雑話56「版画もバブル?」
ここ数年は、美術品のオークションでの最高落札価格が毎年のように更新されています。(雑話22参照)
有効な投資対象が見つけにくい中、一部の投資マネーが美術市場に流れ込み、バブルを引き起こしているとも言われています。
パブロ・ピカソ「ヌード・観葉植物と胸像」1932年
現在、オークションで落札された最も高価な絵画
現在の絵画の最高落札価格は昨年の5月にピカソの作品で記録された約101億円(1億650万ドル)ですが、版画の価格ならどのくらいになるのでしょう。
実は昨年の9月にピカソの版画作品における最高落札価格が記録されました。
それは「ミノタウロマキア」と題された1935年作のエッチングで、その額なんと約1億7500万円(127万ポンド)。
パブロ・ピカソ「ミノタウロマキア」1935年
20世紀の最も重要な版画作品の一つであり、ピカソの版画作品の頂点ともいえるものだとか。
また、かなり希少な作品で、ほとんどが美術館や収集家の永久コレクションに入ってしまっていて、市場に出てくることはほとんどないそうです。
では、ピカソの作品に限らないで、もっとも高額で落札された版画作品は何なのでしょう。
調べてみると、2007年に落札されたエドヴァルド・ムンクの「ヴァンパイアⅡ」と言うリトグラフと木版の技術を使った作品が当時の最高落札価格を記録したそうです。
エドヴァルド・ムンク「ヴァンパイアⅡ」1895-1902年
ムンクの版画と言えば、昨年の7月にロンドンのオークションで落札された「マドンナ」という手彩色の作品が1億7150万円でロンドンにおける版画の最高落札価格を更新したところです。
エドヴァルド・ムンク「マドンナ」1895年
どちらもかなり希少な作品と言うことですが、気になるのは版画の最高落札記録です。
最高落札価格は1180万NOK(ノルウェークローネ)で、当時のポンド換算だと、約125万6千ポンド(約1億7200万円)になります。
しかし、これでは前述のピカソの「ミノタウロマキア」の方が高額になってしまいます。
他により高額で落札された版画が出た可能性もありますが、おそらくこの作品が現時点の版画の最高落札記録を持つ作品ということになります。
油彩でも版画でもオークションの最高落札価格を更新したピカソ!
この不況もどこ吹く風といった感じで、本当に強いですね!
前回のブログでもピカソがその画業の初期に取り組んだキュビスムをご紹介しましたが、これからしばらくは美術業界もピカソを中心に回っていくのは間違いなく、このブログでも彼を取り上げる機会が多くなることでしょう。