こんばんは。ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も2022年のアーカイブというテーマで、本年6月にお送りさせて頂いた

 

想像力と発掘良品の発掘⑰

 

というシリーズで選んだ作品について総括してみたいと思います。

 

 

本日は、本シリーズで選ばせて頂いた28作品のうち、1~10番目までの作品をご紹介させて頂きます。

 

 


 

㉑ブルースチール(1990)

(原題:BLUE STEEL)

 

本作は1990年に公開されたキャスリン・ビグロー監督によるアメリカ映画。

 

キャスリン・ビグロー監督と言えば「アバター」のジェームズ・キャメロン監督の元伴侶として紹介される事が多い方ですが、ドラマティック&ロマンティックなテイストの作品が多いジェームズ・キャメロン監督に対し、キャスリン・ビグロー監督の作品の持ち味はロマンティック皆無のハード・コアなテイスト!!

 

近作の「ゼロ・ダーク・サーティ」「ハート・ロッカー」などで一気に知名度が上昇したキャスリン・ビグロー監督ですが、どちらの作品も、極限状態に置かれた人間の生存本能を描いた作品!!

 

何が何でもビンラディンを抹殺せよという

特命を担った部隊の顛末を描いた

「ゼロ・ダーク・サーティ」!!

 

「ブルースチール」も、銃社会アメリカで銃に依存してゆく2人の男女が描かれる、極限状態に置かれた人間を描いたサスペンス映画なのです!!

 

悪人からの暴力と戦うために

銃を撃てる警察官になったメーガンと

偶然、銃を手に入れた事で

無敵感覚に溺れ、殺人鬼と化した男…

 

銃の二面性が描かれた本作は

銃社会アメリカの病巣を描いた作品です!

 

 

㉒ニア・ダーク 月夜の出来事(1987)

(原題:NEAR DARK)

 

本作は1987年に公開されたキャスリン・ビグロー監督によるアメリカ映画。

 

本作はビグロー監督が撮られた、無頼派のヴァンパイアたちが登場するエクストリームなサバイバル・ホラー作品として楽しむ事もできますが、怪物に厳格なヒエラルキーが存在していた80年代に作られた、アウトサイダー的な吸血鬼たちが登場する注目すべき作品!!

 

従来映画における怪物は「吸血鬼=貴族」「狼男=欲望の権化」「ゾンビ=意思なき群衆」といったイメージが固定化されており、ほとんどの映画は各々の怪物のイメージに沿った作品を作り続けて来ましたが、本作に登場する吸血鬼たちは貴族的な雰囲気は微塵もない退廃的な空気が漂っており、崇高な生き方を目指さなくなった80年代以降の人類が、これから先何を求めて生きて行くのかを描いた作品としても鑑賞できるのではないかと思います。

 

永遠の命があっても何すりゃいいんだ?

このテーマは、以降の吸血鬼映画で

繰り返し描かれるようになるのです!

 

 

 

 


 

㉓ガッジョ・ディーロ(1997)

(原題:GADJO DILO)

 

本作は1997年に公開されたフランスとルーマニアの合作映画。

 

原題の「GADJO DILO」というのは、英語でもフランス語でもありませんが、ルーマニア語でなく、かつてはジプシーと呼ばれていたロマ民族の言語!!

 

本作は、フランス人青年のステファンがルーマニア辺境にあるロマ民族集落に実際に滞在して体験した事を映像化した「不思議の国のアリス」のような作品なのです😆

 

出演者はステファン以外全員のロマ民族!
本作は「不思議の国のステファン」なのです😘

 

 

㉔マチネー
土曜の午後はキッスで始まる(1993)

(原題:MATINEE)

 

本作は1993年に公開された1962年を舞台にしたアメリカ映画。

 

歴史に詳しい方はピンと来るのではないかと思いますが1962年と言えば、アメリカとロシアが核戦争一歩手前の状態となったキューバ危機のあった年!!

