GTBコンサルティング 平賀 正志(中小企業診断士) -5ページ目

只今シンガポールへ来ております。今日の午後には香港経由でマカオへ行きます。

仕事ではありません。1週間休み(今年の夏は、休みらしい休みがなかったので、今頃夏休みです。笑)を取って、以前から行ってみたいと思っていた両地を訪れています。

 

ですが純粋に観光しているわけではありません。と言いますか、頭が完全には「休暇モード」にならないのですが。

もちろんシンガポールに来たのですから、マーライオン像も見ましたし、摩天楼のてっぺんにも登って、ダイナミックな風景も楽しみはしました。


でも、街を歩いているとどうしてもそこに住む人々の生活ぶりが気になります。そしてこんな風に思うのです。


「○○をそういう使い方をするのか」

「今の流行りは△△色のようだ」

「日本だと、こういうやり方はしないな」

「◇◇社(私の経営支援先の企業様)の製品はこういう場面なら使えるかも」

 

とか、もういろいろと気が付くことが出て来るんですね。ある種の職業病でしょうか(苦笑)。

しかし、そうやって街を歩いてキョロキョロして得た情報こそ、次のビジネスへのネタになると私は信じて疑いません。

 

観光業界において「インバウンド」なる言葉が日常的に用いられるようになりました。そして多くの企業-事業者の方々が来日観光客の人々をご自身の事業に取り込もうとなさっています。ですが皆様は、海外へ自分たちの商品を売る、もしくは来日する外国人観光客向けに何か事業をしたいと思われたとして、その外国に住んでいる人たちが普段どういう暮らし向きなのかご存じでしょうか?

それを全く知らずしてより正確な顧客の嗜好は掴めないはずです(そもそも彼らの全てを知ることは不可能ですし、かつ100%正確なものはないと思いますが)。

 

それを知るには、我々自身が彼らの国に乗り込んでいって、直接に生の情報を見聞きして来るのが一番早いのです。私のようなコンサルタントや商社の方々、外交官や行政官から話を聞いていただくのもそれなりに効果はあると思います。しかし、やはりそれはあくまでも「二次情報」(=誰かの目やフィルタを通して、ある目的のために加工されたデータや文章など)でしかありません。その「二次情報」を皆様向けに噛み砕いて利用しやすい情報に加工することは可能です。ですがご自身の目で、目の前で起こったことをご覧になった場合と、どちらがより信じられるでしょうか。

 

ですから、私は皆様にも海外視察なさることをお勧めいたします。仮に「日本国内の顧客しか相手にしない」という事業をなさっていたとしても、何らかの参考になるはずです。例えば、製品自体やパッケージの色に悩んでいらっしゃったとしましょう。

外国では、日本の方々では全く思いも寄らない色の使い方をしているビルがあったり、スーパーに並ぶ商品も私達が普段目にするものとは異なる色使いや形状のものがあったり、大きさ(量)も全然違ったり、という光景を目にするでしょう。

それを見たら、何も思わないではいられないはずです。

そうやって日常の思考回路から抜け出すことで、これまでにないものを創造することもできると思います。反対に「なぜ日本ではそうしているのか」ということを再確認させられることもたくさんあるでしょう。

そういう刺激こそが事業への血肉となり、そしてそれが多ければ多いほど(たくさんの経験を積めば積むほど)、様々な事象から自分なりの答えを導く能力を高めます。

 

とは言っても、「簡単に外国なんて行けるか」「そんな暇はない」という方のほうが普通だとは思います。けれども日本国内での消費が増えないことが明らかとなっていますし、人口が大きく減少していく今後において、事業を伸ばそうとしたら、海外の方々との接触は避けられないのです。ましてや海外の方相手に直接ビジネスなさる場合は、前述した通りです。

この先、生き残りたいとしたら(私は、私自身の事業=経営コンサルティングはもちろん、それ以外のことをするにしても、絶対に生き残りたいと思っています)、周囲と同じことをしていてはいけません。「時間がない」「お金がない」のではなく、作り出してでも、外に目を向けるべきです。簡単でないことにトライしてこそ、他者を上回れるのですから。

 

来年は私自身が個人的に視察に海外へ行くだけではく、事業者様のお伴として行くこともありそうな情勢です。そういったリクエスト(一緒に見に行って欲しい、など)も可能な限り受けたいと思っております。ぜひお声かけください。

