こんにちは。
試験の翌日なんですが。。。
見に来ていただいている方も少ないんだろうなとは思いますが、今日も書きます。
私の場合、受かった年も落ちた年も翌日は普通に勉強してましたから。。。
あ、勉強と言うより、試験問題を復習ですね。これも立派な勉強です。
むか~し、「学習を止めるとそのレベル(到達したレベル)に戻すのに時間がかかる。」ってのを読んでから、やはり「継続は力」ってのを意識するようになりました。
なにせ、地頭が良い方ではないもんで努力は必要です。
今日の過去問は、平成20年度問26の問題を○×式でやりたいと思います。
行政調査に関する次の問題を、最高裁判所の判例に照らして検討してみましょう。
それでは、早速。
問題
税務調査については、質問検査の範囲・程度・時期・場所等について法律に明らかに規定しておかなければならない。
正解は?
×
今日は「行政調査」です。
今一つときませんが、、、
行政調査=行政機関が行政作用を公正に行い、行政目的を達成するための情報等を収集する活動のこと
具体例
税務署の税務調査(この問題です。)、警察官による所持品検査など
他にもたくさんありますが、具体例は身近なものです。。。
まぁ、この内容をみると「あぁ~、なるほど。」って思うところは有りますよね。
そして、この調査は、強制調査、間接強制調査、任意調査の三つの種類があります。
強制調査=調査を拒否する者の意思に反して物理的強制等の行使が認められるもの(法律の根拠が必要)
間接強制調査=物理的強制を直接行使することはできませんが、調査を拒否した場合に罰則が科されるもの(法律の根拠が必要)
任意調査=調査を受ける者の任意の協力のもとに行われるもの
この行政調査は、任意か強制調査かにかかわらず、可能な限り調査を受ける側の負担とならない方法で行う必要があります。
「行政調査」の概要自体はこんな感じですね。
それでは、問題に入りますね。
問題では、「税務調査については、質問検査の範囲・程度・時期・場所等について法律に明らかに規定しておかなければならない。」
どうでしょう
「法律に明らかに規定」う~ん、ちょっと無理があるような。。。
昭和45(あ)2339 所得税法違反 昭和48年7月10日 最高裁判所第三小法廷 決定 棄却 東京高等裁判所
所得税法二三四条一項の規定は、国税庁、国税局または税務署の調査権限を有する職員において、当該調査の目的、調査すべき事項、申請、申告の体裁内容、帳簿等の記入保存状況、相手方の事業の形態等諸般の具体的事情にかんがみ、客観的な必要性があると判断される場合には、前記職権調査の一方法として、同条一項各号規定の者に対し質問し、またはその事業に関する帳簿、書類その他当該調査事項に関連性を有する物件の検査を行なう権限を認めた趣旨であつて、
この場合の質問検査の範囲、程度、時期、場所等実定法上特段の定めのない実施の細目については、右にいう質問検査の必要があり、かつ、これと相手方の私的利益との衡量において社会通念上相当な限度にとどまるかぎり、権限ある税務職員の合理的な選択に委ねられているものと解すべく、また、暦年終了前または確定申告期間経過前といえども質問検査が法律上許されないものではなく、実施の日時場所の事前通知、調査の理由および必要性の個別的、具体的な告知のごときも、質問検査を行なううえの法律上一律の要件とされているものではない。
この内容ですので、法律に明らかに規定しておくことが必要と言うわけではないようです。
問題
税務調査の質問・検査権限は、犯罪の証拠資料の収集などの捜査のための手段として行使することも許される。
正解は?
