こんばんは。
ご覧頂きありがとうございます😊
本日も想像力と発掘良品の発掘⑰というテーマで
ニア・ダーク 月夜の出来事(1987)
(原題:NEAR DARK)
という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。
★発掘良品の発掘とは?
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本作は1987年に公開されたキャスリン・ビグロー監督によるアメリカ映画。
前回もご紹介致しましたが、キャスリン・ビグロー監督と言えば「アバター」のジェームズ・キャメロン監督の元妻として紹介される事が多い方ですが、ドラマティック&ロマンティックなテイストの作品が多いジェームズ・キャメロン監督に対し、キャスリン・ビグロー監督の作品の持ち味は、ロマンティック皆無のハード・コアなテイスト!!
本作は、そんなビグロー監督が撮られた、無頼派のヴァンパイアたちが登場するエクストリームなサバイバル・ホラー作品なのです!
本作に登場するのは優雅さのかけらもない
エクストリームな吸血鬼たちなのです!
「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。
むむむ。
ちょっとサッパリし過ぎた解説で、作品内容が分かりにくい気が致しますのでもう少しだけ解説させて頂くと、主人公のケイレブはだカウボーイの青年。
ある晩ガソリンスタンドで給油していたケイレブは、近くの道端に佇んでいた一人の少女に声をかけます。
おっ。かわいい子発見!
君、こんな夜中に一人でどうしたの?
メイと名乗る少女は友達と一緒にキャンプをしながらアメリカを縦断していると言い、キャンプ場の近くまで送って欲しいと頼まれたケイレブは、メイを車に乗せてドライブする事にしました!
彼女がいないケイレブは、メイと仲良くなりたくて運転中に色々話しかけましたが、メイは「10億年後に地球に届く星の光を私は見る事ができる」と謎めいた事を言い、メイをロマンチックな子だと思ったケイレブは農場に連れて行って馬を見せる事にします。
ですがケイレブの馬はメイを見た瞬間に怯えて逃走してしまい、メイは「自分は嫌われている」と話した後、どうしても夜明け前にキャンプ場に帰りたいと言い出しました。
メイを見て逃走してしまうケイレブの馬!!
馬は何かを直感したようです
メイが夜明け前に帰りたがっている理由は、父親に怒られるからだろうと考えたケイレブは、自分がちゃんと説明するから夜が明けても心配しなくて良いと言って、ちょっとしたイタズラを仕掛けます。
そのイタズラとは、何もない荒野で車を止めて運転を再開して欲しかったらキスしてくれという子供っぽい要求!
夜明け直前、焦っているメイに対して
遊び心で車を止めてキスを要求するケイレブ!
「ねぇ。キスくらいいいでしょ」
メイは覚悟を決めたような顔になった後、ケイレブにキスをしますが、その直後にケイレブの首筋を噛んで出血させた後、キャンプ場へと逃走してしまいます!!
イタタタタタタ!!!
首筋を噛んだ後、逃走するメイ!
何が何だか分からず呆然とするケイレブですが、やがて太陽が昇り始めると、ケイレブの体に猛烈な痛みが走り、体から煙が立ち上り始めたのです!!!
何だか体がダルい…。ヤバイ死にそうだ!!
はい。
様々なフラグが立っていましたので賢明な皆様はもうお気づきだと思いますが、ケイレブが出会ったメイは吸血鬼であり、彼女に血を吸われたケイレブもまた、吸血鬼化してしまっていたのです!!
さて、自分が吸血鬼になった事にも気づいていないケイレブは、炎天下の中、果たして生き延びる事が出来たのでしょうか?
それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。
太陽に当たった顔が焼けこげるケイレブ!
果たして彼は生き延びられるのか!?
皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作はまだ怪物たちに厳格なヒエラルキーが存在していた時代に作られたアウトサイダーな吸血鬼たちが登場する作品!!
従来映画における怪物は、吸血鬼=貴族、狼男=欲望の権化、ゾンビ=意思なき群衆、といったイメージが固定化されており、ほとんどの映画は各々の怪物のイメージに沿った作品を作り続けて来ました。
1983年の吸血鬼映画「ハンガー」も
長年優雅な暮らしをして来た吸血鬼の映画!
1985年の「フライトナイト」の吸血鬼も
紳士的な隣人として登場!!
吸血鬼がビリヤードのハスラーと対決する
謎展開の「ビリー・ザ・ハスラー」でも
吸血鬼は上流階級!!(1985年)
ですが本作おける吸血鬼たちは貴族的な雰囲気は微塵もなく、永遠に続く人生をダラダラと楽しめればそれで良しといするような刹那的な空気が漂っているのです!!
瀕死のケイレブを救ったのは、
完全遮光の改造トラックに乗った吸血鬼たち!
長く生きているはずなのに
本作の吸血鬼には威厳や気品はありません…
そう。
大量消費とエンターテイメントの80年代は品格や哲学が衰退し、刹那的な快感がもてはやされていた時代!
そんな時代の人々が求めているものは何かを追求し続けて来たキャスリン・ビグロー監督作品に登場するのは、サーフィンの余暇に銀行強盗を行う「ハート・ブルー」のボディも、暴力衝動の解消のためだけに無差別に人を殺す「ブルー・スティール」の殺人鬼ユージンも、戦地から帰国すると鬱のようになり、刺激を求めて戦場へと舞い戻る「ハート・ロッカー」のウィリアム軍曹も、刹那的な快感を求める存在であり、品格や哲学などを欲する事はなくなっていたのです…
もちろん本作の吸血鬼たちも刹那的。
「ビビってる人間を殺すってサイコー!」
という刹那的な日々を楽しんでいるのです…
私見ですがそんな本作は、吸血鬼の少女に恋をした少年の恐怖と苦悩を描いた映画であると同時に高みを目指さなくなった人間が、これから先何を求めて生きて行くのかを考えさせられる作品としても鑑賞できるのではないかと思うのですが、皆様はどう思われるでしょうか?
小人閑居して不善を成す。
では永遠の命を持っいる吸血鬼は?
本作の吸血鬼たちは
永遠に生き続ける事にイラつき、
死を望んでいるかのように
特に理由もなく人間たちを虐殺します。
小人でなくても
果てしない閑居というものは
人に生きる目的を失わせ
残虐な行為に走らせるのかも
しれないのです…
という訳で次回は
生生流転
というテーマで
ガッジョ・ディーロ
という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘
ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆
★おまけ★
併せて観たい上流ではなくなった吸血鬼作品!
「ロストボーイ」
「ニア・ダーク」と同じく
1987年公開の吸血鬼映画である本作は
アッパー系の西海岸吸血鬼が
無法の限りを尽くす作品!
本作もまた、時代の潮流が変化した
80年代の空気を読み取った
吸血鬼映画ではないかと思います😆