ペタしてね


めっきり朝夕は涼しくなりましたが、皆様におかれましてはお変わりありませんでしょうか。


過日こんなことがありました。

私の経営支援先の企業様2社をお繋ぎしようと(それぞれを今まで引き合わせたことはなかったのですが、その2社は需給の関係になることができる)、そのうちの1社(以降、A社)へ電話を掛けました。

本当はメールにて連絡したかったのですが、A社は社業へのインターネット導入がまだの会社です。ですので、電話が最も早い連絡手段です。
しかし、A社の社長はご自身で配達や集金に出掛けられる方だと知っていましたから、簡単に掴まらないだろうなあ・・・と予測しておりました。

朝9時、電話を掛けます。案の定、既にお出掛けなさった後でした。
電話に出られた従業員の方に「平賀から電話があったとお伝えください。また掛け直します」と告げ、電話を切りました。
折り返しの電話を依頼はしていません。その社長にご連絡するのは4か月ぶりくらいで、かつこちらが何の前触れもなく、用件を持ちかけているわけですから。

午前11時、再度電話します。外回りから帰っているのではないかと思いつつ。
すると、先程の従業員の方が再度電話に出られて、まだ社長はご不在で、昼には戻るとのこと。仕方なく、ふたたび電話があったことを伝えていただけるようにお願いして電話を切りました。
この時点でも折り返しの電話や携帯電話の連絡先は尋ねていません。そこまで急いでいるわけではなかったこと、また持ち掛けている話は、社長の出先でしていただきたくなかったことがその理由です。

で、午後1時過ぎに、もう一度電話します。昼ご飯に外出なさることが多い社長であることも分かっておりますから、昼ご飯から戻って来られる頃合いを見計らって、です。
しかし、また同じ従業員の方が電話に出られて、まだ社長はお戻りではないとおっしゃいます。それ自体は仕方ありません。しかし、こちらが電話していることを伝えてもらえているのか、と尋ねますと「いや・・・」とモゴモゴお答えされます(要は、何もしていない)。
ここで折り返しの電話を依頼すれば良いようなものですが、この従業員の方の物言いを聞いて、それを依頼するのは控えました。上手く伝わらない可能性が高いと判断したからです。

そして、午後5時15分。A社の終業時刻に、再度電話しました。ついに社長が電話に出られました。「何度か電話もらってた?」との第一声でした。やっぱり私からの電話はきちんと伝わっていなかったようですし、社長もそれを質してはいない様子でした。
私が電話を何度も掛けること自体は全く問題ありません。話を持ちかけているのはコチラですし、前振りもなしに、ですからね。

しかし、私が何者であったとしても、A社の社長に対して同じ日に、同じ人間から何度も電話があれば、何かしらそれなりに重要な話が持ち込まれていると感じ取って(仮にそうでなかったとしても)、この従業員の方は社長に「折り返し電話なさってみてはどうですか」と進言したほうが良かったのではと思いますし、社長は社長で「何度も電話が来ている」と聞けば、その時点で自分から電話をするくらいの対応は必要ではないでしょうか。
何しろ、このA社は他の連絡手段を使えないのです(社長も従業員の方も全くEメールを使えないのですから!)。「また向こうから掛けてくるだろう」と待っていては、機会損失するかもしれません。

実際、この社長と私の話にて、社長が私の持ち掛けた内容に非常に消極的であったため、もう私のほうからこのA社にお願いするのは止めました。
(・・・本当は受けてもらいたかったのです。このA社は債務過多で、売上が10年前と比較すると約2割まで落ち込んでいて、挽回の余地もあまりないからです。引き合わせようとしたもう一方の会社もかなり業績は悪いのですが、何とか糸口をつかみたい、ということで私に引き合わせることを依頼して来られました。だからある意味A社にとっては「渡りに船」であったのです。しかし話も聞こうとなさらないのではどうしようもありません)


経緯をお話しするのが長くなってしまいましたが、要は次の2点が問題であるのです。

1、インターネット経由で連絡するのが当たり前の時代に、電話しか使えないことの不利。
(人間ですから、聴き間違えもありますし、それは言った言わないのトラブルの種にもなります。また電話を取る、ということで相手の時間を奪うことにもなってしまいます。手の空いた時に自由に読んでもらえるEメールは、その点非常に優位性が高いと考えます、特に社長をはじめとする経営陣や中間管理職の方々にはそうでしょう。)

2、そういうご時世において、わざわざ電話にて連絡が来ることの意義を考えていないこと。
(何度も電話を掛けてくるということは、確実に何かしら伝えたいメッセージがあるからでしょう。それを重要と捉えない、その姿勢に大いに問題があり、それはやはりA社の苦境と関連性があると言わざるを得ません)


