小説 新昆類 (15-2) 【第1回日経小説大賞第1次予選落選】
戦争の限界をヒロシマ・ナガサキの人々は身をもって体験した。その想像力・シミュレ
ーションは、世界と地球と人間の終わりに限りなく近づき、われわれの破滅を予感する。
侵略戦争を推進した日本帝国の帝都であり、日本システムの中心地であった東京は、ヒロ
シマ・ナガサキ・オキナワの破滅を体験していない。B二九の空襲により十万人の住民
が殺されたが、皇居の森と中心地は焼けることはなかった。下町に爆弾は計画的に落とさ
れた。ヒットラーは自殺とげたが、昭和天皇は一九八九年まで生き延びた。そして帝都東
京はベルリンの荒廃と悲しみを体験していない。帝都東京が体験したのは空襲と敗戦後の
飢えである食欲としての「物欲」だ。
民衆の血は流れたが、システム設定者の自己遺伝子と模倣子は血を流していない。その
経験はベルリンではなく、ドイツの空爆によって一定程度破壊されたロンドンの体験であ
り、ドイツ軍の占領を受けたパリの体験である。そのパリであれ解放後、ドイツ軍兵士と
関係をもった女性は、頭髪を刈られ街頭で糾弾され引き回されたのだ。ののしられる女性
も指弾する側も精神の血はどくどくと流れていた。そのような不条理な体験から、人間の
本性を冷酷にみすえたイデオロギーは生まれる。フランス哲学はドイツ軍占領の時代ファ
シズムへのレジスタンス・パルチザン都市ゲリラ戦争の体験によって、抵抗としての実存
主義を表出する。すでに人間の不条理・不均衡をみすえながら。ナチス・ファシズム体制
にからめとられていった詩人と思想者のドイツ哲学は、敗戦後、沈黙する。
「君たち日本人は、日本の戦争犯罪よりも、ドイツの戦争犯罪の知識欲に熱心だね」
このようなわれわれに対するドイツ人の皮肉には根拠がある。イタリアはファシズムと
レジスタンスによる内戦を経験した。そして北部は連合軍にたよらず自主解放した。ミラ
ノ広場で独裁者は民衆によって処刑された。
ファシズム同盟、イタリアとドイツは血を流し総括したが、日本はついに総括できなか
った、これが「失われた九十年代」の骨格である。
【第1回日本経済新聞小説大賞(2006年度)第1次予選落選】
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- ジル ドゥルーズ, Gilles Deleuze, 木田 元, 財津 理
- 経験論と主体性―ヒュームにおける人間的自然についての試論
- 日沖 隆, 川合 英治
- 子どもの手を返せ―主体性を育てるモノ作り
- 平松 松平
- 新世紀を生き抜くために―私の主体性論
- 川出 由己
- 生物記号論―主体性の生物学
- 高村 健一郎
- 日本の塩とたばこ―産業の自立と主体性を求めて
- 玄 〓沢
- 民族的主体性とは何か
- 埴谷 雄高
- 死霊〈2〉
- 埴谷 雄高
- 埴谷雄高全集〈3〉
- 高橋 和巳, 埴谷 雄高, 川西 政明
- 日本の悪霊―高橋和巳コレクション〈9〉
- 埴谷 雄高
- 死霊九章
- 埴谷 雄高
- 死霊〈3〉
- 埴谷 雄高
- 死霊〈1〉
- 埴谷 雄高, NHK
- 埴谷雄高・独白「死霊」の世界
- 高橋 和巳, 埴谷 雄高, 川西 政明
- 我が心は石にあらず―高橋和巳コレクション〈8〉
- 大岡 昇平, 佐々木 基一, 埴谷 雄高, 花田 清輝, 平野 謙, 谷崎 潤一郎
- 性の追求
- 埴谷 雄高, 立花 隆
- 無限の相のもとに
- 埴谷 雄高
- 埴谷雄高全集〈別巻〉資料集・復刻 死霊
- 埴谷 雄高, 吉本 隆明
- 意識 革命 宇宙
- デイヴィッド ハルバースタム, David Halberstam, 金子 宣子
- ザ・フィフティーズ〈第2部〉1950年代アメリカの光と影
- 赤塚 不二夫
- 1950年代 オンデマンド版 [コミック]
- ピート ダニエル, Pete Daniel, 前田 絢子
- 失われた革命―1950年代のアメリカ南部
- 中村 隆英, 宮崎 正康
- 過渡期としての1950年代
- 泉 麻人
- 50・60年代
- 有賀 夏紀, 能登路 雅子
- 史料で読むアメリカ文化史〈4〉アメリカの世紀―一九二〇年代‐一九五〇年代
- 広川 禎秀, 山田 敬男
- 戦後社会運動史論―1950年代を中心に
- J.ウォーリー ヒギンズ, J.Wally Higgins, 窪田 太郎
- 発掘カラー写真 1950・1960年代鉄道原風景 海外編
- 日本劇作家協会
- 現代日本の劇作〈第8巻〉1950年代
- U.K.STOREROOM
- モダンアンティーク・テーブルウエア―1950~70年代イギリスのかわいい食器たち
- クライスティア フリーランド, Chrystia Freeland, 角田 安正, 吉弘 健二, 松 代助
- 世紀の売却―第二のロシア革命の内幕
- 久保 慶一
- 引き裂かれた国家―旧ユーゴ地域の民主化と民族問題
- 里見 常吉, 鈴木 利大, 秋元 明, 土屋 光芳
- 民主化と市場経済化―中国・ロシア・東欧
- ミルチャ エリアーデ, Mircea Eliade, 住谷 春也, 直野 敦
- エリアーデ幻想小説全集〈第1巻〉1936‐1955
- ミルチャ エリアーデ, Mircea Eliade, 住谷 春也
- 妖精たちの夜〈1〉
- みや こうせい
- ルーマニア賛歌―Europe of Europe
- みや こうせい
- ルーマニアの赤い薔薇
- 早坂 隆
- ルーマニア・マンホール生活者たちの記録
- イオン・M・パチェパ, 住谷 春也
- 赤い王朝―チャウシェスク独裁政権の内幕
- 菊地 秀行
- 吸血鬼幻想―ドラキュラ王国へ
- Elizabeth A. Brown, 嘉門 安雄, エリザベス・A. ブラウン
- ブランクーシのフォトグラフ
- 有楽 彰展, 嶋田 純子
- 小説 東京アンダーグラウンド〈3〉真夏のレジスタンス
- アルベール シャンボン, Albert Chambon, 福元 啓二郎
- 仏レジスタンスの真実―神話・伝説・タブーの終わり
- 北原 敦
- イタリア現代史研究
- 早乙女 勝元
- イタリア・パルチザン
- ヤン テッター, Jan Tetter, 足達 和子
- ドイツ侵攻とポーランド農民ドゥジマーワ―第一次世界大戦前のレジスタンス
- 柄谷 行人, 岩井 克人
- 終りなき世界―90年代の論理
- 宮沢 邦子, 現代女性作家研究会
- 90年代・女が拓く
- 吉田 実香, デビット・G. インバー, David G. Imber
- 90年代アメリカ話題の作家&BOOK
小説 新昆類 (16) 【第1回日経小説大賞第1次予選落選】
大日本帝国・帝都東京は、日本国の首都東京に変貌しても、律令制度のシステムは保守
しきる。朝鮮戦争に突入する前夜、占領軍によるレッドパージ政策に寄生して、敗戦後に
高揚した民衆の変革の要求とたたかいを封じ込め動物的本能である自己遺伝子と模倣子は、
朝鮮戦争という他者の犠牲の上に成立する経済復興によって、再度、政界・財界・官界に
おいて復活する。
