めっきり朝夕は涼しくなりましたが、皆様におかれましてはお変わりありませんでしょうか。
過日こんなことがありました。
私の経営支援先の企業様2社をお繋ぎしようと(それぞれを今まで引き合わせたことはなかったのですが、その2社は需給の関係になることができる)、そのうちの1社(以降、A社)へ電話を掛けました。
本当はメールにて連絡したかったのですが、A社は社業へのインターネット導入がまだの会社です。ですので、電話が最も早い連絡手段です。
しかし、A社の社長はご自身で配達や集金に出掛けられる方だと知っていましたから、簡単に掴まらないだろうなあ・・・と予測しておりました。
朝9時、電話を掛けます。案の定、既にお出掛けなさった後でした。
電話に出られた従業員の方に「平賀から電話があったとお伝えください。また掛け直します」と告げ、電話を切りました。
折り返しの電話を依頼はしていません。その社長にご連絡するのは4か月ぶりくらいで、かつこちらが何の前触れもなく、用件を持ちかけているわけですから。
午前11時、再度電話します。外回りから帰っているのではないかと思いつつ。
すると、先程の従業員の方が再度電話に出られて、まだ社長はご不在で、昼には戻るとのこと。仕方なく、ふたたび電話があったことを伝えていただけるようにお願いして電話を切りました。
この時点でも折り返しの電話や携帯電話の連絡先は尋ねていません。そこまで急いでいるわけではなかったこと、また持ち掛けている話は、社長の出先でしていただきたくなかったことがその理由です。
で、午後1時過ぎに、もう一度電話します。昼ご飯に外出なさることが多い社長であることも分かっておりますから、昼ご飯から戻って来られる頃合いを見計らって、です。
しかし、また同じ従業員の方が電話に出られて、まだ社長はお戻りではないとおっしゃいます。それ自体は仕方ありません。しかし、こちらが電話していることを伝えてもらえているのか、と尋ねますと「いや・・・」とモゴモゴお答えされます(要は、何もしていない)。
ここで折り返しの電話を依頼すれば良いようなものですが、この従業員の方の物言いを聞いて、それを依頼するのは控えました。上手く伝わらない可能性が高いと判断したからです。
そして、午後5時15分。A社の終業時刻に、再度電話しました。ついに社長が電話に出られました。「何度か電話もらってた?」との第一声でした。やっぱり私からの電話はきちんと伝わっていなかったようですし、社長もそれを質してはいない様子でした。
私が電話を何度も掛けること自体は全く問題ありません。話を持ちかけているのはコチラですし、前振りもなしに、ですからね。
しかし、私が何者であったとしても、A社の社長に対して同じ日に、同じ人間から何度も電話があれば、何かしらそれなりに重要な話が持ち込まれていると感じ取って(仮にそうでなかったとしても)、この従業員の方は社長に「折り返し電話なさってみてはどうですか」と進言したほうが良かったのではと思いますし、社長は社長で「何度も電話が来ている」と聞けば、その時点で自分から電話をするくらいの対応は必要ではないでしょうか。
何しろ、このA社は他の連絡手段を使えないのです(社長も従業員の方も全くEメールを使えないのですから!)。「また向こうから掛けてくるだろう」と待っていては、機会損失するかもしれません。
実際、この社長と私の話にて、社長が私の持ち掛けた内容に非常に消極的であったため、もう私のほうからこのA社にお願いするのは止めました。
(・・・本当は受けてもらいたかったのです。このA社は債務過多で、売上が10年前と比較すると約2割まで落ち込んでいて、挽回の余地もあまりないからです。引き合わせようとしたもう一方の会社もかなり業績は悪いのですが、何とか糸口をつかみたい、ということで私に引き合わせることを依頼して来られました。だからある意味A社にとっては「渡りに船」であったのです。しかし話も聞こうとなさらないのではどうしようもありません)
経緯をお話しするのが長くなってしまいましたが、要は次の2点が問題であるのです。
1、インターネット経由で連絡するのが当たり前の時代に、電話しか使えないことの不利。
(人間ですから、聴き間違えもありますし、それは言った言わないのトラブルの種にもなります。また電話を取る、ということで相手の時間を奪うことにもなってしまいます。手の空いた時に自由に読んでもらえるEメールは、その点非常に優位性が高いと考えます、特に社長をはじめとする経営陣や中間管理職の方々にはそうでしょう。)
2、そういうご時世において、わざわざ電話にて連絡が来ることの意義を考えていないこと。
(何度も電話を掛けてくるということは、確実に何かしら伝えたいメッセージがあるからでしょう。それを重要と捉えない、その姿勢に大いに問題があり、それはやはりA社の苦境と関連性があると言わざるを得ません)
日本全体のGDPが伸びず、少子高齢化がますますエスカレートして、実態経済がシュリンクする時代にあって、相手から自分のところに話が舞い込んでくることが、そういう意味を持つのか、そしてそれが電話経由であったら、それは何を意味するのか、唯一無二の答えはないと思いますけれども、これを読まれる皆様にもよく考えていただければと思うのです。
やはり、持ち掛けられた話は、まずきちんと事情を聞いてみる。条件が合わなければ、その時点で断れば良いだけのことでしょう。しかも電話で問い合わせがあるとしたら、それは、かなり有望な引き合いである可能性が高いはずです。
そういったものは、貪欲に掴み取る積極性を備えることも、これからの時代を生き抜くには必要なことがらであると私は考えます。
では、A社は今後どうするのが良いのでしょうか?
私が社長であれば、次のようにします。
1、電話対応を別の従業員にさせる。
(電話を受けるというのは、非常に重要なことです。会社自体の対応力を問われますし、その対応によっては好感を持ってもらえるでしょうし、悪ければ、取引を失うことにもなります。しかし、誰かから電話があったことを、きちんと他の人に伝えられないようでは、その人に電話番を任せるわけにはいきません)
(また顧客からの問い合わせについても、きちんと対応できる別の人にやってもらって、掛かって来る電話そのものを販促活動のように、コントロールしたいです)
2、インターネットの業務への導入を火急の課題として取り組む。
(これはもう言わずもがな、ですね。イマドキPCくらい使えなくては、ビジネスどころの話では、本来ないはずです)
今回の例は、傍から見れば「何と初歩的なことを!」とお思いになるに違いありません。
しかし、そういったさして難しくもない事柄にこそ、会社の姿勢は現れますし、それが業績にも色濃く影響します。
皆様の会社やお店でも、この基本中の基本というようなことこそ、大切に扱っていただきたいなと思います。それが皆様の組織の足腰の強さ(=基礎の堅固さ)であるのです。こういった基本の部分のレベルが低いまま、難しいことをやろうとしても、なかなかうまく行かないはずです。
お伝えする例として、わかりやすいものであったかどうか、私自身確信は持てませんが、とにかく、
・基礎の部分が非常に大切であること
・デジタル時代だからこそ、アナログ的な対人対応をより正確に行う必要があること
はご理解いただけるものと思います。
このような問題にも、提案を行いながら、改善への取り組みをお手伝いすることができますので、遠慮なくお声掛けください。
もう今年も残すところ3か月です。良い年末年始を迎えられるよう、日々頑張っていきたいものですね。では、また来月に。
