ただただ脱帽 | ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

テロワールにより造り手により 変幻の妙を見せるピノ・ノワールの神秘を探る


グロ・フレール・エ・スール オート・コート・ド・ニュイ 2001
購入日    2004年12月
開栓日    2005年12月7日
購入先    ヴェリタス
インポーター ヴェリタス
購入価格   1780円

すでにブルゴーニュ・ファンには有名なワインで、生産量も多いため比較的入手も容易だし、
今さら紹介するには気が引けるが、ここまで立派だと書かざるを得ない。

同じワインを昨年12月に1本、今年2月に次の1本を開栓し、その時の印象をメモしていた。
 開栓当日は固く、一口飲んで置いておくと翌日には少し開き、凝縮感を感じさせる。
 それでもまだ若く、ピークまでにはあと最低でも1年は必要と思われるが、
 ピークの高さを予感させる非常に良くできたワイン。

そして約1年経過したので、そろそろ本領を発揮する頃だと考え、昨日開栓した。
結果、予想をはるかに上回るレベルに熟成しており、
改めてこの造り手の実力を再認識することになった。

開栓早々から酸味は丸く上品で、深くそして1分も続く長い余韻を持ち、まさにブルゴーニュの
魅力を満載したすばらしいピノ・ノワールがそこにあった。
先日開栓した、同じ2001の特級クロ・ヴージョ・ミュジニーがまだ熟成手前であったのとは
かなり違う。

オート・コート・ド・ニュイという広域の名を冠するワインにして、力のある造り手にかかれば
下手な1級畑のワインをはるかにしのぐ、こんなものが出来上がるのである。
テロワールにこだわらなければ、標準的な村名ワインの水準を優に超えている。

価格を云々するのはヤボと言うものだが、昨日のボワイヨのジュブレの1級や、
アミオの特級クロ・ド・ラ・ロッシュを例に出すまでもなく、
これよりずっと高価なワインで、どうしようもない代物はゴロゴロしている。

もしこのワインをすでに飲まれた方がおられて、開栓時期が今年前半だったとしたら、
このワインのほんとうの実力は未体験である、と思われた方がいいだろう。
それほどこの1年の熟成による変化はめざましく、今年前半であれば、
その魅力の半分も体験できなかったとわたしは思う。

同じワインを開けても、時期が異なれば評価はまるで違ったものになるのは当然で、
実際は早飲みされてしまっているボトルが非常に多いと思われるが、
この2001の飲み頃は「現在以降」である。

ちょっと冒険をして知らないドメーヌのものを買っても、感心することなどほとんどない。
そんな遊び心にお金を使うくらいなら、少し高くても間違いない造り手のものばかりを
買い込んで開けている方が、結局安上がりである。

正直のところ、2000円以下のブルゴーニュ、いや世界中のワインで、
これ以上のワインにはお目にかかったことはない。
これは希有な出会いである。

ここまで安くてレベルの高いピノ・ノワールがあると知ると、今までの投資は何だったんだ、
と思ってしまう。
これを毎年ダース買いしてデイリーワインにしておけば、平穏無事なワイン生活は保証される。
ブルゴーニュ勉強中のわたしに、そんな無力感を起こさせるほどのワインであった。

ただし、あくまでピークで開栓できた場合の話であることをお断りしておく。
上記の感想は、2001だけで3本開栓した上での話であって、
今でも手に入る2002や2003を買ってすぐに開栓したのでは、同じ経験はできない
可能性が高いと思われる。
2002なら今でも飲めるだろうが、おそらくピークはもっと先だろう。

この2001と良くできた1級畑のワインとの違いは、開栓翌日の複雑味とブーケであり、
1年前には、開栓翌日の方がずっとほぐれて美味しかったのと対照的に、
開栓後24時間くらいで飲みきらないと、少ししんどそうであったことを付記しておく。