解体されたかにみえた財閥銀行は、朝鮮戦争による収益によって、金融という血管をは
りめぐらし、死んだかにみえた系列の巨人体をよみがえらせるのである。一九九二年、U
SAによって批判されている日本市場の不透明、持ち合い株制度、系列という独占体質は、
朝鮮戦争において形成される。さらに下向すれば大東亜戦争総力戦経済体制であり、さら
に下向すれば明治初期に出発する国家官僚主導による資本主義の律令制度的形成にまでた
どりつく。
日本の資本主義とはアングロサクソン的な自然発生的に生成してきた市場経済ではない。
律令制度システムによる統制によって自然生成してきた資本主義である。ゆえにスターリ
ン資本主義となる。
スターリンは孤独であり誰も信用せず、彼が主体化したのはマルクス主義の前提である
ヨーロッパ哲学史・ヨーロッパ経済学史ではなく、ロシア皇帝政治警察との死闘の体験で
ある。革命者は逆説的に政治警察との死闘により政治としての民衆支配方法を学ぶ。なぜ
か? 十九世紀は個人の世紀であったが、二十世紀は組織の世紀となったからだ。組織と
は組織との死闘により建設される。スターリンは流刑地のシベリヤから歩いてモスクワに
戻ってきたという英雄伝説がある。
スターリンは政治警察との死闘に打ち勝ったが、逆に皇帝ツアー政治警察のウィルスに
感染し、ロシア皇帝の自己遺伝子と模倣子はスターリンの体内に浸入した。民族の牢獄を
スターリンはウィルスの進化として、ソビエト連邦として再編した。これがスターリン民
族主義の理性と正義であった。
革命による反革命の悲劇はなにゆえ起きるのか? それは革命戦争が政治警察やあるい
は軍隊により、民衆から引き離され、孤立した空間に封じ込められることにより、革命者
に民衆不信あるいは他者不信を引き出しながら、政治警察のウィルスは革命者の模倣子に
浸入する、こうして自己遺伝子は革命が成功した後に再起動する。歴史とは動物的本能と
しての自己遺伝子と模倣子の反復である。模倣子こそは自己遺伝子と往復する回路として
の衝動であり、シミュレーション、構想力であろう。
地方自治国を認めた封建幕藩体制を打倒し、律令制度の反復としてあった日本の明治体
制の成立と近代の出発。明治十四年の政変で、イギリス・USA型の資本主義国家を志向し
ていた筆頭参議大隈重信と福沢諭吉の勢力が、政府から追放され、伊藤博文・山県有朋の
長州が勝利し、プロシア型国家官僚システムによる資本主義ー富国強兵戦略が選択される。
自由民権運動は粉砕され天皇絶対主義システムが古代より再起動する。古代天皇制を自壊
させたのは後醍醐天皇の野望としての鎌倉幕府つぶしだったが、後醍醐天皇まで退行した
のであり、足利尊氏は逆臣となった。「天皇の世は千年そして八千年続け、太古のさざれ
石に苔がむすように永遠なれ」これが国歌であり日本国是の誕生。
革命と反革命が二重言語として一体になり進行する、これが明治維新としての革命であ
り反革命であった。ゆえに論理と倫理は沈黙し、アンダーグランドへ押しやられるのであ
る。
「建前」と「本音」、「近代」と「封建」この二重言語とはいかに自然生成し、天皇制
を廃棄すれば自己そのものが崩壊するという恐怖が、自己遺伝子と模倣子から突き上げて
くる。言葉は二重に引き裂かれ、言葉は自己から離れ、自己の体験と歴史は沈殿する泥と
なる。日本の根幹に迫り「日本イデオロギー論」を現出した戸坂潤は近代の牢獄で殺され
た。日本とは何か、その根幹をデジタルワールドに移植する作業とは、明文化することで
ある。デジタルワールドの出現とは、地球資源の限界が一九七〇年、ローマにおいて資本
主義の危機として宣言されたことに出発する。資本主義は無限に拡張していく運動である。
月に行ってみたが、月とは資本主義が展開できる場所ではないことが冷厳な事実として
USAに突きつけられる。そこで宇宙進出競争で発展したコンピュータ・ネットワークに
おけるデジタルワールドが選択された。資本主義はデジタルワールドにおいて無限的な運
動をしていくことができる。資本主義崩壊の回避としてデジタルワールドは七十年代に選
択された。しかしここでは裸体のごとくにされる。情報とは裸体である。曖昧な日本の二
重言語は通用しない。日本自己遺伝子と模倣子はデジタルワールドによって裸体にされて
いくのだろうか? 資本主義は暗闇市場を嫌うのだ。
数々の妨害にあいケネディは民主党大会において大統領候補指名を勝ち取る。それまで
大統領は二期八年、第二次世界大戦ヨーロッパを解放したアイゼンハウアー将軍だった。
その副大統領として支えたのがニクソンである。一九六〇年の大統領選挙においてケネデ
ィは、アイゼンハウアーの弟子ニクソンに勝利した。世界はこうしてファシズムに勝利し
た世界大戦の英雄物語から機軸が転回した。これがUSAが存続できるかをめぐる危機感
である。このときクリントンとゴアは中学生だった。そのニューフロンティア戦闘精神と
しての自己遺伝子と模倣子は彼らに継承される。これがイデオロギーである。
一方、一九六〇年の日本総理大臣といえば、満州国建設者A級戦犯岸信介である。世界
の機軸がいかにあたらしく変わろうと日本は変わらず、天皇制のごとく狡猾に生き延びて
いけ、これが一九五五年吉田茂が創設した自民党の自己遺伝子と模倣子。その国家官僚と
の合体権力構造は四十五年間一貫として変わらず継承されてきた。隣国である韓国との政
治史との対比をみれば、日本がいかに現状維持であったかが明確になる。
六〇年安保をめぐる闘争の季節は同時に、エネルギー基幹産業の転換としてもあった。
石炭から石油への機軸転換である。石炭つぶしに抗拒したのが九州・三池闘争であった。
労働と資本の総対決として現出した。しかし政治において新安保条約は成立し、エネルギ
ー産業は石炭から石油へと一挙に転覆された。わたしも中学校までのストーブは石炭だっ
たが、六八年高校へ入学すると石油に変わっていた。政治における永久保守国家官僚独裁
政権現状維持(保守)と経済産業における革命、これが自民党独裁政権下における生活
であり、民衆の労働と生活は不断にあたらしい経済への適用へと追いやられていく。これ
が経済における革命と競争である。庶民はとにかくいそがしい生活なのだ。新時代になん
としても適用すべく明日に追われ行く効率への道である。これが高度経済成長を実現した。
一九六〇年安保闘争による世論をおさめるべく岸信介が退陣し、池田隼人が新総理大臣
になる、彼のブレーンによって国民統合のプログラムが準備された。所得倍増計画である。
「政治革命から経済革命へ」高度経済成長戦略の機軸価値観。労働者は安保闘争と三井三
池闘争から職場に戻った。企業内労働運動、労働組合は自分の賃金をアップするだけでよ
しとする、生活向上委員会に変節していった。動物的本能である「商」の自己遺伝子と模
倣子が反復する。政治はUSAとケネディにまかせ、自分たちはそのすきに世界市場へと
のりだしていく。USA賛美論が巻き起こり、テレビ番組はUSAから提供されたドラマ
番組。ハリウッド映画が日本映画を市場において駆逐する。
CIA極東委員会による、「文化においてUSAの自己遺伝子と模倣子を浸入させ拡張
