神様の値段:戦力外捜査官2 読了。
↓神様の値段:戦力外捜査官2
え~、私、1巻目の 戦力外捜査官 姫デカ・海月千波 を読んだ時の感想に、下記のようなことを書いていたんですね。(戦力外捜査官 姫デカ・海月千波 読了 参照)
『特にヒロインの「例え話を入れた説明が、ド下手」という設定が、効果を上げていた。
ミステリーでは、探偵役が全てを見通していたとしても、クライマックスまではなかなかそれを語らない。周囲の人間が「説明してくれ」と途中で問うと「まだ推理に必要なピースが完全に揃っていないんだ。それが揃うまでは説明できない」みたいに答えてはぐらかす。 これって、探偵、性格悪い と捉えられても仕方がない。 その点この作品の「探偵役が説明しても周囲が混乱するだけ。しかし本人はいたって真面目」というのは、新鮮に感じた。』
で、今回2巻目を読んで……見事にこれは、裏切られました(笑)。
いや、別に、この設定が消えたわけではなく、本編中でも少しギャグシーンでやるのですが、あまり前面に出てくる要素ではなくなったようです。
相棒である設楽巡査も、もう海月が人並外れた頭脳の持ち主であることは分かっているので、1巻目と比べて、かなり彼女を見る目に変化が起こっているように読めます。
それは読者も同様で、2巻目となると、もう「ただのドジっ娘」としては見れなくなってしまうんですね。 作者もその辺りが分かっているのか、むしろ読者の予想を超えて
「海月は、全て計算ずくで動いている」面を強調。
それは、想像以上にドライで、冷酷とも捉えられかねない程に。
もちろん、そんな彼女が、ちゃんと他人に対しての優しさを見せる辺りで、キャラを冷徹にしないようにしていますが。
海月の可愛らしさは、どうやら 極度の運動音痴 の方で描いていくようです。
現場でのドジが原因で、4件続けて起こった連続放火事件の捜査から外されてしまった設楽と海月のコンビ。
が、そんな設楽を監視する謎の人物。 海月の機転で監視者を誘い出し、捕らえることに成功するが、以外にもその正体は公安の刑事であった。
なぜ設楽巡査は監視対象となったのか? それは、彼の妹の未来が、ある新興宗教団体の信者であり、その宗教団体=宇宙神瞠会が、今度の連続放火事件にかかわっているのでは? という疑いがあったからだ。
設楽は驚き、妹を追及するが、彼女はすっかり会の教えに心酔しており、最早会話がまともに成立しないレベルであった。
やがて、その宇宙神瞠会が、どうやら「ハルマゲドン」なる、大規模なテロを計画しているらしいことが分かり……。
設楽の妹:未来が、カルト宗教にハマっていく過程などは割と丁寧に描写され、「実際、カルトにハマる人ってこんな感じで信じて、かつ、抜けられなくなていくのかなぁ」と、納得させられてしまう説得力アリ。
また、彼女が「重要な儀式だから」と言われ、どこか嫌悪感を感じつつ、されるがままに教祖に処女を奪われてしまい、それを悲しいと思っても、そんなことを口にすることもできない、といったあたりは、かなり胸糞悪くなる展開で、宇宙神瞠会の「悪」ぶりが際立ちます。
中盤、教団内に入り込んでいたスパイの正体がばれそうになる辺りは、実にスリリングで、読みごたえ抜群。
そして何と言っても、
大規模テロに立ち向かう人々の活躍を描いたクライマックスは、
もの凄く盛り上がる!
1巻目もそうでしたが、こちらの期待以上に事件がどんどんスケールアップしていく様は、読んでいて実に気持ちがいい。
3巻目以降も、読んでいきたいと思います。