こんばんは。
ご覧頂きありがとうございます😊
本日も想像力と発掘良品の発掘⑲というテーマで
サッドヒルを掘り返せ(2017)
(原題:SAD HILL UNEARTHED)
という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。
★発掘良品の発掘とは?
↑今月のラインナップの詳細はコチラ!
本作は2017年に公開されたスペインのドキュメンタリー映画。
これまでの発掘良品シリーズでセレクトされたドキュメンタリー映画は「ロマン・ポランスキー 初めての告白」「映画と恋とウディ・アレン」「ロバート・アルトマン ハリウッドに最も嫌われ、そして愛された男」「サム・ペキンパー 情熱と美学」という4作であり、いづれも監督自身へのインタビューを基にした内面に迫るような作品ばかりでした。
ですが発掘良品シリーズで最後のドキュメンタリー作品となる本作は、「続・夕陽のガンマン」という映画をモチーフにしたドキュメンタリーであるにも関わらず、監督へのインタビューはなし!
何故なら「続・夕陽のガンマン」を撮られたセルジオ・レオーネ監督は1989年にお亡くなりになっており、マカロニ・ウェスタンが退潮してしまった現在、「続・荒野のガンマン」を撮影したスペインの荒野も廃墟となり果てていたのです…
本作は、そんな失われた映画の面影を求めて集まって来たファンたちが映画のクライマックスとなった「サッドヒル」という墓地を発掘してゆく姿を撮影したドキュメンタリー作品。
果たして「サッドヒル」を掘り起こしたファンたちは、そこに何を見出したのでしょうか?
放射状に墓標が立ち並ぶ
サッドヒル墓地は幻想的な場所!
そんなサッドヒル墓地は、
スペインのどこにあったのでしょう?
「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。
んんんん。
この解説には、本作を観る上での重要なネタバレが書かれてしまっておりますので、その部分はxxxxxxxとさせて頂きました😅
ちなみに本作の冒頭のストーリーは以下の通り!
① 2014年にカナダ在住の「続・荒野のガンマン」ファンの青年たちがサッドヒルの撮影場所がスペインのブルゴスという場所であった事を発見するが、そこには荒廃しており映画に映っていた石畳や石垣も存在しなかった。
徒歩でサッドヒル墓地を発見した2人。
② この事を知ったブルゴス近郊に住む4人の男たちは、幼い頃自分たちもスペインで撮影されていたマカロニ・ウェスタンを愛していた事や、家族や地域の人々がマカロニ・ウェスタンの仕事に携わっていた事を思い出し、自分たちでサッドヒル墓地を再生しようと思い立つ。
彼らの幼い頃の思い出は
大好きだった西部劇の撮影所巡り。
そうだ。
僕らでサッドヒルを掘り起こそう!
③ ですが1966年に作られた「続・荒野のガンマン」のセットは、当時のスペイン政府の協力の元、軍隊による全面協力に作られた1/1スケールで作られた壮大なもの。サッドヒル墓地は中央の広場を起点に5000本の墓標が放射状に並べられているという特種な構造となっており、4人で再現するのは絶対に不可能でした…
実際のデザインを担当していた
カルロ・レバ氏が持っていた
サッドヒルの俯瞰図がコチラ!
いや。
4人でこれを再現するのは…
④ ですので4人はネットや雑誌を通じて世界中の「続・荒野のガンマン」ファンに「自分たちと一緒にサッドヒルの再建をして欲しい」というメッセージを送り、それに賛同した人々と一緒になって、作品のクライマックスの決斗場となったサッドヒル墓地の再建を始めていったのです!
記事を観て賛同してくれた人たちと
少しずつ掘り起こしてゆくサッドヒル。
さて、ブルゴスの4人の男たちによって始められたサッドヒル墓地の再建の夢は、果たして゛のような結末を迎える事になったのでしょうか?
それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。
現地に来られない方に
資金援助をしてもらうために
墓標に名前を記す
という企画も大ヒットし
世界中に存在していた
「続・夕陽のガンマン」の心が
一つになってゆくのです…
皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作でサッドヒルの再建を企画したのは、教師、バーテンダー、宝くじ売り、民宿の主人という映画とは無関係な生活をしていたごく普通の一般人。
4人はごく普通の一般人。
…という事は、彼らはこの企画を仕事としてやっている訳ではないの?
はい。
これが本作で、最も感動するところ!!
彼らは幼少期に大好きだったマカロニ・ウェスタンの代表作である「続・荒野のガンマン」の聖地であるサッドヒルを、自分たちの手で蘇らせるというプロジェクトに価値を感じて、見返りなどを求めず行動する事にしたのです!
そう。
幸福な人生とは、人生をかけてやるべき事が見つけられる事。
マカロニ・ウェスタンの中でも屈指にカッコいい「続・荒野のガンマン」のラストシーンは、芸術的なサッドヒル墓地を舞台に、エンリオ・モリコーネの胸が高鳴るBGMをバックに、卑劣漢イーライ・ウォラック、悪玉リー・ヴァン・クリーフ、善玉クリント・イーストウッドという3人の凄腕ガンマンが3すくみで対峙する緊迫感溢れる名シーン!
「続・荒野のガンマン」の原題は
「IL BUONO, IL BRUTTO, IL CATTIVO」。
これは善玉、悪玉、卑劣漢という意味です。
一度観た人は一生忘れる事ができないような強烈なシーンである「続・荒野のガンマン」のシーンを子供の頃に観ていた4人の男たちは、このシーンを撮影していた場所を再現する事に、人生を賭ける意味や価値を感じていたのではないかと思われます。
こんな場所を再現できる人生って
素敵な事ではないでしょうか?
私見ですがそんな本作は1989年に公開された「フィールド・オブ・ドリームス」のリアル・バージョンのような作品であり、ある日「それを作れば彼が来る」という“声”を聞いた農夫が、とうもろこし畑を潰して野球場を造り始めるフィルード・オブ・ドリームスよりもずっとリアルに「人々が大切にしていたものを作れば、大切にしていた人がやって来る」という感動を、観客にも与えてくれる作品となっていると思うのですが、皆様はどう思われますでしょうか?
「続・荒野のガンマン」を未見の方も
きっと本作のラストを観た後に
「続・荒野のガンマン」を観たくなり
その後、好きな映画を大切するて
素敵な事だと気づて頂けると思います。
そして「続・荒野のガンマン」以外にも
人々に忘れられようとしている
自分が好きだった映画は、
きっとたくさんあるハズなのです。
そんな映画を発掘するのは
ひょっとしたら皆様かもしれませんね😉
という訳で次回は
ナイト・ミュージアムを楽しむために①
というテーマで
遥かなる地平線
という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘
ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆
★おまけ★
併せて観たい発掘良品!
「アンダーグラウンド」
今は亡きユーゴスラビアが、
消滅へと向かって行く過程を
ファンタジーとして映像化した
亡国の映画を撮られたのは
エミール・クストリッツァ監督。
愛していた祖国を
映画の中で復活させるというは
大変意義ある活動ですが
願わくば、自分の住んでいる国が
滅亡しないよう意識して
日々を過ごす事の大切さを
考える一助としての映画として
観て頂く事もおススメいたします…