日本全体のGDPが伸びず、少子高齢化がますますエスカレートして、実態経済がシュリンクする時代にあって、相手から自分のところに話が舞い込んでくることが、そういう意味を持つのか、そしてそれが電話経由であったら、それは何を意味するのか、唯一無二の答えはないと思いますけれども、これを読まれる皆様にもよく考えていただければと思うのです。

やはり、持ち掛けられた話は、まずきちんと事情を聞いてみる。条件が合わなければ、その時点で断れば良いだけのことでしょう。しかも電話で問い合わせがあるとしたら、それは、かなり有望な引き合いである可能性が高いはずです。

そういったものは、貪欲に掴み取る積極性を備えることも、これからの時代を生き抜くには必要なことがらであると私は考えます。


では、A社は今後どうするのが良いのでしょうか?

私が社長であれば、次のようにします。

1、電話対応を別の従業員にさせる。
(電話を受けるというのは、非常に重要なことです。会社自体の対応力を問われますし、その対応によっては好感を持ってもらえるでしょうし、悪ければ、取引を失うことにもなります。しかし、誰かから電話があったことを、きちんと他の人に伝えられないようでは、その人に電話番を任せるわけにはいきません)
(また顧客からの問い合わせについても、きちんと対応できる別の人にやってもらって、掛かって来る電話そのものを販促活動のように、コントロールしたいです)

2、インターネットの業務への導入を火急の課題として取り組む。
(これはもう言わずもがな、ですね。イマドキPCくらい使えなくては、ビジネスどころの話では、本来ないはずです)


今回の例は、傍から見れば「何と初歩的なことを!」とお思いになるに違いありません。
しかし、そういったさして難しくもない事柄にこそ、会社の姿勢は現れますし、それが業績にも色濃く影響します。
皆様の会社やお店でも、この基本中の基本というようなことこそ、大切に扱っていただきたいなと思います。それが皆様の組織の足腰の強さ(=基礎の堅固さ)であるのです。こういった基本の部分のレベルが低いまま、難しいことをやろうとしても、なかなかうまく行かないはずです。

お伝えする例として、わかりやすいものであったかどうか、私自身確信は持てませんが、とにかく、

・基礎の部分が非常に大切であること
・デジタル時代だからこそ、アナログ的な対人対応をより正確に行う必要があること

はご理解いただけるものと思います。

このような問題にも、提案を行いながら、改善への取り組みをお手伝いすることができますので、遠慮なくお声掛けください。

もう今年も残すところ3か月です。良い年末年始を迎えられるよう、日々頑張っていきたいものですね。では、また来月に。





ペタしてね

前回のコラムを書いた前後は、究極に暑くて、

「あ~、ヤナこった!」

と思っていたのですが、盆を過ぎて月末が近付くと、今度は拍子抜けするくらい涼しく、かつ雨が続いて、ジメジメは変わらず、体調管理に非常に苦慮しております。
皆様におかれましても、まずはご自愛いただきたく思います。体調の良さは、何にも増して、活力を生み出す根本ですので。


さて、いろいろな中小事業者の方々の経営のお手伝いをさせていただいていて、近頃、大変強く感じることがあります。それは、

「今まで通りのやり方では、利益が出なくなっている」

ということです。

デフレ脱却などと、巷では言われているようですが、それは大企業と一部富裕層のお話でしょう。中小事業者様では、納入金額を下げられることこそあれど、それをわざわざ買付側から「高く買おうか?」なんて言ってきてもらえることなど、まず無いのではないでしょうか。

それに加え、原価を構成する諸々のコストだけはしっかりと値上がりしていて、そこへ来て消費税率が上がったことにより、納税のためのキャッシュも必要だ、というのが皆様の現状でしょう。

簡単に言えば、

「バケツに入れる水の量は全く変わらないのに、穴だけが大きくなってバケツから漏れる水の量が増え、水量が減った」

ということです。

入れる水の量=売上
穴から漏れる水の量=コスト
バケツの中の水量=利益

とお考えいただければ、早いでしょう。

しかし、そのままの状態で手をこまねいて見ているわけにはいきません。
何かしなくちゃいけない。

そういう時には、
「どうやったら売上を伸ばせるでしょうか」
という相談が寄せられるわけです。十中八九の相談依頼は、それについてのことだと言って言い過ぎではないですね。

