これまでの話、Battle Day0-Day135 のあらすじは、以下のリンクをご覧ください、

登場人物は右サイドに紹介があります、

1. あらすじ BattleDay0-Day86

2, あらすじ BattleDau87-Day135

Day136-あらすじ

父は再び脳出血を起こしており、ICU入院となった。コオは、莉子は当てにならない、と見切りをつけ、病院のケースワーカーと、コオは話をし、自分を連絡先の一つに入れてもらった。

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 コオはこの時点で、精神的にほぼ限界になっていた。

 家族旅行から返った次の日、莉子と決裂してからのこの2ヶ月弱の間にコオは、動き続けた。あの日莉子に投げつけられた言葉は、莉子の背後に母がいて母とともに莉子がコオを罵っているように感じられた。それを、消してしまいたかったのだ、と今は思う。

 

 お姉ちゃんは勝手!お母さんのお金使っていいよね!介護の覚悟のない人に関わってなんてほしくない!お姉ちゃんが人とうまくやっていけないの、わかるわ、ほんとに!!

 

 違う。違う。違う。

 違う。違う。違う。

 

父のために動き、頼まれたものを買い、ケアプログラムをケアマネージャー立石と相談し、自分は表に出ずに、主治医を決めるための調査をし、検査のための手はずを整え…

 友達が、たくさん教えてくれた、色んなことを、事情を話したら個人的な資料まで見せてくれて・・・訪問看護の病院も・・・

 

お姉ちゃんが人とうまくやっていけないの、わかるわ、ほんとに!!

 

 なのに。

 ずっと頑張ってきた、と思っていたのに。

 私は一人だ。

 苦しんでいる私を、遼吾はずっと放置してる。

、助けて、と言っても、救われることはない、と一刀両断された。

 夫は、私の味方ではない。誕生日も一人ぼっちだった。

 健弥も、私の子供なのに。

 いくら、父のために動いても、父は「心配なのは莉子ちゃんだけだ」という。

 だったら。私は何をやっているのだろう。

 

 お姉ちゃんが人とうまくやっていけないの、わかるわ、ほんとに!!

 

 夫と名前のついた人と、我が子と名前のついた子供はいても

 いや、同じ部屋にいるのに、信じられないくらい遠い。 

 苦しいと言っても、助けて、そばにいて、と手を伸ばしても。

 繰り返し繰り返しこうして放置される。

 それは、砂漠の中で幻のオアシスを見せられるように残酷だ。

 

お姉ちゃんが人とうまくやっていけないの、わかるわ、ほんとに!!

 

莉子の言葉がこだまする。それは、母の声とだぶる。母が死んでからも莉子だけの味方なのだ。そして私は一人だ。同じ部屋に、遼吾がいても、健弥がいても、彼らは他人よりもとおい。

 

「部屋を…借りて。そうしてくれなかったら一生恨む。私は…もう、あなたとここで一緒に暮らすのは無理。健弥は…ついてきてくれるなら一緒に来てほしい。」

 

コオはいった。

 これまでの話、Battle Day0-Day135 のあらすじは、以下のリンクをご覧ください、

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1. あらすじ BattleDay0-Day86

2, あらすじ BattleDau87-Day135

Day136-あらすじ

父は再び脳出血を起こしており、ICU入院となった。コオは、莉子は当てにならない、と見切りをつけ、病院のケースワーカーと、コオは話をし、自分を連絡先の一つに入れてもらった。

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コオは、週末父に2度ほど会うことができた。父はICUだったので、6人部屋のうち残りの5人はほとんど話ができないような状態の人ばかりで、コオはひどく心配だった。父は処置が早かったおかげで、入院前にコオが感じた口調の異常さもなくなり、少し元気はなかったが、話もできる状態に回復していた。回復には、話をすること。なのに、コオも平日は行くことができない。莉子は…この時点で1度も来ていなかった。 

 

 「パパ、すごいね2回も脳出血起こしたのに、麻痺もなければ話もできる。奇跡的だよ。」

 「そうか、僕はラッキーなんだな。」

 「そうだよ、だからこれを維持できるように、今度は家に帰ってもちゃんとリハビリしないとね!!」

 