 

 

本作は、そんな不安がいっぱいのキューバ危機の最中に、商魂たくましく少年少女にパニックホラー映画を売り込もうとるB級映画のプロモーターを描いた、核戦争&B級パニック&青春映画が混ぜ合わさったような、とても豪華でノスタルジックな作品となっているのです😊

 

いつソビエトと戦争になっても

おかしくないキューバ危機の最中でも…

 

商魂たくましい映画のプロモーターは

原爆危機によって生まれた蟻人間の映画を

ヒットさせてようと企み…

 

青少年は、地球の終わりよりも

恋にご執心だったのです!

 

 

 

 


 

㉕牯嶺街少年殺人事件(1991)

(原題:牯嶺街少年殺人事件)

 

本作は1991年に公開された台湾映画。

 

発掘良品では「クー嶺街少年殺人事件」という邦題でご紹介されていますが、「クー」とは「牯」という中国語漢字であるためカタカナ表記になっていますが、原題も日本公開時のポスターも「牯嶺街少年殺人事件」という表記ですので、本稿では「牯嶺街少年殺人事件」と表記させて頂ければと思います😊

 

尚タイトルからは、被害者が少年の殺人事件を描いた作品のように思えるかもしれませんが、本作は1961年に台湾で起こった中学生男子が同級生の女子を殺害した事件をモチーフにした作品となっているのです…

 

第二次世界大戦後に台湾に逃げて来た

外省人(大陸人)の小四は

自身のアイデンティティに悩みながら

何故、好きだった女学生を

殺害してしまったのでしょうか…

 

 

 

 


 

㉖台北ストーリー(1985)

(原題:青梅竹馬)

 

本作は1985年に公開されたエドワード・ヤン監督の台湾映画。

 

発掘良品シリーズにセレクトされているエドワード・ヤン監督の作品は「恐怖分子」「牯嶺街少年殺人事件」「台北ストーリー」の3作品ですが、公開された順番は1985年「台北ストーリー」、1986年「恐怖分子」、1991年「牯嶺街少年殺人事件」となっており、発掘良品で紹介されている順番とは異なっています。

 

ですがもし皆様が、まだエドワード・ヤン監督の作品をご覧になっていらっしゃらない場合は、①「恐怖分子」②「牯嶺街少年殺人事件」③「台北ストーリー」という発掘良品さんのセレクトされた順番でご覧になるのがベストではないかと思われます。

 

 

理由は、エドワード・ヤン監督の作品中に漂っている「孤独の辛さ」!!

 

会話も分かりやすい「恐怖分子」に対し「牯嶺街少年殺人事件」や「台北ストーリー」は、孤独に蝕まれてゆく人間の姿が言葉少なに描かれている「孤独の辛さが描かれた絵」を鑑賞しているような雰囲気の作品!!

 

 

特に本作は、何が描かれているのか判然としないながらも、この先には絶望しか待っていない事が描かれているダンテの神曲の中の「地獄編」を観ているような救いのない作品となっているのです…

 

リトル・リーグでエースだったアリョンは

プロの世界では鳴かず飛ばず。

 

幼なじみの恋人ともすれ違い

仕事にも恋にも良い未来を見出せず

夜道を彷徨うアリョンの人生は

地獄巡りのようなのです…

 


 

㉗KIDS/キッズ(1995)

(原題:KIDS)

 

本作は1995年に公開された写真家ラリー・クラークの監督されたアメリカ映画。

 

写真家としてのラリー・クラーク氏の作風は、未成年者の薬物依存、性行為、銃や暴力などをリアルに描いたもの!!

 

1971年に出版さりた処女写真集「タルサ (Tulsa)」が、マーティン・スコセッシィ監督の「タクシードライバー」に影響を与えたとされていますので、彼の作品が社会的に問題視されるような過激な内容である事はご理解頂けるのではないかと思います。

 

そんなラリー・クラーク氏の初監督作品となる本作は、公開当時大きな論争を巻き起こし、17歳以下の観賞を全面的に禁止となった性と麻薬と暴力にまみれた青春映画なのです!!

