GTBコンサルティング 平賀 正志(中小企業診断士) -4ページ目

早いもので、2016年が始まってもう1か月過ぎてしまいました。
さすがに正月気分は抜けていると思いますが、いかがでしょうか?(笑)


よく「ものづくり」という言葉を耳にされると思います。
自動化された大きな製造ラインを使って大量生産をするのも、手仕事でコツコツ作るのも、どちらもものづくりですが、今回は後者のほうに焦点を絞ってお話しします。

日本は「○○一筋ウン十年」という言葉が幅を利かせる社会であり、マーケットもそれに反応するのが通常であると言えます。それ自体は結構なことかと思います。

ですが、そのものづくりを生業とされる事業者の方々の多くは、「経営」ということをお忘れになっている場合を非常に多く目の当たりにしますし、また「売れてナンボ」ということが本当に理解されているのかどうかわからないことが多いのです。

要は「ものを作るだけでは、何も起こらない」ということです。
どこかから委託されて、職人が一人きりで「(指示書に従って作って、納品して、終わり」だったら作るだけでも良いのですが、実際にはそんな単純なものではありません。

事業所や会社としてものづくりをする以上は、作ること以外に

その組織全体として、
・どう存続させるのか
・何を目的に運営するのか

人材管理として、
・誰が作り、誰が売り、誰がその勘定をするのか
・存続させるために、次の担当者をどう育てるのか
・それぞれの構成者は、適切な待遇を受けているのか

作り終えたものの出口として
・どう見せるのか
・どう売るのか

など非常にたくさんの要素があります。
そこまでセットになって初めて「ものづくり」だと私は考えます。

ですが、目先の「作るもの」にしか焦点の合っていない経営者の方・中間管理職の方が非常に多い。本当に「ものづくり」を大切にしたいのなら、その周縁部も同じように時間を掛けて考えて、そして対応していないといけないのに。


上記の「作り終えたものの出口として」の部分だけをもう少し掘り下げて考えてみましょう。
(本当は全てのポイントについて解説できれば良いのですが)

まず「ものを作る」ことの原点を考えていただきたいのです。
やはりそれは「それを使うこと」が視野に入らざるを得ません。ということは、「使う人」のことを最大限に気遣われたものでなくてはならないはずです。

しかし、よくある「作り手がこだわりぬいたもの」というのは、私の目には、単にその作った方の自己満足的なもの、にしか映らないことが多いです。
それで売れるのでしょうか?全く売れないということはないでしょうけれど、作った方が思うほどにはまず売れないはずです。

なぜか?
それは世間を見ていない、作り手が「自分の世界」以外のことに思いを馳せていないからです。

「作られたもの」は、

・どんな場面で使われるのでしょうか
・どんな場面で使われると、よりその性能を発揮できるのでしょうか
・それを買う人は、どんな思いでそれを手にするのでしょうか
・そもそも買った人が、自分で使うのでしょうか
・どこで売られるのが良いのでしょうか

…考えるべきことは山ほどあります。そういったことまで考えて、ものは作られるべきでしょうし、そこまで考えることが「商品(製品)企画」に他なりません。

もちろん、ものづくりの技術力の高さは必要ですし、そこにこだわりがあって初めて、差別化が可能だということもまた事実です。しかしそうであっても、きっと全体を構成する要素の半分にも満たないでしょう。多めに見積もってもせいぜい半分です。

料理でも同じです。
自分で美味しいと思って作ったって、それはその作り手の味覚によってでしかないのです。それを勘違いしているレストランのオーナーシェフの多いこと。そして、それをどうやって多くの方に店に来てもらい、食べてもらえばよいのかを分かっていない方の多いこと。


本当にこういう方に多くお目に掛かります。
一生懸命にものは作っているけれど、イマイチ売れないな、会社が伸びていかないな、ともし思われることがありましたら、ここまで書き連ねてきたようなことを、一度見直されてみてはいかがでしょうか。

きっと突破口が見つかると思いますし、それを見つけるお手伝いがご入用なら、ぜひお声掛けください。一緒に見つけていきましょう。


ペタしてね

いよいよ2015年も残り数時間となりました。
大掃除、お済みでしょうか?
私は3日掛けて、執務スペース兼居住空間の大掃除を終えました。
毎年書類の処分から天井・内壁の拭き掃除まで、一気にやるのですが、今年は身体に堪えました。年を取るにつれ、身体の柔軟性も失われて行きますからね(苦笑)。
しかし、何とか年は越せそうです。


