こんばんは。
今日は、身近なところからの問題です。
の運転免許制度に関することですので、一般的な知識で判断できるものも含まれています。
免許を取得しても普段は気にするところでもありませんので、「えぇ~、そうなんだ。」ってのもありますから面白いと思いますよ。
今日の過去問は、平成19年度問10の問題を○×式でやります。
それでは、早速。
問題
自動車の運転免許を交付する事務は、都道府県公安委員会が処理しているが、これは本来国の事務であり、国家公安委員会から都道府県公安委員会に対して機関委任されているところの「国の機関委任事務」に該当する。
正解は?
×
この問題は簡単ですけど、奥が深いですね。
事務の区分についてです。
まず、簡単って言える方の突っ込みどころは、「国の機関委任事務」に該当するでしょうね。
現在、機関委任事務は廃止されていますから。
あるのは、自治事務と法定受託事務です。
問題にある、「これは本来国の事務であり、」ってのは法定受託事務をあらわすものですが、はたして。。。
道路交通法
(運転免許)
第八十四条 自動車及び原動機付自転車(自動車等)を運転しようとする者は、公安委員会の運転免許(免許)を受けなければならない。
2~5 略。
公安委員会の運転免許を受けなければならないと書かれていますが、実務を行うのは都道府県の公安委員会ですね。
ただ、実際はどうなのか
自動車の運転免許を交付する事務を実際に行っているのは、各道府県の警察本部交通部ですね。
都道府県の公安委員会から、委任を受ける形で行っているもので、事務の区分は、「自治事務」に該当します。
これ、「委任を受ける形で行っているもの」ってことで、免許証を確認すると宮城県の場合は写真の下に「宮城県公安委員会」と記載されています。
問題的にはちょっと複雑ですが、現在は、自治事務と法定受託事務ってことで×です。
問題
自動車の運転免許は、免許を受けた者に対し、公道上で自動車を運転することができるという新たな法律上の地位を付与するものであるから、行政行為の分類理論でいうところの「特許」に該当する。
正解は?
×
行政行為の分類ですね。
この何に該当するのかってのはときどき出題されますので、要注意です。
特許=特定の人のために、新しい権利や法律上の地位を設定する行政行為。
この内容、運転免許の内容ではないですね。
以前、聞いた話ですが、むか~し、昔、自動車が日本に入ってきた頃は自由に自動車を運転できたそうです。
免許なんかは必要なかったらしいんですね。
ただ、そうなると必然的に運転技能や交通ルールなど、道を歩いていると危ない状況が起こってくるじゃないですか。
自動車って鉄の塊ですから。
そのため、交通の秩序を守る必要性や一定の運転技能の必要性から免許制が導入されたって話です。
この自動車の運転免許は、本来、国民が有している権利を法律で禁止して、ある条件を満たした場合に、その禁止を解除する行為ですので「許可」にあたります。
問題
道路交通法違反行為をしたことを理由として、公安委員会から運転免許停止処分を受けた者が、その取消しを求めて出訴している間に免許停止期間が終了した場合は、その行為による違反点数が残っていたとしても訴えの利益は消滅する。
正解は?
