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食生活を今一度振り返り改善するところは改善しないと、ですね。
あなたが食べたものが、生まれてくる子どもの遺伝子を変え、健康に影響を与えるかもしれない
栄養エピジェネティクス（自分の食生活や両親や祖父母の食生活が遺伝子にどのような影響を与えるかを研究する学問）は、より良い食生活を選択するための動機付けになるかもしれない。
ナサニエル・ジョンソン博士、ハサン・カティブ博士、トーマス・D・クレンショー博士著
前世紀の間に、遺伝学に対する研究者の理解は大きな変貌を遂げた。
1865年に生物学者グレゴール・メンデルが提唱した遺伝学の原型では、遺伝子は不変であると考えられていた。
つまり、遺伝子は環境の影響をほとんど受けないと考えられていたのだ。年にエピジェネティクス（後成遺伝学）という分野が登場し、この概念は打ち砕かれた。
エピジェネティクスとは、DNA配列に変化を与えることなく起こる遺伝子発現の変化を指す。
エピジェネティクスの変化の中には、老化に伴うものなど、細胞機能の一側面であるものもある。
しかし、環境要因も遺伝子の機能に影響を与える。つまり、人々の行動が遺伝に影響を与えるということだ。
例えば、一卵性双生児は一個の受精卵から生まれ、その結果、同じ遺伝子を持つ。
双子の一方は健康的でバランスの取れた食事をし、もう一方は不健康な食事をし、その結果、肥満に関与する遺伝子の発現に違いが生じ、前者の双子の体脂肪率が低くなる。
これらの要因の中には、空気の質など、人がコントロールできないものもある。
運動量、喫煙、ストレス、薬物の使用、プラスチックや農薬、化石燃料の燃焼による汚染（車の排気ガスも含む）への暴露などである。
もうひとつの要因は栄養であり、栄養エピジェネティクスという学問分野が生まれた。
この学問は、「あなたはあなたが食べたものである」、「あなたはあなたの祖母が食べたものである 」という概念に関係している。
要するに、栄養エピジェネティクスとは、あなたの食生活、そしてあなたの両親や祖父母の食生活が、あなたの遺伝子にどのような影響を与えるかを研究する学問なのである。
現在の食生活の選択が将来の子供の遺伝に影響を与えるように、エピジェネティクスはより良い食生活を選択する動機付けとなるかもしれない。
私たちのうち2人はエピジェネティクスの分野で働いている。もう1人は、食事やライフスタイルの選択が人々の健康維持にどのように役立つかを研究している。
私たちの研究チームは父親で構成されており、この分野での私たちの仕事は、子育てがもたらす変容の力について、すでによく知っている私たちの親密さをさらに高めるものである。
飢餓の物語
栄養エピジェネティクス研究のルーツは、第二次世界大戦末期のオランダ飢餓の冬という、歴史上の痛ましい出来事にまで遡ることができる。
ナチスによるオランダ占領時代、国民は1日400キロカロリーから800キロカロリーの配給で生活することを余儀なくされ、アメリカ食品医薬品局が基準としている一般的な2000キロカロリーの食事とはかけ離れたものだった。
その結果、約2万人が死亡し、450万人が栄養失調に陥った。
研究の結果、飢饉は成長と発育に関係するIGF2と呼ばれる遺伝子にエピジェネティックな変化を引き起こしたことが判明した。
この変化は、飢饉を経験した妊婦の子や孫の筋肉の成長を抑制した。
飢饉に耐えた妊婦の子や孫の筋肉の成長が抑制された。
その後の世代では、この抑制が肥満、心臓病、糖尿病、低出生体重児のリスク上昇につながった。
これらの発見は、エピジェネティクスの研究において極めて重要な出来事であり、飢饉などの環境要因が子孫のエピジェネティックな変化を引き起こし、それが子孫の健康に深刻な影響を及ぼす可能性があることを明確に示した。
母親の食事の役割
この画期的な研究が発表されるまで、ほとんどの研究者はエピジェネティックな変化は世代を超えて受け継がれることはないと考えていた。