 

処女と関係を持つ事に執着する

テリーと関係を持ったジェニーは

初体験でエイズの陽性判定。

 

ロスの街をぶらついているテリーを

必死で探すジェニーでしたが

その頃テリーは、別の処女の女の子を

口説こうとしていたました!

 

80年代のロスの少年少女は

性と麻薬に浸りきった

乱れた生活を送っていたのです!

 

 

 

 


 

㉘イカリエ-XB1(1963)

(原題:IKARIE XB 1)

 

本作は1965年に公開されたチェコスロヴァキア 映画。

 

チェコスロバキアとは、1993年にチェコ共和国とスロバキア共和国に分離してしまい現在は存在しない国。

 

 

けれど国が亡くなってしまっても、その国で生まれた文化は時代を超えて存続し続けます。

 

 

TSUTAYA発掘良品では「闇のバイブル 聖少女の詩」という2作のチェコスロバキア作品がセレクトされているのですが、1995年にチェコスロバキアが無くなって27年の月日が経過した現在においては、どちらの作品も「今は亡き国で作られた美しい童話」のような存在となっているのです😘

 

チェコスロバキアの文化が綴れたファンタジー

「闇のバイブル 聖少女の詩」!

 

 

チェコスロバキアの人々の思い描いていた

未来が描かれた「イカリエ-XB1」。

 

 

そんな本作は共産主義政権の国だったチェコスロバキアの世代を1980年代のUFOの乗組員に投影し、西側への憎悪を抱き人類同士で殺しあいを望んでいる世代を終わらせ、人種や性格を越えてお互いに分かり合おうとするイカリエ-XB 1号の乗組員のようにならないかと、観客に問いかけているような哲学的な作品であり、新しい知的生命体を探すために年齢の壁を越えてイカリエ-XB 1号に乗船した乗組員たちは、人間同士が争う事になんの価値を感じない冷戦マインドを越えた世代であり、そんな彼らだからこそ、映画のラストは希望に満ちたものとなっているのです。

 

 

 


 

㉙桜桃の味(1997)

(原題:TA'M E GULIASS)

 

ラストは、イラン人が自国で暮らしているクルド人、アフガニスタン人、トルコ人と問答をする、少し不思議な命の軽重に関する物語。

 

本作はご覧になられた観客の人生経験によって、観終わった後の感想が異なる"心の中を映す鏡"のような作品

 

 

本作の主人公のバディは、人生に疲れ自殺を考えていた男。

 

彼は自殺した後、人知れず自分の死体を埋葬してしまいたいと考え、手伝ってくれる人を探す事にしました。

 

バディの考えたプランとは…

 

①荒野に穴を掘っておく

 

②夜中に睡眠薬を飲んだバディが穴で横たわって自殺を試みる

 

③翌朝、予め頼んでおいた人にバディが入った穴を覗きに来てもらい、名前を呼び掛けても返事が無ければ、スコップを使って埋めてもらう

 

④穴を埋めてくれた人には、お礼として高額の報酬を用意しておく

 

というもの。

 

 

さて、皆さんはバディの依頼を受けますか?

 

生きる事に意味はあるのでしょうか?

バディと出会った3人の男は

それぞれの立場で想いを語ります。

 

では私たちは、どあ答えるべきなのでしょう?

 

 

 

 

 


 

という訳で、ここまでで2022年にご紹介させて頂いた290作全てを改めてご紹介させて頂く事ができました😄

 

2014年からスタートした本ブログも来年で10年目!

 

 

来年も、より良質で分かりやすく映画の魅力を伝えていけるブログを発信できればと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 

今年もありがとうございました!

 

 

ではまた来年(*゜▽゜ノノ゛☆

 

ちょっとだけ来年の予告です😄