さて、今回の題「価値観」について。
「いい加減、変えてもらいたい・改めてもらいたい」とは、どういうふうに私は変えてもらいたい・改めてもらいたいと思っているのかを列挙して今年の締めとしたいと思います。


1、「しばらくは景気が上向くことはない。経済成長することもない」という見方が自然だ、という認識に変えていただきたい。
→政府は「景気はゆるやかな回復基調にあり・・・」と言っていますが、ならばどうして大企業は粉飾決算するのでしょうか?大手白物家電メーカーが大規模リストラをしなくてはならないのでしょうか?私達は消費税増税に反対するのでしょうか?その辺り、世間に出回る情報からではなく、皆様の懐具合や理屈から見て論理的に判断していただきたいです。


2、「物価高への誘導は、更に我々の購買力を奪っていく」という認識に改めていただきたい。
→先に物価が上がってしまうと、財布のヒモを消費者が縛って生活防衛するのが世の常です。そうなったら、企業の業績が簡単に上向く筈がない。そして人件費も高くしないと生活できない、つまり企業業績は更に悪化、かつ外国からの日本への投資も減ります。そして現在たくさん来てくださっている外国人観光客にも大打撃(日本での滞在費が高くなるから)。物価安にも勿論デメリットはありますが、とにかく物価高にはメリットはないのです。金銭の額ばかりを追いかける風潮や認識と一緒に改めなければ。


3、「トリクルダウン理論は成立しない」という認識に改めていただきたい。
→トリクルダウン(trickle-down effect)とは、「富める者が富めば、貧しい者にも自然に富が滴り落ちる」という理論で、それを根拠に現在の経済政策が決められているとされています。しかし、もしそれが上手く働いているのであれば、皆様の企業・事業所が大企業と相対してモノやサービスを納入する時、その納入価格は上向いているはずです。ですが、実際はどうでしょうか?逆行しているのではないでしょうか。そもそも、お金持ちであっても、身体は一つ、口も胃袋も一つ、そして24時間しか持っていません。だとすると、お金持ちが湯水のようにお金を使ったところでたかが知れている、大勢の人に富がしたたり落ちることなんてあり得ないということです。たった一人のお金持ちを創り出すより、大勢の中間層を生み出す方が、ないしは全体の底上げをするほうが、確実に景気は良くなるはずです。


4、「日本のものづくりは、もはや絶対的な力を持っていない」という認識に改めていただきたい。
→多くのものづくりの現場を経営支援にために訪れましたが、そのほとんど全てで「中国をはじめとする外国製品に押されて・・・」ということを耳にしました。どれだけ丁寧にものを作っても、価格で負けてしまう、と。だとすれば、世界はもう「丁寧なものづくり」というものにそこまで価値を見い出してはいない、ということなのだと思います。現代は流行り廃りも早いです。日本式のものづくり、特に職人的なやり方ではもう採算も取れないばかりか、価値としても疑問符を突き付けられていると認識すべきなのではないでしょうか。


5、「日本は工業先進国だが、国全体としての教育先進性は薄れてしまった」という考えに変えていただきたい。
→私には多くの外国人の友人がいますが、彼らはたいてい母国語以外にも2つ3つの外国語を話せます。最低でも英語くらいは何とかなる、という感じです(しかも彼らは必ずしも大学を出ているワケでもないのに・・・)。しかし我々日本人は?未だもって片言の英語すらダメって方がほとんどでしょう。いい加減、その位何とかしたいものです。我々は確実に負けています。これは学校教育の話ではなく、大人になってからの自己研鑽の話です。目先で英語を話す必要がなくとも、絶対にここ数年で必要になりますし、話せるようになれば、それだけでビジネスチャンスも広がるというものです。



如何でしょうか?まだまだあるのですが、キリがないのでこの辺りにしておきますが…。
全て私なりに見たもの、聞いたこと、勉強したことから導いたものです。独断偏見の域を出ないのでは?とお感じになるものもあるとは思いますし、この見解は日本では確実に少数意見でもあって、これを大声で申し上げると白い目ですら見られるかも知れません。

ですが、私は、私の顧客には何としてでも生き残ってもらいたいのです(もちろん私自身も生き残らなければなりません)。ですので多数派意見に迎合することはしません。もはや共存共栄が出来るご時世でもないでしょう。しかもライバルは日本にだけでなく世界にもいるのです。

2016年は、さらに「競争激化」「共食い」「お隣さんと潰し合い」などということが普通になると見ております。そういう中でもきっちり立ち位置を確保して、存在をアピールし、経営成績の向上のために皆様には頑張っていただきたいですし、私も関わる企業・事業者の皆様のために全力を尽くして参ります。


それでは、今年一年のご愛顧に感謝し、来る年の皆様のご多幸をお祈りしまして、今年最後のコラムの締めと致します。読んでくださり有難うございました。
良いお年をお迎えください!


