GTBコンサルティング 平賀 正志(中小企業診断士) -14ページ目


前回のコラムからの「事業計画」の立て方の続きです。
→前回のコラム

今回の話に進む前にちょっと振り返りをしましょう。

まず、取っ掛かりとして「何のために、会社は(事業所は、もしくはお店は)存在するのか?」を考えてください、と申し上げました。

「存在意義」と「実現したいこと」の2つ、考えてみていただけましたか?

そして、「その存在意義や実現したいことのために、『なりたい姿』はどんなものか」
を考えましょう、と申し上げました。
最初から、具体的な数値などが明確になるとより良いのですが、もし難しければ、
おおよそでも結構でしょう。


では、ここからが、今回やっていくことがらになります。

今回は、『現状の姿』を考えてみたいと思います。

『なりたい姿』への到達を目指す前に、スタート地点をきっちりと把握する必要があるからです。それなくしては、方策を見誤る可能性が大変高くなります。

まず、会社(事業所)やお店のプロフィールを作ってみましょう。
以下のものを数値や具体名で出してみて下さい。全体像が明確になるはずです。

・従業員数(経営者であるあなたも含めて)
・それぞれの従業員の担当業務
・一日の売上高、一週間の売上高、一ヵ月の売上高、一四半期の売上高、一年の売上高
・過去3年~5年の売上高
・取扱商品の品目(もしくは製造品目)、品目ごとの売上高
・取引先と、取引先ごとの売上高
・仕入品の品目と、品目ごとの仕入高
・仕入先と、仕入先ごとの仕入高
・各経費の使用状況
・固定資産の品目(これは台帳をみればほぼOK)
・その他備品類の購入品目と使用者、使用場所

ほかにもまだまだあるでしょうか。

とにかく、「今、自分達はどうなっているのか」ということを微に入り細を穿つまで調べておきましょう。

これも結構時間の掛かる作業ですから、今月もここまでとしておきます。
来月は次のステージへ移っていきます。





開業をする時、もしくは新規事業を始めるための融資を受けるなどに、
「事業計画書」というものを作ると思います。

ですが、別に特別な時でなくても、それは作って良いものです。
例えば、会社全体を見直したい時や、年度始め、などなど何時でもいいでしょう。
また、金融機関に提出するようなカッチリとしたものでなくとも構いません。

今回から数回に分けて、その「事業計画」の立て方(というよりは立てるための考え方になりそうですが)を書いていきます。是非ご参考になさってください。


今回は、その取っ掛かりとして、

「何のために、会社は(事業所は、もしくはお店は)存在するのか?」

を考えてみましょう。

間違いなく、どの会社も(事業所も、お店も)、ある「目的」のために設立されたはずです。

「何のために、我々は存在するのか」
「我々が存在し、事業を行うことで、どんなことをこの世の中で実現したいのか」

といったようなことです。

明文化されていれば、それを見直しましょう。
されていなければ、誰が読んでもわかる形で文章にしてみましょう。

この「存在意義」と「実現したいこと」が、全ての根本だと思います。

これがなかったら、わざわざあなたが、会社を起こすことも、お店を始める必要もありません。誰かの会社なり、お店で働けばいいのです。

そして、その「存在意義」と「実現したいこと」が明確になると、次の段階として、
存在意義を世間に知らしめるために、実現したいことを実現させるために

「自分達は、どういう姿であるべきなのか」

を考える必要が出てきます。例えば、

 ・会社の規模はどれくらいか

 ・おおよその売上高はどれくらいか

 ・業界での地位はどれくらいか

 ・地域での立場はどんな感じか


といったようなことです。言い換えれば、

「当初の存在意義や実現したいことのために、『なりたい姿』はどんなものか」

ということになります。

まずは、初回として、ここまでをじっくり考えてみてください。
続きは次回に。





少々時間が経っておりますが、今月11日に東北・関東を襲った地震・津波により被災されました皆様へお見舞い申し上げます。またそれにより不幸にしてお亡くなりになりました方々へお悔やみ申し上げます。
復興への道のりは決して短く楽なものではないでしょうが、少しずつであってもしっかりとそこへ向けて歩んでいっていただければと願っております。


さて、本日は多くの企業および事業所での年度最終日であったのではないでしょうか。
本年度は如何だったでしょうか?
中には、明日からの人事異動や、年度末の棚卸などで、「それどころではない」というところも多いものとは思いますが。

ということで、兎角この時期は何かにつけて忙しいものです。それは大企業でも中小の事業者様でも全く同じでしょう。個人の生活上でもいろいろなことが変わり、忙しさを感じます。
そういう状況ですから、いろんなことにまで手が回らず、後回しになるにつけ、事業活動の中の何かが疎かになります。大抵はその企業もしくは事業者様の活動の中で「苦手」とされる部分です。

それで、「代わりにやってくれませんか?」と言って来られる経営者の方がいらっしゃいます。
それはそれできちんと手間賃をいただけるなら私自身は構いません。
また、苦手なことを他人にやらせるのですから、ご本人は気分が楽になりやりたいことに集中できるとお考えになるのでしょう。
そういうふうに、苦手部分をアウトソーシングするなり、士業などの専門家に任せ、効率を追求することによって、企業もしくは事業所の利益は一時的に良くなるかもしれません。

しかし、自身でそれをコントロールする術がいつまで経っても育たない大きな弱点も抱えることになります。ということは、長い目で見れば企業(事業所)の発展に障害になる、ということです。

ですが、何もかもを完璧にできる経営者の方はきっといないでしょう。
しかし「感覚」として「何でもこなせる」状態にはしておかないと「経営者」とは言えないでしょう。

例えば、製造の実作業は生産ラインの方々に任せるとしても、その作業の流れを正確に把握し、どこが問題でどこが良く運営されている部分なのかわからなかったら、経営者自身では何の決断もできません。

また、得意でなくとも、経理などの管理業務も一通りこなせなければ、何をもって正しい決算の数値とするのか、何が正しい労務処理なのかもわからないままでしょう。

ですから、「私は職人だから、経理や営業のことはわからない」などと経営者の方がおっしゃるようでは、その会社の存続は危うい、と感じます。少々厳しく申し上げますが、そういうものだと思います。
経営者は、職人でも中間管理職でも営業担当でもないのです。それら全てをコントロールする「代表者」なのですから。

しかしながら、その意識に欠けている方が大変多いです。
現実問題として、経営者・代表者の皆様が経営面・運営面の全てに長けていらっしゃることはあまりないものと思われます。
ですが、意識が欠けては経営の「差配」も取れないのだ、というふうにはお考えいただきたいです。
指示を出したり、重要な決定や判断を下せるのは、経営者・代表者の方しかいないのですから。

これを読まれるあなたは如何お考えになるでしょうか。
もしご意見頂戴できるのでしたら、本ページの「メッセージ」にお書きいただけ
れば幸いです。

私は、いつも中小事業者の皆様のご繁栄をお祈りしております。
そのためにお手伝いできることがあれば喜んでそのようにさせていただく所存です。