させる」「USAの文化生活が世界の規格となる」スポーツ・スクーリン・セックスの三
S政策の全面展開が、六十年安保闘争による反USA意識の現出に対応する答えであった。
「政治と文化はUSAにまかせ、日本はひたすら労働せよ」これが世界戦略に組み込まれ
た高度経済成長の六十年代であろう。しかし六三年十一月、ケネディ大統領の暗殺は、日
本の民衆に再度、USAへの不安をかきたてた。「やはりアメリカは爆撃機B29で空襲
し原爆を落とした恐ろしい国なのだ」つねに日本民衆からよみがえってくるのは戦争犠牲
の記憶。これがUSAと日本の複合意識として奥底に起動している。USAにとってはい
つ日本が真珠湾攻撃をしかけてくるのかわからないという恐れである。
九一年湾岸戦争で起動したのは、日本民衆にとって、B29による空爆の記憶である。
USAの財政赤字・貿易赤字そして経済の停滞をもってUSA帝国主義の没落を八十年代
から「アメちゃん」などとやゆしていた日本民衆は、湾岸戦争のリアルタイム映像に動転
する。判断能力は喪失し、続いて北欧三国の独立からついにソビエト連邦の消滅。九二年
十一月には四十代の若さでクリントンとゴアがケネディ大統領の再現を果す。USAのニ
ューフロンティア戦闘精神が再起動する。自己遺伝子と模倣子の再起動周波数は三十年で
ある。
【第1回日経小説大賞第1次予選落選】
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- アイ・ヴィー・シー
- 僕の村は戦場だった
- アイ・ヴィー・シー
- ストーカー
- アイ・ヴィー・シー
- 惑星ソラリス
- アイ・ヴィー・シー
- 鏡
- アイ・ヴィー・シー
- アンドレイ・ルブリョフ
- アイ・ヴィー・シー
- ローラーとバイオリン
- 紀伊國屋書店
- サクリファイス
- アイ・ヴィー・シー
- 惑星ソラリス
- アイ・ヴィー・シー
- ストーカー
- ジェネオン エンタテインメント
- ノスタルジア
- アイ・ヴィー・シー
- 河は呼んでる
- アイ・ヴィー・シー
- 鏡【デジタル完全復元版】
- 若菜 薫
- 聖タルコフスキー―時のミラージュ
- 馬場 広信
- タルコフスキー映画―永遠への郷愁
- 馬場 朝子
- タルコフスキー―若き日、亡命、そして死
- 吉本 隆明, 吉本隆明研究会
- 吉本隆明が語る戦後55年〈1〉60年安保闘争と『試行』創刊前後
- 林 紘義
- 哀惜の樺美智子―60年安保闘争獄中記
- 成田 知巳, 高沢 寅男
- 安保体制と70年闘争 (1969年)
- 古川 隆久, 永 六輔, 佐々木 毅, 瀬戸内 寂聴
- 昭和ニッポン―一億二千万人の映像 (第10巻)
- 埴谷 雄高
- 埴谷雄高全集〈9〉影絵の時代
- 季節編集委員会
- 未完の意志―「資料」六〇年安保闘争と第一次ブント (1985年)
- 東映
- 安保闘争から所得倍増へ
- エドワード ラジンスキー, Edvard Radzinsky, 工藤 精一郎
- 赤いツァーリ―スターリン、封印された生涯〈上〉
- 田中 克彦
- 「スターリン言語学」精読
- ヴェルナー マーザー, Werner Maser, 守屋 純
- ヒトラーVS.スターリン 独ソ開戦―盟約から破約へ
- 亀山 郁夫
- 熱狂とユーフォリア―スターリン学のための序章
- 小沼 堅司
- ユートピアの鎖―全体主義の歴史経験
- ペーター ゴシュトニー, Peter Gosztony, 守屋 純
- スターリンの外人部隊―独ソの狭間で翻弄された「赤い外国軍」の実像
- 亀山 郁夫
- 磔のロシア―スターリンと芸術家たち
- ルドルフ シュトレビンガー, Rudolf Str¨obinger, 守屋 純
- 赤軍大粛清―20世紀最大の謀略 将校大量殺戳の謎に潜むスターリンの狂気とヒトラーの陰謀
- 佐々木 力, 桑野 隆, 山本 義隆
- 物理学者ランダウ―スターリン体制への叛逆
- グレイム ギル, Graeme Gill, 内田 健二
- スターリニズム
- ジョン ケイシー, John Casey
- アメリカ新進作家傑作選〈2004〉
- 長谷川 毅
- 暗闘―スターリン、トルーマンと日本降伏
- 秋野 豊
- 偽りの同盟―チャーチルとスターリンの間
- クリストファー シルヴェスター, Christopher Silvester, 新庄 哲夫
- インタヴューズ〈2〉スターリンからジョン・レノンまで
- 渓内 謙
- 上からの革命―スターリン主義の源流
- アイノ クーシネン, Aino Kuusinen, 坂内 知子
- 革命の堕天使たち―回想のスターリン時代
- 山崎 正純
- 戦後“在日”文学論―アジア論批評の射程
- マイク モラスキー, Michael S. Molasky
- 戦後日本のジャズ文化―映画・文学・アングラ
- 谷川 俊太郎, 城戸 朱理, 野村 喜和夫
- 戦後名詩選〈2〉
- 木下 順二
- 木下順二集
- 賀川 真也子
- 京都戦後文学史ノート
- 桝井 英人
- 「国語力」観の変遷―戦後国語教育を通して
- 辻 昭三
- 失格の国語教育―戦後最大の失敗
- 紀田 順一郎
- 戦後創成期ミステリ日記
- 早坂 暁, 佐高 信
- 夢千代日記―戦後ニッポンを読む
- 尾形 明子, 長谷川 啓
- 戦後の出発と女性文学 (第1巻)
- 花田 清輝
- 花田清輝集
小説 新昆類 (17) 【第1回日経小説大賞第1次予選落選】
わたしはなぜ六〇年の類似を、一九九二年の十一月に気づかなかったのだろう。ケネデ
ィが大統領に当選した六〇年十一月、世界はキューバ革命に代表されるごとく、中国革命
からアジア・アフリカ諸国の独立の嵐だった。八九年革命も冷戦という四十五年間にわた
る世界大戦を終焉させ、独立国をソビエト連邦から誕生させた。帝国主義としてあったソ
ビエト連邦はアフガニスタン侵略戦争の泥沼を背負い自壊する、もう一方の帝国主義とし
てあったUSAは、長期冷戦大戦の終結をみすえ、地域覇権として登場するイラクを世界
へのみせしめとして各個撃破したのである。
九一年一月、湾岸戦争に衝撃を受けたわたしは、九二年まで判断停止・思考停止という
自失と絶望にあった。現状を理解するためには過去の類似をみよ、という思想の原点に無
知だったのである。なによりも思想とは個人による作業であり、過去との対話であること
に勇気をもって踏み出すことができなかった。高度経済成長価値観によって教育されたわ
たしは、世界の変化を理解することができなかったふるいタイプの人間であった。おしよ
せる天皇結婚式祝祭と圧倒的な日本回帰に思想として反発し、七十年代以来の日本批判精
神の一点を死守することに精一杯だった。
高度経済成長をなしとげた日本イデオロギーあるいは日本哲学は「商」の自己遺伝子で
あり模倣子である。それは十七世紀西ヨーロッパによって形成された世界システムと世界
市場から身をかくすことによって自然生成した。徳川幕藩体制三百年間にわたり「商」の
哲学は熟成した。支配階級としての武士は藩を持ち暴力武装を私有化する官僚であり、
