ちょいと若い | ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

テロワールにより造り手により 変幻の妙を見せるピノ・ノワールの神秘を探る


グロ・フレール・エ・スール オート・コート・ド・ニュイ 2002
購入日    2004年12月
開栓日    2006年8月1日
購入先    ヴェリタス
インポーター ヴェリタス
購入価格   1780円

昨年12月に同じワインの2001を開栓して絶賛した。
その後19981999も開けてみた。
その結果、このワインのピークはかなり短い期間であり、ピークの前や後では若すぎたり
老けすぎたりして、このワインの魅力を十分味わえないと思われた。

その時(昨年12月)のわたしの予想として、あと半年待てば2002の開栓時期が訪れるだろうと
書いた。
そしてすでに8ヶ月経過したので、2002を開栓したわけである。

結論。まだちょいと若かった。
開栓当日にはまだまだ渋みがあって、球体ではなく多面体のようにワインの粒子に角がある。
しかし予想通り、開栓翌日にはピークと迎えたと言えるほどまろやかになり、陰影を伴った
優美なピノ・ノワールが姿を現す。
あと半年したら、開栓直後から飲み手を官能の世界に誘うワインとなるであろう。

決まり文句のようだが、これで1780円とは驚きである。
多少軽くて薄っぺらく、酸味が表に出すぎるという特徴はあるが、この暑い時期に脂ぎったワインなど、
いくら金に糸目はつけません(つけますけど)、という心意気があっても開栓する気にならない。

いやあ、やっぱりワインはTPO、セラーにグラン・クルだけ揃えておけば事足りる、といった
単純なものじゃあないことが実感される。

それにしてもこのワイン、相変わらず開栓時期が難しい。
このワインの真価が十分に発揮された状態で開栓されるのは、ひょっとすると数十本に1本ではないか。
世間の多くの人々はもうすでに2002を開栓されていて、2003も開けられているのではないか。
デキャンタしたとしても、好みの違いがあるにしても、この2002の最上の開栓時期は、まだ半年先である。

わたしが購入したのが一昨年の暮れだから、ピークまで2年も保管しなければならないことになる。
普通の飲み手はきちんとワインを保管する環境など持たないだろうから、このワインが最上の状態で
飲み手に供されることは、ますます希有なことと思われる。

きっともっと早飲みできるように造ることも可能だろうが、おそらくベルナールさんは、確信があって
こういう造りをしているのだろう。
そして、この安定感にも信頼性を感じる。
2本に1本はハズレるグラン・クルの、不安定さの責任は一体誰にあるのだろう。

もう少し飲み頃の期間が長く続けば、このワインに注文することは何もない。