ですが、日本全体で消費が冷え込んでいる状況下で、一中小事業者様の売上を伸ばそうとしたら、相当な競争力のある商品を持っていて指名買いを促せるか、体力勝負に出て薄利多売の競争を挑むか、のどちらかをしなくては売上数量を伸ばすのは大変なことです。
(額を増やすのも良いのですが、数量自体も増やさないといけません)
仮に何か特別な顧客アプローチ法を持っていても、なかなか売上の機会の数を飛躍的に増やすのは難しいのではないかと思います。

「そんなこと言ったら、どこに希望があるって言うんだよ!(怒)}
とお叱りを受けること必定です。
しかし、そういう世の中になってきているのは間違いないと思います。

だとすると、どこに活路があるのか。


もう、今まで通りのやり方を壊していくより他ありません。
つまり、商流やビジネスモデルを変える、いじる、ということです。


例えば、皆様「産地直送」という言葉をよく耳にされるでしょう。


これは消費者目線で言えば、
「作った(取った)ところから、直接持ってくるのか。なら新鮮そうだな」
で終わりですが、中小企業経営においては、大問題なワケです。


多くの方はお気付きと思いますが、産地⇔小売店の間に存在した業種をすっ飛ばされているということです。つまり、


①産地
②産地卸売問屋
③仲介業者
④消費地卸売問屋
⑤消費地専門問屋
⑥小売業者
⑦消費者

のうち、②~⑤ないしは③~⑤は省略されてしまったのです。
こういう動きは既に浸透していまして、多くの中間業者様(≒卸売業者様)が、苦戦しておられます。では、それらの中間業者様たちはどうやって生き残ればいいのでしょうか。


彼らは彼らで、今までの商流のどこかを切り落としてしまって、中間マージンが薄くなってしまうのを回避する、という方法が理屈上もっとも簡単であることはすぐにお気付きになることでしょう。
しかし、彼らとては長く付き合ってきた取引先の首を絞めてしまうことになることは、すぐにお分かりになりますから、

「そんなこと、できない」

とおっしゃいます。
今までの取引の流れからして、そう言いたくなる気持ちは分かります。
今までのモノづくりの常識からすれば、順番があることが当然でしょう。
それを無視したり、飛ばしたりすると、


「あの会社は、行儀が悪い」


という評判が立つからです。特に私が本拠とする京都は、そういうことにやたら厳しい。しかし、それを敢えて壊して掛からないと、それ以上のことは何も起こらないし、だんだん自分が痩せ細っていくだけです。

いかがでしょうか。行儀の良さはある意味「美学」に通じるものがあるのかも知れませんが、それで、会社を守れますか?従業員の方々を、その生活を守れるのでしょうか。
無理に破壊者になってください、とは申しません。しかし工夫できることは何でもやらないとすぐに大企業に踏み倒されてしまいます。


また、仕入の時でも同じです。
今はインターネット氾濫時代です。情報はそこかしこに転がっています。英語さえ少しできれば、海外の大抵のホームページだって読めてしまう。となれば、何が起こるか・・・

 

人件費の高い国内から買わずに、海外から仕入をする、なんてことが起こります。
(実際、中国や東南アジアの国々に、大手企業が進出したのは製造コストを下げたいがためでしたよね、つまり人件費が安いという理由だけで、国内の仕入=人の雇い入れを止めてしまった、ということです)


今となっては、当たり前のことでしょうけれど、当初は、


「そんな馬鹿な!」


と言われていたのです。
わざわざ日本国内の会社から買わずとも、外国からそれを仕入れるだけで、相当額もの経費削減が可能になるのです。

どうしてそうしないのでしょうか?
やらない理由はないはずです。


確かに国内の取引先をつぶしてしまうかも知れません。しかし、あなた自身は生き残らなくても良いのでしょうか?

「あり得ない!」
というところに皆さんの会社やお店の突破口がある、ということはお分かりいただけたと思います。実はそういう「馬鹿げた考え」にこそ、進歩や進化が詰まっています。

ビジネスは、人付き合いでもあるけれど、お互いの生存を賭けた競争でもあります。時には理念理想なんてぶっ飛ばしてでも、なりふり構わずに、生き残りのために戦わなくてはならない時もあるのです。ですから、時には

「いやいや、そんなことすると爪はじきにされるかも、有り得ない。でも改善のタネにはなる」

というような、馬鹿げた考え方をしてみては如何でしょうか。
案外、解決策はすぐそこにあったりするものです。

それを見つけるためのお手伝いもしております。ぜひそれを探し当て、しっかりと生き残っていきませんか?