「商」は士農工商の最低身分制度に甘んじて、権威にすりよることによって生き延び財を
構築したのである。都市の市場と群れに目立たず埋もれ、したたかに狡猾に「商」の自己
遺伝子は進化し模倣子は拡張していく。
三井・住友・三菱といった明治近代に表出する国家資本主義を体現する独占系列機関、
その数字人間たちの背骨と哲学、徳川幕藩体制の場所に蓄積されてきた実践的イデオロギ
ーにこそ日本資本主義の強さが内包し存在すると言われてきた。七十年代においては経団
連システム設定者たち大企業の社長とか社長たちは、住宅街につつしみふかく生活してき
た。八十年代にふってわいたボウフラとは自己遺伝子の質が違うのである。
日本資本の数字人間の実践的イデオロギーと組織戦略指導主体は、個人において質を放
出する西ヨーロッパやUSAアングロサクソン的あるいはプロテスタンシティズムな資本
の明確な身分差、階級的な富のイデオロギーとは違っていたかにみえた。法人資本主義の
個を捨て組織のノルマ数字達成に生きる集団的数字闘争による場の独占をめざす拡張主義
の日本的経営は西洋(EC、USA)の経営者たちをおびやかしてきた。世界市場から身
をかくすことによって、三百年間という子宮によって形成された日本主義の自己遺伝子
は世界市場のウィルスとして、EC・USA・アジアから知覚される。
人は己の肉体をむしばむウィルスが発見されれば、己の肉体と空間からウィルスを排除
し、ウィルスとの戦争を開始するのは必然。こうして特許戦争USA独占禁止法の日本適
用、規格戦争は表出する。
経団連のシステム設定者たちは、それが己の会社でないかぎり、法人資本主義の組織か
ら離れると、個人として富はのこらない。富はどこまでも企業体としての法人資本主義組
織に保持されなければならない。しかし日本システム設定者たちはシナリオを操作してき
た者・富のネットワークを形成する族であることにかわりはない。日本が世界の金持ち国
家として世界に表出した八十年代、とくに円高ドル安の八五年プラザ合意移行、バブル形
成によって、持たざる者と持てる者との階層は明確に分裂した。
こうして日本システムはUSA金融ネットワークを中核とする世界システムによって、
おだてられ、うまくのせられ、八五年移行のバブルを形成するのである。特徴的にはイギ
リス・サッチャー、USA・レーガン、日本・中曽根がおしすすめた国家政治経済体制が
ある。いわゆる金への貪欲、裕福な人々が自分の所有する富を自分だけのために拡張せん
と疾走する病気である。こうして社会性が喪失し、人々は金銭第一主義となり「金食えば
金が成るなりお札かな」の成金となった。
中曽根がやったことは八五年体制と称して、社会の壊滅である。陰謀集団とくんで、成
田空港のゼネコン大規模工事、国鉄民営化分割によるバブル土地の発生、NTT民営化に
よる株投機へのあおり、すべて成金主義の土壌はサッチャー経済とレーガノミクスを模倣
した中曽根によって自然生成した。資本主義そのものをかれらは国家によって破壊した。
成金主義の日本と正義の人々との闘争こそ八十年代にほかならない。まさに機軸をめぐる
内戦であったのである。八十年代におけるゲリラ・パルチザン戦の炸裂はそれを物語るだ
ろう。しかし多くの人々は株をもち、土地を持つ成金主義へと転向していった。金こそが
成功であると。ゆえに八十年代とは壮絶なイデオロギー戦争であった。価値観と人間の死
生観をめぐる機軸転回であったが、多くの国民は金と成功を選択した。国家と結託し国民
は社会の破壊をおのれの自由意思で選択したことを、わすれてはならないだろう。八七年
多くの国鉄労働者が自殺をとげた。九十年代の日本とは死者たちを愚弄し汚辱した上に成
立したシステムであった。その社会はやがて復讐の女神によって覆されるだろう。
日本資本主義の自己遺伝子は徳川幕藩体制以来、進化し上昇してきた数字の臨界点に世
界システムによって押し上げられ、世界市場のウィルスとして変貌をとげる。第二次世界
大戦による敗戦、形式としてのUSAから外部注入されたアングロサクソン型市場経済と
平等主義、公平なルールにもとづく数の闘争としての民主主義。日本システムにとってこ
うした連合軍による構造改革は世界市場への絶好の機会をあたえた。資本主義がより発展
するためには、明治近代に形成された天皇家を頂点とした地主制度は世界市場に通用する
ことがない桎梏なシステムだった。
フィリピン経済がいまなおテイクオフできないのは、多国籍企業による支配が原因であ
るが、主体的要素は強力な地主制度にある。八六年の民主主義革命として表出した地主階
級のアキノ政権でもっとしても土地革命はいまだにやりとげることができなかった。土地
を地主から農民のものとする土地革命は、ロシア革命、中国革命、キューバ革命を例にあ
げても革命そのものとしてなしとげられる。日本システムは己が血を流すことなくUSA
にシステムの書き換えを代行させたのである。こうして日本イデオロギーあるいは日本哲
学の「商」の自己遺伝子は、本来のエネルギーを具現する実践的空間をわがものとした。
世界市場への再起動は目の前にあった。
機略と狡猾にとんだ日本イデオロギーの自己遺伝子は、将軍家と武士天皇家と軍人、U
SAと日本官僚にそのつど権威の対象をすりかえながら他者と自己をだましだまされなが
ら変貌をとげる。明治近代成立以降、日清戦争・日露戦争の勝利によって、おのれを一等
国民として放漫に朝鮮半島から中国大陸へ侵略し、満州国を世界をだましながらつくりあ
げ、フィリピンから東南アジアへと拡張欲望を表出し、他者の空間を踏み荒らした土足の
血液主義は自然発生的な臣民の爆発的エネルギ-。それが敗北するや否や、臣民から国民
への平等主義をUSA軍という解放軍からもらいうけ、本来の姿にもどれる幸福を手にす
る。日本国民にとってUSA軍はまぎれもなく天皇軍国から自由にしてくれた解放軍であ
った。その神話が労働運動史上、初めてであり終わりであった日本労働者階級のゼネスト
を自壊させるにいたる。
大日本帝国最後の天皇による政令が外国人登録法であった。こうして日本システム成員
たちはまず、強制労働にあった在日朝鮮人・中国人労働者の反乱をおさえると同時に、今
度はUSA軍を利用し、日本労働者階級の反乱をつぶすことに成功したのである。レッド
パージ政策と重なるように戦争犯罪者たちは日本システムネットワークに復帰する。その
とき、臣民の圧倒的多数者はUSA軍による占領の幸福をかみしめ酔いしれて、生活のエ
ネルギーにばく進していたに違いない。朝鮮戦争は隣国の地では残酷に血を流し人々を引
き離す悲しみに満ちた光景であったが、日本は経済復興による明るいエネルギーと興奮だ
ったのである。
自由と経済復興の明るさの前では、おのれが犯した侵略戦争と殺人犯罪を告白する理由
はない。暗いものは隠し通さねばならぬ。過去にこだわる者は乗り遅れてしまう。大日本
帝国の敗北と侵略戦争の罪はすべてかつての軍隊の上層部にあるとする国民的合意が強力
に形成され、とどのつまり、天皇とわれわれ国民は軍部にだまされていたのだと、罪の意
識といまいましい過去から解放され、「商」の自己遺伝子をおのれの模倣子とする。成長