 父が前回の入院時と違うのは、ひどく気力をなくしていることだった。前の入院のときは、自分はラッキーなのだ、回復できる、回復しよう、という意欲が感じられたのに、コオとあっても、莉子の心配ばかりを、弱々しく語った。

 莉子がもう、自宅を売って中古のマンションを買おうと考えてる。しかし、そんな甘いものではないだろう、自分は莉子が自分がいなくなっても住めるように、壁や屋根も直したのに、莉子は本格的にそれを考えているのだ、と父は言った。

 

「マンションだって、買って終わりじゃないからね。管理費やなんやら、毎月万単位で出ていくよ。家売ったら税金だって取られるだろうし。」

「ああ、そうなんだ。だから・・・なんとか、それを止めてほしいんだよ・・・」

「パパの家なんだから、大丈夫だよ。それも、ちゃんとまずは回復して、自分で莉子に伝えればいい。だから、しっかりここでリハビリして、まずは体力戻さないと。ご飯も食べてさ。」

 

コオは、ひたすら父には元気が出るような話だけしようと決めていた。大半は病気と関係ない話をし、自分の仕事の専門の話をした。そして、あの、家族旅行から返った次の日にヒステリーを起こした莉子に実家から追い出された後、コオはボイスレコーダーを購入し父と会うたびに会話を録音していた。

 それは莉子と話をすることになったとき、「パパは、こういっていた」と、莉子に証明できる、と思ったからだったが、コオはそれを一度も聞き返すことはなかった。

 必要がない以上に、コオはひどく傷ついた気持ちになるのがいやだったからだった。

 父は、繰り返し言った。

 

 「莉子ちゃんが心配なんだ。俺が心配なのは莉子ちゃんだけだ。」

 

  私は?私は…何なのだろう?

 私がやっていることは父にとって、何なのだろう?

 コオの中の小さな子供が、自分を見てくれ、と叫んでいる気がした。

 

 

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1. あらすじ BattleDay0-Day86

2, あらすじ BattleDau87-Day135

Day136あらすじ

父は再び脳出血を起こしており、ICU入院となった。コオは、莉子は当てにならない、と見切りをつけ、病院のケースワーカーを、ケアマネージャーの立石に紹介してもらうことにする。

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 「私は・・・深谷はじめの長女で、嶋崎といいます。結婚して家を出てますので姓はかわってますが。」

 

 「紅病院、ケースワーカー日辻と申します。ケアマネージャーの立石さんからお話は伺ってます。

 「あ、え・・・と」

 

コオは口ごもった。日辻さん。声からして20代後半から30代前半。立石さんから何を聞いてるのだろう?

 

 「その...結構前から、様子がおかしい、とは思ってたんですが、やはり父は脳出血だったんですか?」

 「はい。左頭頂葉からの脳出血でした。入院されたときはお熱も少しあって。」

 

 日辻と名乗ったケースワーカーは、入院時の様子をはなしてくれた。ICUに最低2週間は入院の必要がある。面会時間は15:00-16:00の1時間のみ。 これは週末しか基本的に会えないな、とコオは思った。出血は・・・前回とは違う場所?でも左頭頂葉...確か言語性短期記憶障害が出るような場所・・・?コオが考えながら話を聞いていると

 

 「それで、連絡先をお姉さまのものを入れてほしい、というご希望でよろしかったでしょうか?」

 「あ、ええ...ちょっと家の事情が複雑で。ただ、前回の入院でも、病院さんの方がなかなか妹と連絡が取れなかったと伺っていたもので。それで、無理に私の希望を出したりはしません、キーパーソンは妹なので。でも、父の状態とかは教えていただけると助かります。」

 「そうですね…確かに前回の入院でも、留守電に入れても全然折り返してくださらなくて、心配しましたから。」

 

