驢馬の場面に協力しただけだといわれています。
サルバドール・ダリ「大自潰者」1929年
それでも、この映画に登場する様々なオブジェは、その後のダリの絵画の中で「偏執狂的主題」として登場しました。
「アンダルシアの犬」の蟻が湧き出る手の平
例えば、「アンダルシアの犬」と同年に描かれた「大自潰者」における、腹部にありを集まらせた驢馬と女性の結合した軟らかい生物、「記憶の残像」の融け出した時計を背負った驢馬などは、初期のダリの重要なもち札の一つとなりました。
上の「大自潰者」の驢馬と女性の結合した生物の腹部
※蟻が湧き出ています
最初の上映会で、ブニュエルは怒った観客の攻撃に備えて、ポケットに小石をぎっしり詰め込み、投石の機会を狙っていたそうですが、「アンダルシアの犬」はシューレアリストの強い支持を受け、二人のパリへの移住を決定的なものにしました。
ダリはフィルムが秋に一般公開された期間に初めて個展を開き、一挙にシュールレアリスムの画家としてスター的存在になりました。
ブニュエルもド・ノワイユ子爵という篤志家の援助によって次回作への道が開かれることになりました。
さて、この映画は、正直なところ、ほとんどの人にとってあまり面白くないでしょう。
主人公は登場してすぐに死んでしまいます。
その次の場面にもなぜか登場していますが…。
作品全体を通して、若い男女が仲良くしたり喧嘩したりを繰り返しているだけで、ストーリーらしいストーリーはなく、騒動の合間に突如ショッキングなシーンが脈絡もなく介入してきます。
ダリも神学生(右側)として登場しています。
まさにシュールレアリスム的ともいえるのですが、観るものにとっては狐につままれたようなものでしょう。
この映画を実際にご覧になりたい場合は、無料の動画サイトでも見ることができますので、「アンダルシアの犬」か「Un Chien Andalou」で検索してみてください。
「アンダルシアの犬」の女性が眼球を剃刀で斬られるシーン
※この後のショットで、剃刀が眼球を斬ります。
もちろん本物ではありませんが、相当グロテスクです!
なお、冒頭の眼球をカミソリで切るシーンは、かなり衝撃的です。心臓の弱い方はご注意ください。