神話はこうして軍事組織から経済組織へと転回する。この変貌こそが原光景である。
ヒロシマ・ナガサキの実態をUSA軍とともに隠そうとしたシステム成員たちは大日本
帝国の敗北を総括し自己改造したとはいえない。自己改革とは主体がまたはシステムを構
成する人間が血を流すということである。すべて軍部の責任とした日本システム成員たち
は、プロシア型国家資本主義から、アングロサクソン・USA型資本主義にのりかえたに
過ぎなかった。日本経済自己遺伝子はUSA型資本主義にのろかえたに過ぎなかった。ア
メリカ産業の品質管理、技術、ビジネス、思考方法をエネルギッシュに学習し、模倣子は
アメリカをめざしていく。こうして日本システムその組織が事実として戦略が根底から敗
北したのだという、戦争産業総力戦組織は突きつめて総括されることなく、大日本帝国の
時代はノスタルジアの氾濫として、ロマン主義に回収されてきた。これが日本イデオロギ
ーの本性である。イタリア・ドイツとの格差がここにある。
【第1回日本経済新聞小説大賞(2006年度)第1次予選落選】
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- 神聖ローマ帝国 1495‐1806
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- F.ポール ウィルスン, F.Paul Wilson, 大瀧 啓裕
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- 有機合成の戦略―逆合成のノウハウ
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- リスボンの小さな死〈上〉
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- 始末屋ジャック 見えない敵〈上〉
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- 教師キャロルの記憶
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- 虚飾の果てに
小説 新昆類 (18) 【第1回日経小説大賞第1次予選落選】
自己と他者をだます、おどろくべき能力を持った機略と陰謀と狡猾にとんだ動物的本能
である。関係を利用することをもって生き延びる者は、おのれの貌をしらなければ他者も
しらない。人間関係が恐ろしいものであるように、国家と国家の関係も恐ろしいのである。
天皇を頂点にとした大日本帝国の軍事戦略は東アジア全体に戦線をのばす。その結果、
植民地においては民族解放闘争のゲリラ・パルチザン戦争に悩まされ、中国戦線では毛沢
東の持久戦争によって、広大な中国のふところ深くひきづられ、伸びきった戦線はズタズ
タに切断され敗北する。そして東南アジア戦線においては、USA海軍によって、まず海
軍が壊滅させられ、島・陸地の陣地はひとつひとつ戦略的に奪還され、ついに海軍と陸軍
は日本列島まで後退させられ封じこめられていく。アングロサクソンの軍隊はドイツ軍を
壊滅させたヨーロッパ戦線においてもそうであるが、敵の戦略的陣地をひとつひとつ徹底
的に容赦なく壊滅撃破し、一歩一歩勝利を積み重ねていくのである。その勝利への執念と
リアリズムこそ、おそれるべきである。中国戦線の日本軍兵士は生き延び本土に帰れたが、
東南アジア戦線の日本軍兵士は海と陸において、九十%が戦死した。オキナワ戦の実態を
みても、アングロサクソンの軍隊とは封じ込めによる各個撃破戦略である。本土決戦を経
験しなかった日本は、おそるべき世界史と他者を発見できなかった。
ニューヨーク株価一九二〇年代とプラザ合意・八五年九月主要五カ国蔵相・中央銀行総
裁会議・G5によるドル高是正の合意。各国の協調介入の結果、ドル相場が急落し、円高
不況の懸念から日銀は公正歩合を再三引き下げた。長期の低金利でだぶついた資金が株や
土地投機に大量に流れ込み、バブルを形成した、紙幣印刷機経済である。円は紙となって
空から落ちてきた。
レーガノミックスと呼ばれたレーガン経済政策は、高金利設定でドル相場をあげていく
金融ゲーム政策であり、これと連動したのがサッチャーと中曽根である。列島金融空母
化を中曽根と宮沢は推進した。金融列島改造である。そのために駅の土地を資本主義に投
げ込むために、国鉄を民営化しNTT株でもうけるためにNTTを民営化したのである。
八五年からの株価グラフはニューヨーク一九二〇年代株価の模倣子となった。八九年十
二月二十九日、三万八千九百十五円を頂点に一挙に下降する。九〇年十月一日、二万二百
二十一円となり、一九九二年四月九日には、一万六千五百九十八円となった。一九二〇年
代の模倣子たる日本が死んだ日である。この資本主義の死を隠してきたのが重心なき九十
年代の浮かれた構造であろう。資本主義とは生産と破壊の反復としてある。これこそが消
費。生産様式の消費と破壊として経済戦争はあり、資本主義の前衛こそが数字である。庶
民的なバブル空間は九十年代に入ってからであった。
日本の過去が主体的に問われはじめたのは、六〇年安保闘争の挫折と敗北からである。
革命的左翼の登場による帝国主義分析からであった。歴史的自己批判は敗戦から25年を
得て登場した。それまでの運動は日本国民が戦争の犠牲者であった、ふたたび戦争の惨禍
はもうたくさんだ、という反戦意識であった。六五年、戦争賠償金を問わない日本に都合
がいい、日韓条約に反対する学生運動から、日本帝国主義批判が登場する、そこで、侵略
戦争の主体的内省が開始されていった。そこから沖縄問題が連鎖していった。自己否定の
課題が問題意識にのぼる。
スチューデント・パワーとしての世界的連関、九七年、中国における文化革命と紅衛兵
運動、USAにおけるベトナム反戦運動と人種差別撤廃運動の高揚、六八年・パリ五月革
命、日本における学園闘争と青年労働者による反戦運動、韓国の民主化闘争、これらが世
界的に連関していった。日本にとわれたのは七〇年に現出した出入国管理法上程をめぐる、
侵略戦争への主体的自己批判だった。自己と日本現代史への根底的批判は九八年から開始
されたのだが、日本システムは全力をあげて壊滅するのである。
日本は民衆の時間とシステム成員たちの時間は決定的に分裂している。民衆の時間の現
実はみすぼらしい。絶望と無力と悔恨と敗北が連続が生活である。敗戦後から今日まで、
システム成員たちは民衆の時間と空間を奪い貧しくみすぼらしくすることをもって、おの
れの自己実現・欲望達成の操作可能な空間を占有してきた。おのれの思考とアイデアが実
現することは人間にとって快楽である。そうした快楽をシステム成員たちは、世界に隠れ
ながら市場・空間・情報を私有化することでもって、わがものを謳歌してきた。株食えば
金が成るなり法政治。
同じ日本語を話ながら、システム成員たちと民衆は別人種。感受性、思考、行動様式、
生活様式は決定的に違う。民衆の物語と現実はあってはならぬものとして、その表出と歴