×
この問題も一問目同様、「税務調査」に関する判例からです。
問題では、「税務調査の質問・検査権限は、犯罪の証拠資料の収集などの捜査のための手段として行使することも許される。」と言っていますが。。。
これは、問題にも書かれていますが、
犯罪の証拠資料の収集ってことは、もろに「捜査」ですね。
税務調査に関する質問や検査の権限に含まれないと「許される」ものではないでしょうね。
税務調査の質問・検査権限(犯罪の証拠資料の収集を含む。)
これが認められるのかって問題です。
平成15(あ)884 法人税法違反被告事件 平成16年1月20日 最高裁判所第二小法廷 決定 棄却 高松高等裁判所
法人税法(平成13年法律第129号による改正前のもの)156条によると、同法153条ないし155条に規定する質問又は検査の権限は、犯罪の証拠資料を取得収集し、保全するためなど、犯則事件の調査あるいは捜査のための手段として行使することは許されないと解するのが相当である。
しかしながら、上記質問又は検査の権限の行使に当たって、取得収集される証拠資料が後に犯則事件の証拠として利用されることが想定できたとしても、そのことによって直ちに、上記質問又は検査の権限が犯則事件の調査あるいは捜査のための手段として行使されたことにはならないというべきである。
ハッキリと書かれていますね、「犯則事件の調査あるいは捜査のための手段として行使することは許されない」と。。。
これは、目的が全然違いますから当然の内容ですね。
問題
保健所職員が行う飲食店に対する食品衛生法に基づく調査の手続は、行政手統法の定めるところに従って行われなければならない。
正解は?
×
こ、これは。。。
以前、勤めていたところで、「保健所さんが来る。」ってのはよく聞いてました。
まぁ、それは定期的なものでしたけどね。
その保健所さんが行う食品衛生法に基づく調査の手続は、「行政手続法」の定めに従って行われるのか
これは、皆さんもご存知の「行政手続法」に行政調査についての規定があるのかってことを考えれば解りますよね。
行政手続法には、行政調査についての規定はありませんよね。
ただ、こんな規定はあるんですね。
(適用除外)
第三条 次に掲げる処分及び行政指導については、次章から第四章の二までの規定は、適用しない。
一~十三 略
十四 報告又は物件の提出を命ずる処分その他その職務の遂行上必要な情報の収集を直接の目的としてされる処分及び行政指導
十五、十六 略
2、3 略。
書いてますね、「その職務の遂行上必要な情報の収集」。
これは、内容的には「行政調査」ですね。
そして、この条文は適用除外規定です。
次章から第四章の二までの規定=申請に対する処分、不利益処分、行政指導、処分等の求め
これらの規定が適用除外となっています。
まぁ、もともと行政調査に関する規定は有りませんし、この条文も適用除外規定ですから「行政手続法」の定めるところに従って行われなければならないって訳ではありませんよね。
んじゃ、調査の手続は
食品衛生法
第二十八条 厚生労働大臣、内閣総理大臣又は都道府県知事等は、必要があると認めるときは、営業者その他の関係者から必要な報告を求め、当該職員に営業の場所、事務所、倉庫その他の場所に臨検し、販売の用に供し、若しくは営業上使用する食品、添加物、器具若しくは容器包装、営業の施設、帳簿書類その他の物件を検査させ、又は試験の用に供するのに必要な限度において、販売の用に供し、若しくは営業上使用する食品、添加物、器具若しくは容器包装を無償で収去させることができる。
2 前項の規定により当該職員に臨検検査又は収去をさせる場合においては、これにその身分を示す証票を携帯させ、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示させなければならない。
3 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
4 略。
この規定に従って行われます。
それと3項ですね。
前の問題の内容が条文に入っています。。。
問題
警察官職務執行法2条1項の職務質問に付随して行う所持品検査は、検査の必要性・緊急性があれば、強制にわたることがあったとしても許される。
正解は?
