今日配信されていたインターネット情報誌「TRIP EDITOR」に、「思わず二度見してしまう、京都にある珍しい『神社・寺院』7選」という記事が掲載されていた。
ここに取り上げられている3つのお寺と4つの神社は、いずこも「変わっている」ポイントがあるため、様々な機会にメディアに取り上げられる。
そんなお寺や神社だから、京都に生まれて70数年という爺としてはごく当然のように出向いていた。せっかくだから、珍しい場所を私なりに紹介しておきたい気持ちになった。
以下、7ヵ所を「TRIP EDITOR」誌に掲載されていた順番通りに取り上げて行く。
☆白峯神宮(京都市上京区堀川今出川東入る)
そもそも蹴鞠の宗家だった「飛鳥井」家の敷地に、明治天皇が、平安時代末期に起こった「保元の乱」に敗れて讃岐へ流され、非業の死を遂げた崇徳上皇を祀った神社。
そんな場所だから、蹴鞠道の神さま〝精大明神〟も境内に祀られている。ということでサッカーを始め、球技の上達を願ってお参りする人が増えた。境内の、精大明神の祠には、多くのボールが納められている。
☆安井金比羅宮(京都市東山区安井)
「悪縁切り」の神様として知られるようになった。私が子どもの頃住んでいた家が近く、よく境内で遊んでいた。その頃は、お参りする人も少ない閑散とした神社だった。
今は、境内にある「縁切り・縁結び碑」を往復して潜れば、まず悪縁を切り、次に良縁に恵まれるそうだ。だが、元をただせばここも崇徳上皇の鎮魂のため、後白河法皇が建立されたお寺が起源とされている。
☆六道珍皇寺(京都市東山区松原通東大路西入る)
このお寺の辺りは、平安時代から京都の葬送の地だった「鳥辺野」の入口に当たる。だからこのお寺の周囲は、〝この世とあの世の境目〟という「六道の辻」。
なので、現世と冥界を行き来して閻魔大王にもお仕えしたという「小野篁」の「冥土通いの井戸」が残されている。今も、お盆には「六道参り」の信仰を集め、「迎え鐘」を撞いて先祖の霊をお迎えする。
(迎え鐘を撞く行列と鐘撞き堂)
☆金戒光明寺(京都市左京区黒谷町)
法然上人が念仏道場としたのが由来というお寺で、浄土宗京都4本山の一つ。幕末には、松平容保率いる会津藩が、京都守護職としての本陣を置いていた。
ということとは別に、墓地の一角に頭髪の「螺髪(らほつ)」がめちゃデカい「アフロ大仏」といわれる石仏がある。長く修行を行ったので頭髪が長くなったことを表しているのだとか。
☆愛宕(おたぎ)念仏寺(京都市右京区嵯峨鳥居本)
元は六道珍皇寺のすぐ西側にあったが、大正年間に奥嵯峨・鳥居本へ移った。境内の地蔵堂には「火之要慎(ひのようじん)」のお札で知られる「火除け地蔵」が祀られている。
現在は、それよりも境内を埋め尽くすようにある「羅漢像」で有名になった。この羅漢像は一般の方が彫られた石仏で、1千体以上あって、それもお顔がすべて異なっていると言われている。
☆木嶋坐天照御魂神社(京都市右京区太秦森ケ東町)
渡来系氏族の秦氏ゆかりの神社で、境内に「蚕養(こかい)神社」という養蚕・機織などとつながる摂社もあるので、「蚕ノ社」という通称の方が知られている。
それよりもこの神社の一角にある「三柱鳥居」は、通常の鳥居が3つつながった形で、その中心の神座に御幣が立てられている。極めて珍しい形状の鳥居で京都三珍鳥居の一つとされている。
☆御髪(みかみ)神社(京都市右京区嵯峨小倉山田渕山町)
日本で唯一の「頭髪」の神社で、髪結い職の起源とされる藤原政之を祭っている。だから、理美容業界の信仰が厚い。私には〝別の意味〟で、最も大事な神社かもしれない。
そういう変わった神社なので、授与されるお守りにも「櫛形」のものがある。境内の絵馬もロケに訪れた芸能人が書いたユニークな内容のものもあるので、それを見るだけでも楽しい。ただ本当に小さな神社である。
とまあ面白いというか、他には滅多に見られないような珍しい〝名物〟がある寺社が京都にはある。京都の、こうした楽しい寺社を集めて紹介している本も出版されている。