絵画BLOG-フランス印象派 知得雑話 -83ページ目

雑話195「L.H.O.O.Q.」

下の絵は、マルセル・デュシャンの「L.H.O.O.Q.」という作品です。


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マルセル・デュシャン「L.H.O.O.Q.」1919年

どう見ても、レオナルド・ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」のようにしか見えませんが、彼女の顔をよく見ると、あろうことか、髭が描かれているではありませんか?!


まるで、子供の落書きのようですが、もちろんこの髭を生やした「モナ・リザ」は単なる悪戯ではありません。


私たちが普段「モナ・リザ」と呼んでいるものは、写真図版や絵葉書になった「モナ・リザ」のコピーにほかなりません。


本来、「作品」とは、手仕事的「芸術」、人間の英知を結集してできた成果のはずです。


しかし、写真図版などのコピーが「作品」として語られることによって、「作品」という概念が揺らいでしまいました。イメージが現実を凌駕しているのです。


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髭の生えた「モナ・リザ」は、そのようなイメージの独裁を告発すると同時に、「作品」という概念の終焉を予告しているのです。


さて、この変わった作品の題名として、「L.H.O.O.Q.」という意味不明のアルファベットの羅列がつけられています。


何かの略語のように見えますが、これらのアルファベットをフランス語で読むと「エル・アッシュ・オ・オ・キュ」となります。


それらを続けて読むと「エラショオキュ」となり、これは「彼女の尻は熱い (Elle a chaud au cul)と同じ発音になるのです。


実は、フランス語で「お尻が熱い」とは、「性的に興奮している」ことを意味します。


欲求不満となっている「モナ・リザ」は、自分自身(作品)にもっと注目してほしいとでも熱望しているのでしょうか?