×
この問題は大丈夫ですね。
1問目で調査は3つありましたよね。
この「職務質問に付随して行う所持品検査」は、任意調査です。
そのため、「検査の必要性・緊急性があれば、強制にわたることがあったとしても許される。」ってことはありません。
検査に必要性・緊急性がある場合で「強制にわたる」ものは、令状が必要になるでしょうね。
強制にわたる=法律の根拠が必要→令状主義
令状主義=逮捕、勾留、捜索、押収等の強制処分は、裁判官又は裁判所の発する令状によらなければ、実行できないとする原則。
これは、強制処分の理由と必要性を公正な第三者に審査させることにより捜査機関の権限濫用を抑制し、私人の人権を保護することを目的とするためのものと言うことです。
昭和52(あ)1435 爆発物取締罰則違反、殺人未遂、強盗 昭和53年6月20日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所
所持品検査は、任意手段である職務質問の附随行為として許容されるのであるから、所持人の承諾を得て、その限度においてこれを行うのが原則であることはいうまでもない。
しかしながら、職務質問ないし所持品検査は、犯罪の予防、鎮圧等を目的とする行政警察上の作用であつて、流動する各般の警察事象に対応して迅速適正にこれを処理すべき行政警察の責務にかんがみるときは、所持人の承諾のない限り所持品検査は一切許容されないと解するのは相当でなく、捜索に至らない程度の行為は、強制にわたらない限り、所持品検査においても許容される場合があると解すべきである。
ポイントは、
所持人の承諾のない限り所持品検査は一切許容されないと解するのは相当でなく、
捜索に至らない程度の行為は、強制にわたらない限り、所持品検査においても許容される場合がある
この内容、「承諾がなくてもできる」けど、「捜査に至らない程度」で「強制にわたらないもの」は許される場合があるって内容です。
ちょっと、ファジーです。(笑)
問題
自動車検問は国民の自由の干渉にわたる可能性があるが、相手方の任意の協力を求める形で、運転手の自由を不当に制約するものでなければ、適法と解される。
正解は?
○
この問題は経験している方もいるかも知れませんね。
いないかな そうそういないか。。。
ポイントは、やはり「任意」ですね。
普通は、やましいことがない限り、協力はするでしょうね。
やましいことがあるから「検問突~破」するってことです。
昭和53(あ)1717 道路交通法違反 昭和55年9月22日 最高裁判所第三小法廷 決定 棄却 福岡高等裁判所 宮崎支部
警察法二条一項が「交通の取締」を警察の責務として定めていることに照らすと、交通の安全及び交通秩序の維持などに必要な警察の諸活動は、強制力を伴わない任意手段による限り、一般的に許容されるべきものであるが、それが国民の権利、自由の干渉にわたるおそれのある事項にかかわる場合には、任意手段によるからといつて無制限に許されるべきものでないことも同条二項及び警察官職務執行法一条などの趣旨にかんがみ明らかである。
しかしながら、自動車の運転者は、公道において自動車を利用することを許されていることに伴う当然の負担として、合理的に必要な限度で行われる交通の取締に協力すべきものであること、その他現時における交通違反、交通事故の状況などをも考慮すると、警察官が、交通取締の一環として交通違反の多発する地域等の適当な場所において、交通違反の予防、検挙のための自動車検問を実施し、同所を通過する自動車に対して走行の外観上の不審な点の有無にかかわりなく短時分の停止を求めて、運転者などに対し必要な事項についての質問などをすることは、それが相手方の任意の協力を求める形で行われ、自動車の利用者の自由を不当に制約することにならない方法、態様で行われる限り、適法なものと解すべきである。
この判例を読んで、「ホォ~。」と思ったこと。。。
「自動車の運転者は、公道において自動車を利用することを許されていることに伴う当然の負担として、合理的に必要な限度で行われる交通の取締に協力すべきものであること」
この部分ですね。
「負担」
眼鏡等は、条件ではなく「負担」ですよね。
負担=合理的に必要な限度で行われる交通の取締に協力すべきものであること
どうですか
普段考えたことがないようなことも「なるほど~。」って思えますよね。
免許証には書かれていない「負担」を負っていると言うことですね。。。
今日も最後まで有難うございました。
今日のところはここまでです。
んでまずまた。
嬉しい悲鳴かな。。。
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