ペタしてね

師走も半ばになり、忙しくなどしたくなくても勝手にそうなる季節になりましたが、皆様におかれましてはどんな年末へのアプローチをされていますでしょうか。
済ませてしまうべきことは、年を越さないようにしたいものです。


さて、「中小企業における人材採用の困難さ」というものをよく言われます。
「大企業だとネームバリューがあるから人(=求職者)が集まりやすいが、中小企業はそうでない」と。

これは、非常に日本的な発想が根源となって起こっている事象だと私は考えます。
(私自身は過去に、全く一般の求職者として英国で就職活動を行い、就職し、かつ4年以上に渡ってその会社にて仕事した経験がありますので、単なる知識としてだけでなく、自らの体験としてもこれを語ることができます)

と言いますのは、日本の就職活動と外国のそれが完全に異なるが故、だからです。

これは近頃になってようやく言われるようになりましたが、
日本では「就社」
外国では「就職」

をしようと求職者が考えるからなのです。

日本では「どの集団に属するか、が最も関心の高いこと」であり、
外国では「自身がどんな役割を演じるか、が最も関心の高いこと」であります。

例を挙げますと、

…日本にて「お仕事は?」と尋ねると、「●●に勤めています」と答えるのがその代表例でしょうし(最近はご自身の個人情報を守るという観点が出て来たからか、単に「会社員」とお答えになる方が増えてきているとは思いますけれども)、

…外国で同じように尋ねると、「セールスの仕事をしている」「広報の仕事をしている」「フロアマネジャーだ」など具体的に担当している業務が答えとして帰って来るでしょう。
(会社の名前は、尋ねれば教えてくれるでしょうが、尋ねたところで「聞いたことないよね」となるのが積の山でしょう)


この考え方が、根本において変わらない限りにおいては、中小の事業者様は採用に苦しまれ続けると考えます。だって、その会社でご自身が何をするかよりも、会社の看板だけを見ようとすれば、それは大きな企業(プラス役所・公立学校など)のほうが安定度は高いし、周囲の方々にもどんなところに勤めているのかがわかりやすいわけですからね、そちらを選ぶ方が多くてもおかしいとは言えません。
(私個人としては、あまりに夢のない職業選択の仕方だとは思いますけれど)

では、そういうマインドセットの中で、どうやっていくか。

私としては、ベタに、その仕事を通して、

「一緒に、どんなふうに成長していきたいか」
「会社全体として、どんな人々の集まりになりたいか」
「社会にどう貢献するか」

を熱く語るしかないと思うのです。要は、

「今、出来上がっているもの(大企業、役所)ではなく、自分達が本当になりたい姿に自力でなっていこう。そのプロセスを楽しもう」

ということを、きちんと会社の方向性として打ち出して、求職している方々に言えるのかどうかではないでしょうか。

このことができたからと言って、すぐに日本の風潮が変わるとは思いません。
ですが、「自分が会社やお店を経営する」のは何故なのでしょうか。他の誰でもない自分がやることによって、「何かしら世間に問いたい、世間の役に立ちたい」からだと思います。それは従業員の方(もしくはこれから入社する方、求職中の方)でも同じはずです。

それを経営者である、皆さんが論理的に、かつ熱く語れているかどうか。
そこが不十分なのです。
故に「属すること」や「単純に金銭の寡多」のみに焦点が集まるのだと思います。そうなってしまっては、全てが大きいものに飲まれていくだけです。だとしたら、我々はなぜ存在するのでしょうか・・・?

禅問答のようになっていますが、そのくらい根本まで突き詰めて考えるべき事柄なのだと私は考えます。求職を受ける(採用する)ということは、その採用者の生活のいくばくかを引き受けることでもあります。彼らに誠意を求めるならば、こちらも誠意をもって対応しなくてはなりません。

きちんと、自分達が「行うこと」「行いたいこと」「行うべきこと」を明確にして、旗色鮮明にし、世間に自分達の姿を映していきたいと思うのですが、皆様は如何思われますでしょうか。

こういうお話しも経営者の方とぜひさせていただきたいと思っておりますので、お声掛けくださるのをいつもお待ちしております!

では、年末慌ただしいですが、頑張っていきましょう。



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