史的空間は殺され、機略と狡猾と言語操作とフレームアップにとんだ、システム成員たち
の列島空間は全面転回として表出する。それはさらに民衆の時間を悲劇の空間に閉じこめ
る。民衆の物語は俳句・短歌といった詩的運動に表出するが、その感受性が詩的武装にと
ぎすまれ、能動的な論理と悪魔のごとき執念で地獄から立ち上がり、システムの物語と貌
をはぎとり暴露することは困難である。
八五年体制としてあったプラザ合意は日本を金融大国として、世界に押し上げる。関心
のまなざしが他者によって日本にそそがれる。八十年代後半からシステム成員たちの物語
は、USA・西ヨーロッパのジャーナリストたちによって表出した。日本に滞在し彼らは
システム成員たちの物語を、インタヴューと取材によって、その表層と歴史をえぐりだす
ことに成功した。システム成員が白人に対しては無防備だったからである。
白人のジャーナリストは他者としての異邦人の感受性で、日本システムという固有な対
象を分析し思考し論理的に再構成した。日本資本主義の原点が江戸時代にあったことが分
析され、高度成長の原点たる国家資本主義の秘密が権力構造の謎として、満州国を建設し
た統制計画経済にあったことが、暴露される。システム成員たちへの実践的な取材によっ
て。日本のジャーナリストがシステム成員たちに接近しても、彼らは天皇制言語である
「和」の自己遺伝子によって、取り囲まれてしまうか、暴力装置によって排除されてしま
うだろう。システム成員たちが一番おそれているのは、日本住民である。彼らほど、帝国
内の階級構造に敏感な人間はいない。彼らは転覆こそおそれている。ゆえに自国内の批判
勢力としてある革命運動をつぶしてきたのである。転覆されれば明治近代以来の既得権と
再分配同盟が崩壊してしまう。ゆえに八十年代の日本とは場所において分裂していたのだ。
八十年年代のバブルとはレーガン・キンユウゲーム経済の破綻と失敗を救うために、図ら
れたのだが、ついに日本システムそのものを内部から自壊させた。その尖兵となったのが、
労働貴族の典型となった「連合」という陰謀集団である。権力に接近する者は、まずおの
れの出身階級を殺さなくてはならない。八十年代とはまた、壮大なゼロへの転向の季節で
あった。ゆえに個々人のイデオロギーが問われたのである。なぜならイデオロギーとは、
世界をつくる先行として人間存在の原点をめぐる実践の場所から発生するから。これが思
想である。
世界市場の深層に生活する民衆はシステムの表層がみえない。国民国家に閉じ込められ
た民衆とはすでに、感受性・思考・知覚そのものが、だましとみせかけのウィルスによっ
て洗脳されている。国家暴力装置と対決し、存在空間がおびやかされることによって、は
じめて民衆は自分自身が人間であることを発見する。こうして実存者は生まれる。実存者
こそがシステムの表層を発見できる。
民衆の空間は切断されバラバラにされる。敗北したものが「和」のウィルスに感染し、
模倣子に組み込まれたとき、イデオロギーの変節は完成し数字人間の群れは誕生する。数
字こそは空間のウィルスである。システムの深層は唯我となった個人を全体において統合
する。個人はいがみあう関係の破壊からくる、殺意をみせかけのシオテム上にかくす。階
級性を解体された階級の関係は不信がとってかわり、階級を利用するシステム成員たちは
みごとに団結している。マフィアのように。日本システムと徹底対決する武装せる表出者
でないかぎり民衆は他者をとおしてシステムの表層をかろうじて発見できるのである。
ソ連軍をたくみに峡谷におびきよせ、ゲリラ戦によって世界史に登場した一九五二年生
まれのアフガニスタンの指導者マスード司令官は、徹底して毛沢東からフランス・レジス
タンスまで世界の戦略戦術書を学習し、アフガニスタンに実践適用したという。彼は他者
を通してこの地がおのれの主体的実践の場であるアフガニスタンの表層を発見したのであ
る。
中東湾岸戦争でイラクのフセインは神においのりするばかりであった。そこにはもはや
表層をみる力はない。神学の深層がなにか神秘的な力に満ちており奇跡をよびおこし、や
がて勝利するのだという幻想は戦争の前にふきとぶ。戦争の表層と神学の深層は人間の内
部において再構成され再現実される。それぞれが異相の動物的本能であることに気づかぬ
者は交通関係において勝利できない。なぜなら戦争を含めて交通関係とは他者との関係。
人間関係が恐ろしい出来事を表出するがゆえに、われわれは他者から学ぶのである。神学
の深層に逃げこんでも交通関係は何ら解決しない。ゲリラ戦は表層としての空間を問題に
するがゆえに、他者から(それは敵もふくむ)徹底的に学ぶのである。イスラムの神を信
仰するがパレスチナ・ゲリラもアフガン・ゲリラも世界の他者としての表層から学び表出
することによって今日までたたかいぬいてきた。
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- 田村 泰次郎, 秦 昌弘, 尾西 康充
- 田村泰次郎選集 (5)
- 鶴見 俊輔, 鈴木 正, いいだ もも
- 転向再論
- 思想の科学研究会
- 転向〈上〉―共同研究 (1978年)
- 思想の科学研究会
- 転向〈下巻〉―共同研究 (1962年)
- 思想の科学研究会
- 転向〈中巻〉―共同研究 (1960年)
- 吉本 隆明
- わが「転向」
- 植和田 光晴
- R.M.リルケ 言語的転向の軌跡―作品と書簡にたどる
- 中野 重治, 大岡 昇平, 佐々木 基一, 埴谷 雄高, 花田 清輝, 平野 謙
- 革命と転向
- 宮岸 泰治
- 転向とドラマトゥルギー―一九三〇年代の劇作家たち
- 藤田 省三
- 転向の思想史的研究―その一側面 (1975年)
- 藤田 省三
- 転向の思想史的研究
- 長谷川 啓
- 「転向」の明暗―「昭和十年前後」の文学
- 井上 清
- 井上清史論集〈3〉日本の軍国主義
- 鎌倉 孝夫
- 経済危機・その根源―現代金融帝国主義
- 工藤 晃
- 現代帝国主義研究
- 後藤 道夫, 伊藤 正直, 渡辺 治
- 現代帝国主義と世界秩序の再編
- 渡辺 治
- 現代日本の帝国主義化―形成と構造
- 荒巻 義雄
- 帝国の光〈2〉東京帝国主義
- 中西 新太郎, 鷲谷 徹, 木下 武男, 乾 彰夫, 渡辺 治, 後藤 道夫
- 日本社会の再編成と矛盾
- 渡辺 治, 二宮 厚美, 木下 武男, 中西 新太郎, 進藤 兵, 後藤 道夫, 乾 彰夫, 安田 浩
- 日本社会の対抗と構想
- 後藤 道夫, 山科 三郎
- ナショナリズムと戦争
- D.R. ヘッドリク, Daniel R. Headrick, 原田 勝正, 老川 慶喜, 多田 博一, 浜 文章
- 進歩の触手―帝国主義時代の技術移転
- 大内 信也
- 帝国主義日本にNOと言った軍人 水野広徳
- 柳沢 遊, 岡部 牧夫
- 帝国主義と植民地
- 黒瀬 郁二
- 東洋拓殖会社―日本帝国主義とアジア太平洋
- 堀 和生, 中村 哲
- 日本資本主義と朝鮮・台湾―帝国主義下の経済変動
- 武田 晴人
- 帝国主義と民本主義
