2013年も最後の日を迎えました。
今年も大晦日恒例、「今年のアルバム」記事です。
今年は20枚を紹介します、Top20ということですかね。
なお、ここではスタジオ録音の新譜に限っており、ライヴ盤、編集盤、発掘盤などは対象外とさせていただいております。
1位から順に取り上げますが、特に何かのデータに基づいたわけではなくあくまでも順位を決めて話を楽しむという程度のものです、ご了承ください。
☆1位
NEW
Paul McCartney
NEW ポール・マッカートニー
今年の1位はもうミエミエですね(笑)、ポール・マッカートニー。
しかし、ポールだからと言って無条件で1位にしているわけではなく、実際、昨年のKISSES ON THE BOTTOMもその前のアルバムも1位にしていたわけではありません、前者はアメスタアルバムでしたし。
今年のポールは、ポールらしいハッタリが効いているのがポイント高い。
やはり、史上最大の成功者であるビートルズのメンバーだったポールには、ただ「いい音楽」を作るだけでは、ファンとしては物足りないのです。
このアルバムには、まるで大見得を切ったような堂々としたところがあり、その姿こそ、長く待ち望んでいたものでした。
正直、時代を揺るがすような作品はもう作れないと諦めかけていただけ余計にその衝撃は大きく、うれしく、感動しました。
もちろん基本のいい曲があってこそなのですが、ここには付加価値がある。
「ローリング・ストーン」誌が選ぶ今年のアルバムでも4位に入っており、世界中のロックファンが、ポールのこの姿を待ち望んでいたのでしょう。
来日公演でも4曲聴けたのはうれしかった。
曲ではQueenie Eyeがいい、今年出会った新曲でもいちばん好き。
コンサートでもサイケ調の模様のキーボードを弾きながら歌っていましたが、この曲はまさに、1967年のスピリットが凝縮されています。
そう、SGT. PEPPER'SからMMTそしてYELLOW SUBMARINEの辺り。
1967年は僕が生まれた年でもあるし、そのスピリットが感動的。
曲ではAメロからBメロへのパッセージの部分のバックに入る、潮のうねりを感じさせるギターの音、そしてパッセージの最後で歌メロが急に盛り上がるところ、もう涙が出るほどポールらしい。
サビも子どもの遊び歌を基にしたもので、気がつくと歌ってしまう。
歌として最高にいい、まだこんな曲ができるなんて、やっぱりポール・マッカートニーは史上最高のロックミュージシャン。
「口約」通り、また来日してくれないかな、きっと来てくれると信じて。
なお、このアルバムの記事はこちら をご覧ください。
☆2位
UNORTHODOX JUKEBOX
Bruno Mars
アンオーソドックス・ジュークボックス ブルーノ・マーズ
「キング・オヴ・メロディ」の称号を若くして手に入れたブルーノ・マーズ。
このアルバムは昨年12月にリリースされていましたが、ひと月弱では聴き込みが足りないので昨年は取り上げず、今年になりました。
歌メロがいいのはもちろんだけど、1980年代を感じさせる音が、その時代に10代を過ごした僕には素直に入ってくる。
歌っていいんだな、と基本のことを再認識させてくれたアルバム。
まあ、2位というのは若干盛り過ぎかなという気もするけど、期待値込みで。
曲はNatalieがいい、僕は切ない曲が大好きなのです。
来日公演が決まりましたが、日程的に行けないのが残念。
いつか札幌に来てくださいね。
このアルバムの記事はこちら をご覧ください。
☆3位
MEMPHIS
Boz Scaggs
メンフィス ボズ・スキャッグス
ボズ・スキャッグスがギター野郎に戻ってきた快心作。
シルヴァーグレイのストラトを持つジャケットにやる気を感じる。
そしてタイトルがメンフィス、ブルーズから別れたすぐ後の頃のソウルの手前のリズム&ブルーズを気持ちよくまとめたサウンドがいい。
ボズのヴォーカルも、ああ、いい歌手なんだなあと思わせる。
曲では最後のSunny Gone、なぜか寂しい、でも、だからしみてくる。
落ち着いているようで、心の中がふつふつと沸き立つようで、やっぱり音楽をしている人は気持ちが若いんだろうなと。
このアルバムの記事はこちら をご覧ください。
☆4位
CAN'T GET ENOUGHT
The Rides
キャント・ゲット・イナフ ザ・ライズ
スティーヴン・スティルスが結成した新バンド、ザ・ライズ。
