小説 新昆類 (15-2) 【第1回日経小説大賞第1次予選落選】
戦争の限界をヒロシマ・ナガサキの人々は身をもって体験した。その想像力・シミュレ
ーションは、世界と地球と人間の終わりに限りなく近づき、われわれの破滅を予感する。
侵略戦争を推進した日本帝国の帝都であり、日本システムの中心地であった東京は、ヒロ
シマ・ナガサキ・オキナワの破滅を体験していない。B二九の空襲により十万人の住民
が殺されたが、皇居の森と中心地は焼けることはなかった。下町に爆弾は計画的に落とさ
れた。ヒットラーは自殺とげたが、昭和天皇は一九八九年まで生き延びた。そして帝都東
京はベルリンの荒廃と悲しみを体験していない。帝都東京が体験したのは空襲と敗戦後の
飢えである食欲としての「物欲」だ。
民衆の血は流れたが、システム設定者の自己遺伝子と模倣子は血を流していない。その
経験はベルリンではなく、ドイツの空爆によって一定程度破壊されたロンドンの体験であ
り、ドイツ軍の占領を受けたパリの体験である。そのパリであれ解放後、ドイツ軍兵士と
関係をもった女性は、頭髪を刈られ街頭で糾弾され引き回されたのだ。ののしられる女性
も指弾する側も精神の血はどくどくと流れていた。そのような不条理な体験から、人間の
本性を冷酷にみすえたイデオロギーは生まれる。フランス哲学はドイツ軍占領の時代ファ
シズムへのレジスタンス・パルチザン都市ゲリラ戦争の体験によって、抵抗としての実存
主義を表出する。すでに人間の不条理・不均衡をみすえながら。ナチス・ファシズム体制
にからめとられていった詩人と思想者のドイツ哲学は、敗戦後、沈黙する。
「君たち日本人は、日本の戦争犯罪よりも、ドイツの戦争犯罪の知識欲に熱心だね」
このようなわれわれに対するドイツ人の皮肉には根拠がある。イタリアはファシズムと
レジスタンスによる内戦を経験した。そして北部は連合軍にたよらず自主解放した。ミラ
ノ広場で独裁者は民衆によって処刑された。
ファシズム同盟、イタリアとドイツは血を流し総括したが、日本はついに総括できなか
った、これが「失われた九十年代」の骨格である。
【第1回日本経済新聞小説大賞(2006年度)第1次予選落選】
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- ジル ドゥルーズ, Gilles Deleuze, 木田 元, 財津 理
- 経験論と主体性―ヒュームにおける人間的自然についての試論
- 日沖 隆, 川合 英治
- 子どもの手を返せ―主体性を育てるモノ作り
- 平松 松平
- 新世紀を生き抜くために―私の主体性論
- 川出 由己
- 生物記号論―主体性の生物学
- 高村 健一郎
- 日本の塩とたばこ―産業の自立と主体性を求めて
- 玄 〓沢
- 民族的主体性とは何か
- 埴谷 雄高
- 死霊〈2〉
- 埴谷 雄高
- 埴谷雄高全集〈3〉
- 高橋 和巳, 埴谷 雄高, 川西 政明
- 日本の悪霊―高橋和巳コレクション〈9〉
- 埴谷 雄高
- 死霊九章
- 埴谷 雄高
- 死霊〈3〉
- 埴谷 雄高
- 死霊〈1〉
- 埴谷 雄高, NHK
- 埴谷雄高・独白「死霊」の世界
- 高橋 和巳, 埴谷 雄高, 川西 政明
- 我が心は石にあらず―高橋和巳コレクション〈8〉
- 大岡 昇平, 佐々木 基一, 埴谷 雄高, 花田 清輝, 平野 謙, 谷崎 潤一郎
- 性の追求
- 埴谷 雄高, 立花 隆
- 無限の相のもとに
- 埴谷 雄高
- 埴谷雄高全集〈別巻〉資料集・復刻 死霊
- 埴谷 雄高, 吉本 隆明
- 意識 革命 宇宙
- デイヴィッド ハルバースタム, David Halberstam, 金子 宣子
- ザ・フィフティーズ〈第2部〉1950年代アメリカの光と影
- 赤塚 不二夫
- 1950年代 オンデマンド版 [コミック]
- ピート ダニエル, Pete Daniel, 前田 絢子
- 失われた革命―1950年代のアメリカ南部
- 中村 隆英, 宮崎 正康
- 過渡期としての1950年代
- 泉 麻人
- 50・60年代
- 有賀 夏紀, 能登路 雅子
- 史料で読むアメリカ文化史〈4〉アメリカの世紀―一九二〇年代‐一九五〇年代
- 広川 禎秀, 山田 敬男
- 戦後社会運動史論―1950年代を中心に
- J.ウォーリー ヒギンズ, J.Wally Higgins, 窪田 太郎
- 発掘カラー写真 1950・1960年代鉄道原風景 海外編
- 日本劇作家協会
- 現代日本の劇作〈第8巻〉1950年代
- U.K.STOREROOM
- モダンアンティーク・テーブルウエア―1950~70年代イギリスのかわいい食器たち
- クライスティア フリーランド, Chrystia Freeland, 角田 安正, 吉弘 健二, 松 代助
- 世紀の売却―第二のロシア革命の内幕
- 久保 慶一
- 引き裂かれた国家―旧ユーゴ地域の民主化と民族問題
- 里見 常吉, 鈴木 利大, 秋元 明, 土屋 光芳
- 民主化と市場経済化―中国・ロシア・東欧
- ミルチャ エリアーデ, Mircea Eliade, 住谷 春也, 直野 敦
- エリアーデ幻想小説全集〈第1巻〉1936‐1955
- ミルチャ エリアーデ, Mircea Eliade, 住谷 春也
- 妖精たちの夜〈1〉
- みや こうせい
- ルーマニア賛歌―Europe of Europe
- みや こうせい
- ルーマニアの赤い薔薇
- 早坂 隆
- ルーマニア・マンホール生活者たちの記録
- イオン・M・パチェパ, 住谷 春也
- 赤い王朝―チャウシェスク独裁政権の内幕
- 菊地 秀行
- 吸血鬼幻想―ドラキュラ王国へ
- Elizabeth A. Brown, 嘉門 安雄, エリザベス・A. ブラウン
- ブランクーシのフォトグラフ
- 有楽 彰展, 嶋田 純子
- 小説 東京アンダーグラウンド〈3〉真夏のレジスタンス
- アルベール シャンボン, Albert Chambon, 福元 啓二郎
- 仏レジスタンスの真実―神話・伝説・タブーの終わり
- 北原 敦
- イタリア現代史研究
- 早乙女 勝元
- イタリア・パルチザン
- ヤン テッター, Jan Tetter, 足達 和子
- ドイツ侵攻とポーランド農民ドゥジマーワ―第一次世界大戦前のレジスタンス
- 柄谷 行人, 岩井 克人
- 終りなき世界―90年代の論理
- 宮沢 邦子, 現代女性作家研究会
- 90年代・女が拓く
- 吉田 実香, デビット・G. インバー, David G. Imber
- 90年代アメリカ話題の作家&BOOK