- マイケル ハドソン, Michael Hudson, 広津 倫子
- 超帝国主義国家アメリカの内幕
- デヴィッド ハーヴェイ, David Harvey, 本橋 哲也
- ニュー・インペリアリズム
- マイケル マン, Michael Mann, 岡本 至
- 論理なき帝国
- ジョン K.クーリー, 平山 健太郎
- 非聖戦―CIAに育てられた反ソ連ゲリラはいかにしてアメリカに牙をむいたか
- 山元 大輔
- 行動を操る遺伝子たち―本能と学習の接点をさぐる
- 山元 大輔
- 本能の分子遺伝学
- W.C. マクグルー, W.C. McGrew, 森 重敏, 金村 美千子, 藤田 主一
- 幼児の行動とその理解―ヒト以外の霊長類の動物の子と比べた園児の行動学的研究
小説 新昆類 (19) 【第1回日経小説大賞第1次予選落選】
二十世紀最後の十年間が九十年代だった。これまで世界というイメージはどこか奇跡
のようにおのれを救ってくれる存在のように思えてきた。第三世界などはもはや存在しな
い。存在するのは、限界・限定・死・閉ざされた地球上に表出するありとあらゆる万物・
万人の表層表出だ。世界のイメージとは、ユダヤ教的世界の旧約聖書、キリスト教世界の
新約聖書、イスラム教的世界のコーラン、仏教的世界の仏典、そしてマルクス主義的世界
の共産党宣言、ロシアマルクス主義世界のインターナショナル、中国マルクス主義世界の
第三世界論(林彪)・ファノン「地に呪われた者」等による帝国主義世界に対する告発の
書によって生成してきた。すでにロシアマルクス主義のインターナショナルと中国マルク
ス主義の第三世界論は消えている。東欧・ソ連邦の自壊によって、第三世界はバラバラと
され、G7・国連安保理を中心とした帝国主義世界システムによって封じ込め各個撃破さ
れているのが今日の表層として進行している。
それが神学としてのユダヤ教・キリスト教・イスラム教であれ、思想の武器としてのマ
ルクス主義方法であれ、民衆のイメージは世界システムとの衝突によって、内部に形成さ
れてきた。抑圧者は抑圧者の世界イメージをもって反乱者を撃破せんとする。それらが世
界イメージの対決として人間の交通関係の表層に出来事としてあらわれる。
EC統合を起因としたブロック経済の闘争と、東欧・ソ連の労働者国家の解体と市場経
済の混乱、国連安保理による世界システムに反抗するものへのみせしめ的各個撃破戦略。
ユーラシア大陸・中央アジアの表出。旧ユーゴスラビア民族内戦。旧ソ連民族内戦。イギ
リスにおける宗教戦争と独立運動の表出。イラク・トルコ・イランにまたがるクルド民族
解放闘争の表出。チベットの局地紛争。ペルーの内戦。これら世界システム経済のブロッ
ク化と宗教戦争もからんだ民族戦争は、近代システムとしての「国民国家」形成以来、世
界イメージとしての外部も内部も解体されたことによって、すべてがありとあらゆるもの
が、近代的枠組みを突き破り、あらたなる中世の乱世に向けて突入している。
世界の外部が解体され死臭をかぎとったのであれば、もはや私の世界・私の内部・私の
深層などは一度崩壊をとげる。乱世の時代においては、私の内部は他者との交通関係をめ
ざし、表現することによってのみ生き延びられる。なにも表現しない私の内部などは、も
はや死体そのもの。もはや外部としての世界も内部としての世界も存在しない。第一自然
の死とともに世界イメージはみごとに死んだ。
万人の万人よる闘争。たしか哲学者ロックはこう物語る。アングロサクソン・一万年の
問いは、こうして二十世紀最後の十年間を規定する。あらたなる中世と乱世の地球史に
万人の闘争が参入する。日本語によって他者をごまかし、いつのまにか世界市場を占有し
てきた日本システムは、この万人の闘争・あらたなる中世と乱世の前に、戦略的無準備性
をさらけだし、いまや朝鮮戦争以来のシステムの鉄筋は折れ、コンクリートにはひびが入
りきしみ音をうなりながら自壊しようとしている。
「歴史の終わり」とあなたが言うように、イデオロギーは終焉をとげたのではない。死
んだのは近代「国民国家」形成以来の世界イメージ。資本主義は外部という敵なしに内部
を形づくることはできない。資本主義の内部こそ国内市場としての「国民国家」である。
「国民国家」を基盤に資本主義は世界市場に挑戦する。その場合、外部とはまだ開発され
ていない領域である。未踏の流域といってよい。さらにはシステムが異質なおのれをおび
やかす存在としての外部、つまり敵が必要となる。敵が存在しなければ資本主義の内部は、
不合理・非理性的な共食いをはじめる。数の獣の手にあけわたすことになる。
市場の見えざる神の手とは、つまり理性のことであるが、この理性は「国民国家」を基
盤にした動物的本能の自己遺伝子と模倣子のことである。資本主義の外部の敵として労働
者国家群は存在した。国内の敵とは資本主義打倒をめざす革命党派・労働運動・企業を告
発する住民運動・国家と対決する運動の存在によって、はじめて資本主義の理性は市場の
見えざる神として自己を保守できる。
資本主義システムの成長と発展のためには、社会主義国家という敵・未踏の領域と異質
なシステムとしての敵がどうしても必要であり、資本主義とは敵なしには自己運動が回転
しない。資本主義とは物質が神である物神による自己運動だからである。おのれの物神シ
ステムをくつがえすイデオロギーと革命勢力が存在してこそ、「国民国家」資本主義の内
部は自然生成できる。
外部としての敵の存在によって資本主義システム成員たちは団結できるし、世界市場に
生成する世界企業・多国籍企業も市場を占有するという新植民地収奪を可能とする。こう
して社会主義なき以後の資本主義は、あらたに敵をシステム設定する。こうして宗教イデ
オロギーと民族イデオロギーが浮上する。資本主義の最終とは個人が国家の敵として設定
されるはずである。たしか中世には暇人を興奮させるための「魔女狩り」というゲームが
あった。宗教戦争として。
やはり資本主義上の映像と表層・最後の人間とは、中世から飛び出す。資本主義の模倣
子は過去を未踏の領域として触媒を延ばした。デジタルワールドの恐竜時代は幕をあける。
興奮と幻滅このゲームこそ、資本主義の動物的本性である。
資本主義とは原理である。ゆえに原理なき場所に資本主義は成立できない。ドイツ観念
哲学の引用者であるあなたは、共産主義が終焉し自由と民主主義の市場経済が勝利し、イ
デオロギーの闘争としてあった歴史は終えたと、高らかに宣言した。ヨーロッパ北方民族
神学としてあるヘーゲルの閉じられた円環にまいもどり。あなたは、いささかも九十年代
を予感させる最後の人間を説明しなかった。
人間の動物本能は洞察し表象する、そして無意味なものに意味をあたえ、世界をつくる、
人間は前世代の到達点から出発する、絶えずあたらしい更新から人間は先行する、これが
人間の存在様式である。ゆえに過去との対話は重要となる。
人間とは出来事を発生させる社会的動物である。出来事は不断に更新される。社会は肉
体である。体は頭脳より先行する。ゆえに社会の出来事は、人間のイメージを不断に超え
ていく。なぜなら、あらかじめ、人間の頭脳はブレーキが資本主義によってかけられてい
