実は最近のラジオ事情って全く知らなかったのですが、「スーパーヘテロダイン +アナログ復調」と言うオーソドックスなタイプのラジオ以外に、「ダイレクトコンバージョン(DC) + デジタル(DSP)復調」と言う方式のラジオが非常に多く出回っているのには驚きました。しかも、DC+DSPラジオ専用のICも安価にいろいろと出回ってるんですね。

 

 勉強のため、aitendoが販売している M6952v2と言う基板(AKC6952搭載)を購入し、FMラジオを作ってみることにしました。2 x 3 cm 程度の大きさの基板で、680円でした。

 

 左上にある 2SK192 使用のプリアンプ/プリセレクターは、考えただけで今回は作っていません。右側のM6952v2は、心臓部のIC(AKC6952)に水晶振動子などの必要最低限の周辺部品が組み込まれた、aitendoの基板です。中波AM放送も聞けるのですが、今回は作動の勉強だけですので、FM専用機にしました。

 チューニングは、バリコンではなく電圧制御です。ダイレクトコンバージョンですから、受信と同じ周波数を作る VCOなのでしょう。チューニング用50kΩVRのマイナス側に15kΩの抵抗で下駄をはかせているのは、FM受信の下限を70MHzから76MHzに引き上げ、選局しやすくする方法です。JA1AYO 丹羽OM が M6952(旧バージョン)の活用記事を書かれており、その中で提案されている方法を試させていただきました。(丹羽OMと言えば、ボクの子供の頃にCQ誌とかで多くの電子工作の記事を書いておられ、勉強させてもらった懐かしいお名前です。)

 今回は実用性を判断するだけの試作なので、30円ほどのプラケースに入れました。子供の頃、ゲルマニウム・ラジオを作ったのを思い出します。

 

 余談ですが、ボクの実家のある大阪南部の小さい街には、朝日放送ABCラジオと毎日放送MBSラジオの送信所(送信塔)があり、ゲルマニウム・ラジオで深夜放送を聞いたものです。50年くらい前の話です。

 本題に戻りますが、このFMラジオ、結構実用になりそうです。心臓部の AKC6952/DSP6952 の資料にはAF特性125Hz~4.5kHz(-6dB)と書いてある(と思う:中国語)ので、低域・高域が不足するかと思っていましたが、ヘッドフォンで聞く限りこれはこれで十分な気がします。(ボクは老人なので可聴周波数範囲はかなり狭いと思いますが:笑)

 1mほどのビニール線をアンテナにしてますが、多くのFM局が聞こえます。感度良好で、プリアンプは必要なさそうです。チューニングの感じがアナログラジオとは違いますね。スケルチがかかってる感じでしょうか。

 

 今回、このラジオを作ってみてとても勉強になりました。LC同調回路を全く使わないラジオ、驚きです。中波AM放送や、ICによっては短波AM放送にも対応しているものもあります。USB接続してPCで復調の制御をするタイプでは、SSBの復調や簡易スペアナ表示までできるものもあるようです。安価なので、いろいろ試してみたい気持ちがムクムクと湧いてきました。

 

【追記】

 デジタルアンプ(TPA3116 + LM1036)とスピーカー(BOSE 101MM)につないで、FMチューナーとしての使い心地を試していますが、良好です。BGMのFM放送として、音域が狭いとは感じません。北摂にあるマンション3Fのベランダに簡易ダイポールを張って受信可能な局を調べました。強弱はありますが、多くの受信が確認できました。(76.5MHz FM cocolo、78.7MHz FM西ノ宮、79.4MHz FM伊丹、80.2MHz FM 802、81.6MHz FM箕面、82.0MHz FM尼崎、83.MHz FM宝塚、85.1MHz FM大阪、86.5MHz NHK神戸FM、88.1MHz NHK大阪FM、89.9MHz KISS FM 神戸、90.6MHz MBSラジオ、91.9MHz ラジオ大阪) この試作機のままで、PCラックにしばらく居座りそうですびっくり

 

1) FMチューナー 作ってみる 本稿

2) FMチューナー グレードアップ

3) FMチューナー 一応完成

4) FMチューナー 追補版

●  テーマ別:ラジオ