雑話193「シャガールのキャラクター」
日本でも人気の高いシャガールですが、彼の絵画の魅力の一つは、画面に散りばめられた個性的なキャラクターたちです。
「愛」をテーマにした作品が多い中、恋人たちや花束の周りには、いつも牡牛や鳥、魚などの動物たちや、バイオリン弾きや天使が、故郷の街やパリ風景の上を飛び回っています。
マルク・シャガール「エッフェル塔の新郎新婦」1939年
シャガール自身は典型的な彼の作品のキャラクターについて以下のように述べています。
わたしが牡牛、乳絞り女、雄鶏、地方のロシア的建築物を基本的な要素として用いたのは、それらが私が生まれ育った環境の一部であり、疑いもなくわたしのこれまでのあらゆる体験の視覚的記憶に深い刻印を残しているからです。
(中略)・・・生まれた場所のある種の本質、ある種の<香気>は、その画家の作品に染み込んでいます。
つまり、彼の作品を構成する魅力的なキャラクターたちは、シャガールが幼いころ過ごしたロシアのユダヤ人居住区での生活の中で実際に見たものに触発されているのです。
マルク・シャガール「私と村」1911年
さらに興味深いのは、その使い方です。
愛情豊かな人間と動物の交流、動物から人間へのあるいはその逆のたえざる変身、まったくシャガール固有の神話的動物群の創造-翼のある魚、樹上の驢馬、ヴァイオリンを弾く雄鶏、花嫁を抱きしめる緑色の山羊-は見るものに快い刺激を与えます。
マルク・シャガール「時は岸のない川」1930-39年
何を象徴しているか明白な場合もありますが、多様な解釈が可能であり、最終的には画家自身も意図しなかったと思われる解釈に行き当たってしまう場合もあったようです。
そんなシャガールのキャラクターについてよく言われることは、それが彼自身の象徴であるということです。
マルク・シャガール「楽園から追放されるアダムとイヴ」1961年
例えば、彼の驢馬は翼をつけていようといまいが、大概は画家自身だといわれています。
「楽園から追放されるアダムとイヴ」の中の驢馬の頭をもつ鶏?
動物的な欲情に我を忘れたシャガールといってもよいのですが、しばしば雲の中に逆さまに描かれています。