むしろ研究者たちは、エピジェネティックな変化は、発育の非常に脆弱な時期である妊娠中など、早期の暴露によって起こりうると考えていた。
そこで、初期の栄養エピジェネティック研究は、妊娠中の食事摂取に焦点を当てた。
オランダの飢餓の冬で得られた知見は、後に動物実験によって裏付けられた。動物実験では、研究者が動物の飼育方法をコントロールできるため、背景となる変数をコントロールしやすくなる。
研究者にとってのもう一つの利点は、これらの研究で使われるラットやヒツジは人間よりも繁殖が早いため、より早く結果が得られることである。
さらに、研究者は動物の一生を通じて食餌を完全にコントロールできるため、食餌の特定の側面を操作して調べることができる。
これらの要因が相まって、研究者は人よりも動物におけるエピジェネティックな変化をよりよく調べることができるのである。
ある研究では、妊娠中の雌ラットをビンクロゾリンという一般的に使用されている殺菌剤に暴露した。その結果、最初に生まれた世代は精子を作る能力が低下し、雄の不妊が増加した。
致命的なことに、この影響は飢饉の影響と同様、その後の世代にも引き継がれた。
これらの研究は、栄養エピジェネティクスを形成する上で記念碑的なものであるが、発育の他の時期を無視し、子孫のエピジェネティックな遺産における父親の役割を完全に無視していた。
しかし、ヒツジを用いた最近の研究では、生まれてから離乳するまでの間にアミノ酸メチオニンを補充した父親食が、次の3世代の成長と生殖形質に影響を与えることが示された。
メチオニンは、エピジェネティックな変化の一例であるDNAのメチル化に関与する必須アミノ酸である。
世代を超えた健康的な選択
これらの研究は、両親の食生活が子供や孫に与える永続的な影響を強調している。
また、両親の食生活が子どもの食生活に影響を与えるため、これから親になる人や現在親である人にとっても、より健康的な食生活を選択するための強力な動機付けとなる。
管理栄養士などの栄養の専門家に相談することで、個人や家族にとって実践的な食生活の改善を行うための、エビデンスに基づいたアドバイスを受けることができる。
食事が私たちの遺伝子にどのような影響を与えるかについては、まだ不明な点が多い。栄養エピジェネティクスの研究で明らかになりつつあることは、ライフスタイルの変更を検討する強力で説得力のある理由だ。
多くのアメリカ人が食べている欧米型食生活について、研究者がすでに知っていることはたくさんある。
欧米型食生活は、飽和脂肪、ナトリウム、砂糖を多く含むが、食物繊維は少ない。驚くことではないが、欧米型食生活は、肥満、2型糖尿病、心血管疾患、一部のがんなど、健康に悪い結果をもたらす。
まずは、加工されていない食品、特に果物、野菜、全粒穀物を多く摂り、加工食品やコンビニエンス・フード（ファーストフード、ポテトチップス、クッキー、キャンディー、調理済み食品、冷凍ピザ、缶詰スープ、甘味飲料など）を減らすことから始めるのがよいだろう。これらの食生活の変化は、健康によいことでよく知られており、2020-2025年版「アメリカ人のための食生活指針」や米国心臓協会（American Heart Association）に記載されている。
多くの人は、ライフスタイルの変化、特に食べ物に関わる変化を受け入れるのは難しいと感じる。
こうした変化を起こすには、モチベーションが重要な要素となる。
幸いなことに、家族や友人はライフスタイルの決定に大きな影響を与える。
しかし、より広範な社会レベルでは、食料安全保障、つまり人々が健康的な食料にアクセスし、それを買うことができる能力は、政府、食料生産者、流通業者、非営利団体にとって重要な優先事項であるべきだ。
食の安全保障の欠如は、糖尿病、肥満、うつ病などの健康への悪影響につながるエピジェネティックな変化と関連している。
比較的簡単なライフスタイルの改善によって、人々は子や孫の遺伝子に大きな影響を与えることができる。
だから、ポテトチップスの袋をあきらめて、代わりに果物や野菜を選ぶときには、心に留めておいてほしい： 自分のためだけでなく、次の世代のためにも。
ご参考まで。