 日辻は言って、コオの電話番号を連絡先に入れることを約束してくれた。

 立石の時と同じく、コオは、最初に自分の立場を明らかにして、キーパーソンは妹であること、そこが機能しない場合は支払いも含め、自分が責任を持つこと、ただ、父の状況は逐一教えてほしい、ということを頼み、引き受けてもらった。

 今も情報を得るためにこのやり方以上のものはなかったのだとコオは思っている。

 

 

このブログは小説の体裁をとっており、物書きの私Greerが文責ですが、

実際に戦っているのはK(コオのモデル)です。

合作なので、コオこと、Kへのメッセージも承っております・・・どうぞよろしくお願いします。

 

ここしばらくKも私も仕事が忙しく、全く更新しなかった日があったのは初めてです💦Realtimeの方だけでも、と更新してみました。💦

 行政(保健所)のバカさ加減はとどまるところを知らず、今回RealTimeにはかけませんでしたが、ともかくとんでもありません。

 責任・叱責・追求を恐れるあまりなのか、トンチンカンなことをやり続けております。本当に大事なのは、コオがDay100近辺でお世話になっていたケースワーカーのように、たとえ計画がうまく行かなかったとしても、誠意を持って、精一杯の手を尽くす事なのだな、と思います。

しかも、連絡の悪いことこの上ない。行政の縦割りここに極まれり。

 結局事態を悪くしているのはプロセスを踏むのが一番大事になり、 本来の仕事の目的を忘れている保健所をはじめとする行政。結果として市民を助けることなく、怒らせ、手遅れになり、結果仕事は増えて感謝もされない。まさに自分の首を自分で締めているように思えます。

 

 もがき続けながら生きていくコオを、どうか応援してください。

 これまでの話、Battle Day0-Day135 のあらすじは、以下のリンクをご覧ください、

1. あらすじ BattleDay0-Day86

2, あらすじ BattleDau87-Day135

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 父は、再び脳出血を起こしていた。

 急激なものではなかったらしく、じわじわと、進行してたらしい。手遅れになる前だったので、病院ですぐに処置を受け、父は再び紅病院、ただししばらくはICUに入院となった。

 

 おそらくは、しばらく前から始まっていたのだろう。コオが口調がおかしい、と思ったときはすでに始まっていたに違いない。

 コオは歯噛みした。

 莉子がちゃんと主治医を決めて、定期検査に行っていれば。もっと早くわかったかもしれないのに。ちゃんとデイケアに行っていれば他の職員が気づいてくれたかもしれないのに。結局2か月近く、父は主治医未定のままカテーテル交換をし、主治医のお願いに赤井クリニックに1度行っただけ。脳血管外科は一度も受診してない。

 莉子のせいだ。

 もしコオと立石が検査に連れだす計画を立てなければ、わからなかったかもしれない・・・いや、立石さんはどのみち訪問はするつもりだったはずだが、日付は少しおそくなったかもしれない。いずれにしてもコオが感じ取った父の異常を、莉子はまったく取り合わなかったことになる。

 

 すべて、たら・ればで、実際どうなったかはわからないが、コオは莉子に対する腹立たしさを抑えることができなかった。同時に、今後の事がひどく気になった。病院にいる間は、いい。でもその後どうなるのだ?

 コオは再び立石に連絡を取ることにした。病院のケースワーカーを紹介してもらうつもりだった。

 

 

