雑話54「セザンヌとキュビスム①」
先々週のブログでキュビスムの一派であるドローネーをご紹介しましたが、ここではまだキュビスムについて触れたことがありませんでした。
そこで、今週から2週に渡ってキュビスムについて、お話したいと思います。
ただ、印象派のブログとしては、難解なキュビスムの説明に終始するのではなく、印象派との関係が深いセザンヌの絵画とキュビスムの発明に関わるお話をご紹介することで、取っつき難いイメージのあるキュビスムに少しでも親しみを持っていただけたらいいというスタンスで臨みたいと思います。
さて、下の絵は最も有名なキュビスム絵画の一つと言われている作品です。
ジョルジュ・ブラック「ポルトガル人」1911年
モノトーンの画面には四角や台形の断片や単語らしきものの一部などが散らばっているだけで、何を描いているのかわからないですね。
これを見れば、キュビズムは難解すぎてよく分からないし、何がいいのかも分からないといった意見になるのもうなずけます。
また、この作品からセザンヌの絵画との関連性などどこにもないように思えます。
ところが、キュビスムはセザンヌの絵画論から発展したもので、それはセザンヌが語ったと伝えられる以下の言葉に表されていると言われているのです。
”自然を円筒形と球形と円錐形によって扱い、すべてを的確な遠近法のなかに置き、物体と面のすべての側面が中心点に向かうようにしなさい。”
確かに初期のキュビスム絵画には円筒や円錐が良く出てきますし、これを聞いて納得しやすいですね。
パブロ・ピカソ「テーブルの上のパンと果物皿」1908-09年
しかし、実際のセザンヌの考えも、キュビスム絵画におけるセザンヌの応用もそれだけではありませんでした。
セザンヌは、この世界を横への広がりと奥行きとの間を常に揺れ動いていると知覚しており、その揺れ動きのダイナミズムを絵画上で捉えようとしました。
そうした彼の奥行きへのこだわりは、作品に驚くべき密度とエネルギーを生み出しました。
ポール・セザンヌ「りんごと桃のある静物」1905年頃
例えば、上の「りんごと桃のある静物」ではカーテンの折れ具合が奥行き感を作り出していますが、その柄のためにカーテンは奥行き感がなく、見る人のほうに向かってくるようにも見えます。
また、敢えてテーブルやその他のモチーフを前と左に傾けて描いているために、表面と奥行きとの間で物体は互いに押し合ったり、引き合ったりする効果を生み出しています。
その②に続く