るから。資本主義は、なんとか人間を商品にするためやっきになっている。物神だからで
ある。学校とは賃金労働者を規格生産するための工場である。そしてまた資本主義を洞察
する人間の表象行為も工場である。世界はふたつの工場による熾烈なイデオロギー競争。
規格化された日本の多くの人々は個人としての思想が問われたことがない。ゆえに論争
はできない。つまり個人としての綱領が不在なのである。商品への同一化これが人間的内
容を喪失した日本の未来社会である。重心なき。全的滅亡は近い。しかし世界はイデオロ
ギーの力によって、かろうじて成立している。世界をつくる人間は同時に世界からも不断
に問題解決能力をめぐって問われているから。冷戦構造を利用しうまく成金になった日本
はゆえにイデオロギーをおそれている。かれらの価値観は生活向上のために金だけである
と、世界から認識されているから、その洞察をおそれている。つまり日本は個人と人間存
在様式をおそれている。世界をおそれている。自己がうしろめたいからである。ゆえにU
SAの精神奴隷となるしか世界への道はないのである。人間存在様式からはずれた日本は
ゆえに世界から孤立する。彼らの最後の人間とはやはり天皇制に帰還するだろう。あの草
原と丘のふるさとの輝き、白い馬の琴線かなでる子宮へと。
あなたがその言説、ヘーゲル世界精神である自己絶対化がよみがえる。商品は自己完結
しているがゆえに、商品となった市民は自己中心となる。こうして都市に自己中心型人間
は大量生産された商品となってあらわれる。そのイデオロギーは、すでに破綻した効率な
る近代合理主義である。かれらは無意味なものを嫌悪する。自己拡張にとっての意味のみ
を求めているから共有をしならい。しかし資本主義の私有は自壊をとげようとしている。
世界は私有から共有へ転回した。資本主義の自己遺伝子と模倣子は社会主義という敵を喪
失たことにより、デジタルワールドへと先行した。私有ではなく共有をめざすものこそが、
資本として成立できる逆転が開始された。近代とは私的所有の世紀であった。私的所有制
度に基盤をもって資本主義は物神の自己運動を展開してきた。資本主義の自己遺伝子と模
倣子は更新しながら自己運動する半永久革命物神である。ゆえに私有をめざすふるい近代
的合理主義者は、現在の資本主義によって打倒される。こうしてマルクスはデジタルワー
ルドにおいて復活する。終焉したのはマルクス経済ではなく近代経済であることが立ち上
がるだろう。政治においても六〇年安保から四十年間日本国家権力と世界の更新をめぐり、
ソスト書き換えで熾烈に記憶装置の内部でたたかってきた革命的党派がいよいよ本性をみ
せるだろう。誰がシステム設定するのか? 政治さえも私有から共有へ移動している。そ
の意味で湾岸戦争の英雄政権であるブッシュ二世は、二十一世紀ゼロ年代に適用できない
であろう。ブッシュ二世もやはり羊たちの沈黙その犠牲者となるのだろうか? 死神はU
SA最後の人間を発生させる。出来事の特異発生こそが進化論だった。
【第1回日本経済新聞小説大賞(2006年度)第1次予選落選】
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- 佐藤 泰正
- 文学における表層と深層―梅光女学院大学公開講座
- 柴田 久, 斎藤 潮, 土肥 真人, 永橋 為介
- 環境と都市のデザイン―表層を超える試み・参加と景観の交点から
- リヒャルト ディカウ, ヘルムート ザオラー, Richard Dikau, Helmut Saurer, 小口 高, 小口 千明, 小松 安希, 佐藤 一幸
- GISと地球表層環境
- 吉田 忠
- 全集世界の食料世界の農村 (22)
- 大嶋 仁
- 表層意識の都―パリ1991‐1995
- 三重野 卓
- 「生活の質」の意味―成熟社会、その表層と深層へ
- 勘米良 亀齢, 鎮西 清高, 水谷 伸治郎
- 地球表層の物質と環境
- 森村 誠一
- 最後の特攻―人間の剣 昭和動乱編〈2〉
- シルヴィー ジョドー, Sylvie Jaudeau, 金井 裕
- シオラン―あるいは最後の人間
- クロード アヴリーヌ, Claude Aveline, 河盛 好蔵
- 人間最後の言葉
- バルザック, 鹿島 茂, 大矢 タカヤス, 山田 登世子, Balzac, 飯島 耕一
- 娼婦の栄光と悲惨―悪党ヴォートラン最後の変身〈上〉
- よみうりテレビワンダーゾーン
- ワンダーゾーン―人類最後の神秘 人間の謎を追う
- ドラガナ ポポヴィッチ, 北嶋 貴美子, ダニサ マルコヴィッチ, Dragana Popovic, Danica Jankovic Markovic
- ユーゴ内戦後の女たち―その闘いと学び
- 月村 太郎
- ユーゴ内戦―政治リーダーと民族主義
- シェリ フィンク, Sheri Fink, 中谷 和男
- 手術の前に死んでくれたら―ボスニア戦争病院36カ月の記録
- 井上 清
- 日本帝国主義の形成
- J.‐P. サルトル, Jean‐Paul Sartre, 多田 道太郎, 鈴木 道彦, 浦野 衣子, 渡辺 淳, 海老坂 武, 加藤 晴久
- 植民地の問題
- 山本 有造
- 帝国の研究―原理・類型・関係
- 金 洛年
- 日本帝国主義下の朝鮮経済
- 宮本 陽一郎
- モダンの黄昏―帝国主義の改体とポストモダニズムの生成
- 幸徳 秋水, 山泉 進
- 帝国主義
- ジョン トムリンソン, John Tomlinson, 片岡 信
- グローバリゼーション―文化帝国主義を超えて
- J.M. ロバーツ, J.M. Roberts, 東 真理子, 福井 憲彦
- 図説 世界の歴史〈8〉帝国の時代
- ドミニク リーベン, Dominic Lieven, 松井 秀和, 袴田 茂樹
- 帝国の興亡〈上〉―グローバルにみたパワーと帝国
- ジョン トムリンソン, John Tomlinson, 片岡 信
- 文化帝国主義
- エドワード・W. サイード, Edward W. Said, 大橋 洋一
- 文化と帝国主義〈1〉
- エドワード・W. サイード, Edward W. Said, 大橋 洋一
- 文化と帝国主義〈2〉
- スティーブン・ハウ, 見市 雅俊
- 帝国
- 坂本 雅子
- 財閥と帝国主義―三井物産と中国
- 田中 宇
- アメリカ「超帝国主義」の正体
- P.J. ケイン, A.G. ホプキンズ, Peter Joseph Cain, Antony Gerald Hopkins, 木畑 洋一, 旦 祐介
- ジェントルマン資本主義の帝国〈2〉
- 高橋 章
- アメリカ帝国主義成立史の研究
- レオ パニッチ, サム ギンディン, Leo Panitch, Sam Gindin, 渡辺 雅男, 小倉 将志郎
- アメリカ帝国主義と金融
- レオ パニッチ, サム ギンディン, Leo Panitch, Sam Gindin, 渡辺 雅男
- アメリカ帝国主義とはなにか






