コオは、父の退院後ケアマネージャー立石と連絡を取あうようになるが、父が退院後すぐ自宅に戻ることはなく、老人保健施設に短期入所していたこと、莉子が父の自宅介護で必要なことを自分で決定できず、立石が困っていることを知る。
 莉子をキーパーソンとする、という大前提を先に明確にしたうえで、コオが影で動く立石との連携は機能し始める。
 ゴールデンウイークにコオは家族4人で最後の幸せなひとときを過ごしたが、旅行から帰ってまもなく、莉子と決裂し、同時にコオを突き放す遼吾の言葉に、絶望する。
 莉子と遼吾両者に対してコオは絶望を抱えたままそれでも、日常を送り始めるが、遼吾との距離は、徐々に深く、確実に遠くなっていき、コオ自身も少しずつ病んでいく。そのなかで、コオは父の主治医候補のリストアップ、莉子の友人へのコンタクト、更には莉子の精神科受診支援を依頼など、様々なことを試みるが、上手く行かず、焦燥感を深める。 そんな時、父から電話が入いるが、元気の無さが気になるコオはケアマネージャ⊸立石に連絡を取り、立石は病院の先生からデイケアを勧めてもらうように手紙を書くことを提案、その計画の間にコオは、父の状態の検査が必要かどうかを知り合いの医者に意見を求たが、【自分が外来で出ているクリニックで診てあげる】という申し出を受ける。数日後、再び連絡をくれた立石は、莉子へデイケアを勧めてほしい、と頼んでいた赤井医師に、断られたと伝える。しかし、父の様子がますますおかしく思えるコオは、立石と父を連れ出し検査を受けさせる計画を話し合い、いよいよ実行することになった。
 しかし、当日、父を訪問した立石から、再び脳出血で父が入院したことをコオは知らされた。

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あらすじ BattleDay0-Day86

 

*******Day86以降・前回までの話********* 
コオは、父の退院後ケアマネージャー立石と連絡を取あうようになる。

父が退院後すぐ自宅に戻ることはなく、老人保健施設に短期入所していたこと、莉子が父の自宅介護で必要なことを自分で決定できず、立石が困っていることを知る。莉子をキーパーソンとする、という大前提を先に明確にしたうえで、コオが影で動く立石との連携は機能し始める。

 ゴールデンウイークにコオは家族4人で最後の幸せなひとときを過ごしたが、旅行から帰ってまもなく、莉子と決裂し、同時にコオを突き放す遼吾の言葉に、絶望する。

 莉子と遼吾両者に対してコオは絶望を抱えたままそれでも、日常を送り始めるが、遼吾との距離は、徐々に深く、確実に遠くなっていき、コオ自身も少しずつ病んでいく。そのなかで、コオは父の主治医候補のリストアップ、莉子の友人へのコンタクト、更には莉子の精神科受診支援を依頼など、様々なことを試みるが、上手く行かず、焦燥感を深める。 そんな時、父から電話が入いるが、元気の無さが気になるコオはケアマネージャ⊸立石に連絡を取り、立石は病院の先生からデイケアを勧めてもらうように手紙を書くことを提案、その計画の間にコオは、父の状態の検査が必要かどうかを知り合いの医者に意見を求たが、【自分が外来で出ているクリニックで診てあげる】という申し出を受ける。数日後、再び連絡をくれた立石は、莉子へデイケアを勧めてほしい、と頼んでいた赤井医師に、断られたと伝える。しかし、父の様子がますますおかしく思えるコオは、立石と父を連れ出し検査を受けさせる計画を話し合い、いよいよ実行することになった。

 

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 月曜日は会社で朝から会議だった。

 月曜会議の後は急にみんなが活動的になるか、逆にすこしだらりとするか、のどちらかだ。少しだらりとするのは会議が90分を超えたときで、昼には早いが、まとまった仕事をするには、少しだけ短い。だから、みんな午後からの仕事に備えて、細かい後回しにしていた仕事を終わらせることが多い。この日は、そんな日だった。

 

 「嶋崎です」

 ランチタイムになる前に、電話がなり、コオはワンコールで出た。

 「ああ、嶋崎さん・・・お姉さん、立石です。お父様、入院されることになりました。」

 「え・・・?」

 「私、お父様のところに11時くらいに伺ったんですが・・・様子が、本当におかしくて。言葉も、その、受け答えも、おかしくて、これはもう、すぐ病院に行かないとって妹さんに言って、それで病院に・・・前入院されてた・・・」

 「紅病院。」

 「ええ、紅病院に行かれて…そしたらまた、脳出血起こされていて。そのまま入院されました。」

 

 コオは、言葉を失った。やはり・・・兆候は、もうあったのだ。だから・・・だから検査は必要だと。

 