こちらはロックのルーツがブルーズであることを再認識させるとともに、ブルーズロックってやっぱりいいよなあ、基本だなあと思った1枚。
スティーヴンの歌い方には凄みを感じます、恐い人だなとすら。
その彼と親子ほど年が離れたケニー・ウェイン・シェパード、僕は初めて知りましたが、ギターの聴かせ方が素晴らしく、また若々しいヴォーカルはいいアクセントを与えています。
曲はOnly Teardrops Fall、やはり切ない、しみる曲だけど、スティーヴンが歌うと強がりにも聴こえるのが曲に深みを与えている。
こういう音楽があってよかったと心底思える素晴らしい1枚。
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☆5位
GIRL ON FIRE
Alicia Keys
ガール・オン・ファイア アリシア・キーズ
アリシア・キーズのこれも昨年11月に出ていたのですがブルーノ同様の理由で昨年には含めず、今年に回しました。
ただその煽りというか、気持ち的にはあと2つランクが上でもいいかな、と思うけれど少し古いのでランクを下げました。
アリシアはこの前作が普通の歌ものを集めたアルバムで大好きですが、それを期待したところ、今回はサウンド的に凝ったものを作ってきて、正直、最初は少し戸惑いました。
でも、前作の路線を続けて落ち着くには30歳という年齢は若すぎる。
彼女の若さ、精神的なエネルギーを音に変えて表した、というのが今作。
聴き込んでゆくと、なんだ、歌としてもやっぱりいいじゃないかって(笑)。
曲は彼女得意の必殺バラードNot Even The Kingがじわじわと感動的。
彼女は今年来日公演があったんですが、ポールと同じ日で、行くことができなかったのが残念でなりません。
早くまた来てくれないかな・・・
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☆6位
RANDOM ACCESS MEMORIES
Daft Punk
ランダム・アクセス・メモリーズ ダフト・パンク
ダフト・パンクは「ベストヒットUSA」でシングル曲であるGet Luckyを観て聴いて気に入って買いました。
この曲はナイル・ロジャースが参加しクリップにも出演しているように、1980年代前半のソウルの雰囲気、懐かしさに飲まれてしまいました。
アルバムを聴くとやはりいかにも80年代サウンド、やっぱりいいなあ。
ただ、一見すると機械的な打ち込み系の音作りだけど、実は、参加ミュージシャンは名うての名手を揃えており、ナイルの他、例えばベースはネイサン・イースト、ドラムスにオマー・ハキム、ペダルスティールのグレッグ・リースと、演奏力で聴かせる音。
おまけに、ポール・ウィリアムスのようないい意味でアナログ的な人もいますが、それすらこのサウンドになじんでいる。
機械的な響きの中に人間らしい演奏力を織り込ませているこのアルバム、サウンドクリエイターとしてのダフト・パンクには脱帽です。
ジョルジオ・モロダーが自分について語る曲などもあって、まさに頭の中の音楽RAMを痛いほど刺激される。
このアルバムのレビューを読むと、すぐに飽きるという声が意外と多くて、多分その人は演奏についてあまり気にしない人ではないのかな。
演奏をしっかり聴けることが付加価値となっています。
このアルバムは「ローリング・ストーン」誌でポールの上の3位に選ばれRSも見る目があるじゃん、と偉そうなことを思ったり(笑)。
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☆7位
TIME
Rod Stewart
タイム ロッド・スチュワート
21世紀に入る頃からアメスタだのソウルだのロックだのと、カヴァーアルバムばかり出していたロッド・スチュワートが、オリジナル曲を中心としたアルバムを作るというので期待しました。
(なおそれらはそれでよかったです、非難はしていません、念のため)。
実際に聴くと、歌を作って歌うことの楽しさがよく伝わってきました。
ロッドも新しい若い奥さんとの気持ちのやり取りを歌にしたかったのかな。
いつまで経っても青年、そういうところもロッドらしくていい。
男が言うものじゃないかもだけど、愛らしい部分がある人だなって。
曲は表題曲Time、ブリティッシュ・ロックの伝統を受け継ぐような、この中にあってはやや重たいけれど意味が大きな曲で気に入りました。