×
この肢は判例に絡めた問題です。
訴えの利益です。
行政事件訴訟法
(原告適格)
第九条 処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴え(取消訴訟)は、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者(処分又は裁決の効果が期間の経過その他の理由によりなくなつた後においてもなお処分又は裁決の取消しによつて回復すべき法律上の利益を有する者を含む。)に限り、提起することができる。
2 略。
この原告適格の内容を頭に入れて判例を見てみましょう。
昭和53(行ツ)32 審査請求棄却処分取消、運転免許停止処分取消 昭和55年11月25日 最高裁判所第三小法廷 判決 破棄自判 名古屋高等裁判所 金沢支部
福井県警察本部長は、昭和四八年一二月一七日被上告人に対し自動車運転免許の効力を三〇日間停止する旨の処分(以下「本件原処分」という。)をしたが、同日免許の効力停止期間を二九日短縮した、被上告人は、本件原処分の日から満一年間、無違反・無処分で経過した、というのである。右事実によると本件原処分の効果は右処分の日一日の期間の経過によりなくなつたものであり、また、本件原処分の日から一年を経過した日の翌日以降、被上告人が本件原処分を理由に道路交通法上不利益を受ける虞がなくなつたことはもとより、他に本件原処分を理由に被上告人を不利益に取り扱いうることを認めた法令の規定はないから、行政事件訴訟法九条の規定の適用上、被上告人は、本件原処分及び本件裁決の取消によつて回復すべき法律上の利益を有しないというべきである。
書かれているのは3点です。
・30日間の免停が29日短縮され、一日の期間の経過で処分の効果はなくなった。
・被上告人は、本件原処分の日から満一年間、無違反・無処分で経過した。
・本件原処分の日から一年を経過した日の翌日以降、被上告人が本件原処分を理由に道路交通法上不利益を受ける虞がなくなった。
免許停止の期間及びその期間の経過により違反点数が消滅した場合は、道路交通法上の不利益を受ける虞がなくなったことになり、取消の訴えによって「回復すべき法律上の利益」は無いと判断しています。
今回のこの肢は、違反点数が残っていたとしてもとあります。
これは、再度、何らかの処分を受けたときの加重要件となりますし、裁判をしたらその違反点数が消えるかもしれませんから、訴えの利益は有りますね。
問題
自動車の運転免許の期限として、免許証に記載されている「○年○月○日まで有効」という条件は、行政行為の付款理論でいうところの「期限」に該当する。
正解は?
○
これは大丈夫ですね。
運転免許証の有効期限です。
期限=行政行為の効力の発生・消滅を発生確実な将来の事実(期限到来)にかからしめる附款をいう。
間違うことはないでしょう。
それともう一つ。
それでは眼鏡は
これは、試験勉強を始めるまでは、私は間違っていました。
この眼鏡は過去問でも出ていますが、一般的には条件って思うところですね。
ですが、これは、「負担」です。
負担=許可等をする際に、行政行為に伴う特別の義務を行政行為の相手方に課す附款をいう。
免許証の「免許の条件等」のところに「眼鏡等」と記載されているのは、運転をするためには「眼鏡をかける」という特別の義務が課されていると言うことです。
この負担と私も間違っていた条件との違いですが、
条件は行政行為の効果の発生や消滅に関わるものです。
条件が満たされないと行政行為の効果が発生しなかったり、消滅はしないと言うことです。
それに対し、負担は行政行為の効力それ自体に関わるものではありません。
この眼鏡の場合は、眼鏡をかけないことで、運転免許の許可それ自体が消えると言う訳ではありませんよね。
ちょっと混乱するかもしれませんが、あくまで眼鏡は、行政行為の附款理論では「負担」です。
ただし、罰則を考えた場合、「免許の条件等」のところに記載されていますので、免許条件違反となります。
違反点数2点、普通車で反則金が7,000円です。
ちょっと混乱するところですね。
問題
自動車を運転する者は、運転中は必ず免許証を携帯しなければならないものとされているため、免許証を携帯せずに運転し、警察官の求めに対して直ちに免許証を提示できなかった場合は、無免許運転として扱われることになる。
正解は?
×
これは、一般的な知識でわかる範囲ですね。
免許不携帯です。
問題に書いている内容は以下の内容です。
道路交通法
(免許証の携帯及び提示義務)
第九十五条 免許を受けた者は、自動車等を運転するときは、当該自動車等に係る免許証を携帯していなければならない。
2 免許を受けた者は、自動車等を運転している場合において、警察官から第六十七条第一項又は第二項の規定による免許証の提示を求められたときは、これを提示しなければならない。
まぁ、そのままですね。
それと問題にある無免許運転ですが、
(無免許運転等の禁止)
第六十四条 何人も、第八十四条第一項の規定による公安委員会の運転免許を受けないで(運転免許の効力が停止されている場合を含む。)、自動車又は原動機付自転車を運転してはならない。
2、3 略。
第八十四条第一項の規定は、最初の方の問題で見た公安委員会の運転免許を受けるって規定です。
免許を取得して不携帯の状態と免許を受けることなく自動車を運転する無免許運転では内容が全然違うと言うことです。
罰則も全然違いますからね、注意が必要です。
無免許運転=1年以下の懲役又は30万円以下の罰金
免許不携帯=3,000円の反則金
を運転する前に、免許証の携帯を確認しましょう
今日も最後まで有難うございました。
今日のところはここまでです。
んでまずまた。
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