 「幸い、倒れる前に行かれたので手遅れにはなりませんでしたが。」

 

 莉子への怒りと、これで父は莉子から離れたところにいけるのだ、という安心感の入り混じった奇妙な感覚のまま、コオは、立石の声をどこか遠くに聞いていた。

 

 

 これまでの話、Battle Day0-Day86 のあらすじは、以下のリンクをご覧ください、

あらすじ BattleDay0-Day86

 

*******Day86以降・前回までの話********* 
コオは、父の退院後ケアマネージャー立石と連絡を取あうようになる。

父が退院後すぐ自宅に戻ることはなく、老人保健施設に短期入所していたこと、莉子が父の自宅介護で必要なことを自分で決定できず、立石が困っていることを知る。莉子をキーパーソンとする、という大前提を先に明確にしたうえで、コオが影で動く立石との連携は機能し始める。

 ゴールデンウイークにコオは家族4人で最後の幸せなひとときを過ごしたが、旅行から帰ってまもなく、莉子と決裂し、同時にコオを突き放す遼吾の言葉に、絶望する。

 莉子と遼吾両者に対してコオは絶望を抱えたままそれでも、日常を送り始めるが、遼吾との距離は、徐々に深く、確実に遠くなっていき、コオ自身も少しずつ病んでいく。そのなかで、コオは父の主治医候補のリストアップ、莉子の友人へのコンタクト、更には莉子の精神科受診支援を依頼など、様々なことを試みるが、上手く行かず、焦燥感を深める。 そんな時、父から電話が入いるが、元気の無さが気になるコオはケアマネージャ⊸立石に連絡を取り、立石は病院の先生からデイケアを勧めてもらうように手紙を書くことを提案、その計画の間にコオは、父の状態の検査が必要かどうかを知り合いの医者に意見を求たが、【自分が外来で出ているクリニックで診てあげる】という申し出を受ける。数日後、再び連絡をくれた立石は、莉子へデイケアを勧めてほしい、と頼んでいた赤井医師に、断られたと伝える。しかし、父の様子がますますおかしく思えるコオは、立石に、父を連れ出し検査を受けさせたいと相談する。

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 コオは、日向医師にメールを送った。

『お言葉に甘えて、先生の診察を受けさせていただこうと思います。ただ、もし月曜日に行くことになったら、先生は外来の日ではないので、私が改めて、父の結果について、うかがわせていただきたいです。うまく、先生の外来の日に、いくことができるようでしたらまたご連絡します。』

 

 ケアマネージャー・立石は月曜日に訪問するが、日曜日に確認のため、再度コオと電話とFAXでやりとりをした。最初のコオの提案に比べたらとても自然な流れで検査に行くことを勧められるので、ホッとはしていたようだったが、それでも、実際は立石自身は知らない医者の所に連れていくことになるわけで、少し緊張はしているようだった。

 

 「それでは、検査に行かれる、ということになりましたら、すぐ予約を・・・土曜日では困る、と莉子さんが言われたら。」

 「その時は検査するのがまず大事ですから、ともかく検査に行かせましょう。立石さんは自分が予約をとるから、予約の時間が確定したら連絡を妹に折り返す、という形にしてくださいますか?」

 「わかりました。ええと・・・わたくしが訪問するのはお昼ごろなので・・・」

 「その時間は私、携帯電話握りしめて、立石さんのお電話、お待ちしてますから。」

 「ではよろしくお願いします。」

 

 クリニックまでは、直線距離的にはおそらく3キロ以下。ただ、タクシーを呼ぶなら、少し回り道をすることになるかもしれない。

 J医大よりむしろ近いくらいだ。

 父に検査の結果、なにもなければなんとか脳血管外科のかかりつけをその病院にできないだろうか。そうしたら、父の具合はすくなくとも日向先生から聞ける可能性がある。何かあった時は・・・また入院?それとも通院?いや、むしろその方が、父の健康状態としては軟禁状態の今よりもよくなる可能性もある。

 

 コオの頭の中は、もう、父の検査後の事に移りつつあった。