深刻に聴くといよりは軽く聴いてより伝わるものが大きなアルバムです。
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☆8位
THE NEXT DAY
David Bowie
ザ・ネクスト・デイ デヴィッド・ボウイ
考えてみると今年は、大ベテランのオリジナルに秀作が多かった。
デヴィッド・ボウイもその一人、一般的なイメージのボウイらしい音が今の世の中でも広く受け入れられたようで、それは僕もうれしい。
ただ、ボウイは、前世紀末辺りから出しているオリジナルアルバムが実は僕はとっても気に入っていて、だからこれは意外ではなかった。
ポールもそうだけど、その人らしさを素直に表すというのが、実は今の世の中では大きな冒険なのかもしれない。
そして冒険を忘れないのがロックという音楽の魅力。
と言葉でいうのは簡単だけど、やる側はかなり決心が要ったのではと。
曲はHow Does The Grass Grow?が僕は好き。
Billie Jeanと同じ4つの音のベースは、何かを意味しているのだろうか?
ただ、自身の"HEROES"をそのまま利用して真ん中だけ隠したこのアートワーク、ユーモアとしてはきついというか、僕はちょっと減点ですね。
まあ、音楽が素晴らしいのでそこには目をつむるとしますか。
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☆9位
PARADISE VALLEY
John Mayer
パラダイス・ヴァレイ ジョン・メイヤー
ジョン・メイヤーは昨年も新作を出していたので、今回のアルバムが出るという情報は最初は編集盤かライヴ盤かと思いましたが、純然たる新曲による新録音のアルバムで驚いた。
そういう姿勢がうれしい、そういう人がいてもいいですよね。
このアルバムはレイドバックした音が特徴で、前作でアメリカ音楽のルーツに向かっていたのが、少し路線が変わりました。
最初は、この若さでレイドバックするのか、といささか疑問でしたが、でもエリック・クラプトンだって30代にレイドバックしていたのだから、別におかしくない、むしろエリックと同じことをしたかったのかなと。
曲はI Will Be Found (Lost At Sea)、海に漂っているところを発見され、大きな木の下に葬られるだろうと歌っている割には、どこか楽観的。
彼の物事に対するクールな視線が生かされています。
来年GWに来日公演があるけれど、やはり行けなそう・・・
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☆10位
THE WAY LIFE GOES
Tom Keifer
ウェイ・ライフ・ゴーズ トム・キーファー
トム・キーファー、元シンデレラのフロントマンが、アメリカ音楽のルーツ、特にスワンプに目を向けたアルバムを出してきました。
感覚的にはジョージア・サテライツに近いものがあるかな。
彼は元々、ヘヴィメタルが人気絶頂の頃にブルーズ感覚にあふれるアルバムを出していましたが、そう考えるとこれはやっぱりという1枚。
しかし、こう言っては失礼だけど、出来は期待値をはるかに上回る。
彼のしわがれ声はこういうサウンドにはぴったりですね。
曲はA Different Light、彼の人を見る目の優しさには感銘を受けます。
この素晴らしい音楽、しかし、彼が元ヘヴィメタルの人というだけのことで、色眼鏡にかけられてしまうかもしれないのは、寂しいですね。
これだってブルーズロックですから、やっぱりいいものはいい、と。
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さて、11位以下は短めに
☆11位
RHYTHM & BLUES
Buddy Guy
リズム&ブルーズ バディ・ガイ
バディ・ガイの新譜はRhythm & Bluesという名のロックアルバム。
77歳にして2枚組、この音圧、そして圧倒されるヴォーカル。
この人は次元が違いますね。
一度シカゴの彼のお店に行ってみたいけれど無理だろうなあ。
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☆13位
LIGHTNING BOLT
Peal Jam
ライトニング・ボルト パール・ジャム
パール・ジャムはデビュー作が90年代でも何枚というくらい好きですが、それ以降はなぜか1枚として気に入ったものがなかった。
ところがこの新作は、最初から素晴らしいと感じました。
なぜかは、まだ記事にしていないので、いずれまとめたいと思います。
☆14位
BLURRED LINES
Robin Thicke
ブラード・ラインズ ロビン・シック
ロビン・シックのこれはもちろん「ベストヒットUSA」経由。
表題曲のビデオクリップも面白いけど、何より曲が気に入った。
ソウルやファンクそして80年代音楽への尊敬の念が感じられるのがいい。
僕も時々、「ただ楽しければいい」「商業的な」音楽に踊らされたい(笑)。
でも、「今夜はヘイヘイヘイ」って邦題はいかがなものか、と・・・(笑)・・・
☆15位
TALK A GOOD GAME
Kelly Rowland
トーク・ア・グッド・ゲーム ケリー・ローランド
ケリー・ローランドは、今年のスーパーボウルのハーフタイムショーでビヨンセとともにデスティニーズ・チャイルドの復活としてステージに上がった。
その後で新譜が出たのをネットで知り、ジャケットを見て即購入(笑)。
今のR&Bの主流路線の音なのでしょうけど、彼女のヴォーカルは意外としとやかな歌い方で優しい響き、かなり気に入りました。
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☆16位
SUPER COLLIDER
Megadeth
スーパー・コライダー メガデス
メガデスは弟が買うので毎回聴いていますが、これは久しぶりにとても気に入った1枚。
彼らは実は意外と歌メロがいい、ということが分かった。
ヘヴィメタルを聴く機会はめっきり減ったけれど、やっぱり好きは好きです。
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☆17位
MY TRUE STORY
Aaron Nevillle
マイ・トゥルー・ストーリー アーロン・ネヴィル
アーロン・ネヴィルのルーツともいえるドゥワップを今に再現。
ここで歌われる歌は僕が生まれる前のものが多いので、懐かしいというのは少し違うかもしれないけれど、その時代の音楽に対する憧れと思いを純粋な心で歌ったアルバムは、やっぱり、懐かしい、という言葉がいちばん似合うかも。
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☆18位
SOUND THE ALARM
Booker T. Jones
サウンド・ジ・アラーム ブッカー・T・ジョーンズ
ブッカーTはサザンソウルのサウンドを作ってきた人であるだけに、インストゥロメンタルでも歌と同様に聴かせるのがいい。
今回は若手に主役を任せて下で広く大きく支えて見つめる姿はさしずめ、R&B界のおとうちゃんといったところ。
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☆19位
WROTE A SONG FOR EVERYONE
John Fogerty
ソング・フォー・エヴリワン ジョン・フォガティ
ジョン・フォガティはアメリカを代表する作曲家ですが、そんな彼の素晴らしい曲をゲストを招いて再録音した企画もの。
彼はアメリカ音楽の良心ですね。
RS誌でこれが10位に選ばれていたのもまたほっとするものが。
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☆20位
OLD SOCK
Eric Clapton
オールド・ソック エリック・クラプトン
最後はエリック・クラプトン。
ゲイリー・ムーアのStill Got The Bluesを演奏してくれたのがうれしい。
意外と骨っぽい作りで、いい方に期待が裏切られました。
Every Little Thingは今年出会った中でも感動的という点では屈指の曲。
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◇
いかがでしたか!
今年は、今年も、充実していたように思います。
来年はどうだろう、なんて、分からないから面白いのでしょうけど(笑)。
◇
今年も1年間お読みいただきありがとうございました。
来年も元日から記事を上げますので、よろしくお願いします。
では、よいお年を