読書な日々、日々。 -2ページ目

祈りを(短編小説)


見つけて、探して


僕の足が無い。
私の腕が無い。
俺の体が無い。
私の頭が無い。


私たちの命が無い。



どこにいった。
どこだ。
どこなの。
どこ。


奪ってしまった、あの忌まわしきモノが。
人災が、人を殺した。



どうか、どうか、もう二度と惨劇が起こりませんように。
どうかもう、一人ぼっちになりませんように。



世界で戦いは起きる。
だけど、どうかこの国では。
被害者だけど加害者であるこの国では。
どうかもう、この国が加害者にも被害者にもなりませんように。



平和の祈りを。
この青空に。

END

笑い声(短編小説)




私は見ている。
雨に打たれながら。





“学校で死んだ子がいるんだって”
と、まことしやかに流れる噂。
何でも恋に敗れて自殺をしたらしい。
馬鹿らしい、どこにでもある噂じゃないの。
誰か見たことあるの?なんて聞かないけど。
黙って噂話をしている友達もどきを見ていた。もちろん、適当に相槌をうちながら、ね。




だけど、私はその噂が真実だと知っている。
死んだのは、私の姉だもの。
ただね、自殺じゃないの。殺されたのよ、屋上から落とされて。
姉に恋人を盗られたとか勝手に誤解して…姉は全く興味が無さそうだったけど。
なのに、殺されたの。勝手に遺書まで書かれて。
恋に敗れた?そんな筈は無い。その書かれていた人は、姉の事をずっと好きだった人だもの。
証拠にその人、後追い自殺をしたでしょう。




そう、殺したのは・・・・・・・・・・・・・・アナタ。
知ってるのよ?ずっと焦がれていた人には見向きもされず、挙句にその人が焦がれ続けた姉は興味が無かった。
うふふ、さぞかし悔しかったでしょうね?












でも、ね。
姉はアナタを許しては居ないの。







降り続く雨の中に、ホラ。
姉が立っているの、よ。。。
ずっと、ずっと、アナタを見ている。



うふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ・・・・

















雨ノ中デ、ワタし、ミテタノヨ・・・・




END

誠実なる白き人(短編小説)




指輪を交わそう。
密約の証に。



左の人差し指には、鈍く光る指輪がある。
その指輪には、彼の方の憎しみと狂おしいほどの想い。
私に向けられた、彼の方の総て。

彼の方は、北方を治める領主でありながら、この国の水を操るお方でもあった。北方は雪深い。そして太古の氷河もある。
この国の水は、北方からの水路で補われる。

北方よりも更に北。この大陸の一番の大国は、北方の豊富な鉱物と豊かな水源を欲していた。
だが、国には北方以外の水源は無い。
国の半分以上は砂漠、雨も降らぬ枯渇した地。
長い歴史の殆どは、戦いに血塗れている。そして、戦いの反動は砂漠を作り上げた。


彼の方は北方を愛していた、国は愛さずとも。
北方の美しい湖、雪原、氷河・・・その総てが彼の方自身。
そしてその想いが惨劇を呼ぶ。


北方は反乱を起こした。国が枯渇するのを厭わず、水路を破壊し北方は独立を望んだ。


北の大国は、北方の独立を喜んだ。
相互戦力として・・・古龍を甦らせ、古城に眠りし悪しき魂を呼び戻し、大国は南の我が国を滅ぼした。


彼の方は、嘆き悲しまれた。そのような破滅は望んでいない。
ただ、私は北方を守りたかった、と。






私の指輪は、彼の方が北方に還られる時に下さったものだ。
豪奢な墓はいらぬ。私は北方に還るのだと。
彼の方が雪原に向かって歩いて行かれるのを、私は見送る事しか出来なかった。
彼の方が還られた日には必ず、北方総てに花が咲く。
国となり、豊かな生活をする人々の心総てに彼の方がいる。




密約を交わそう、貴方と私で。
貴方にこの指輪を託そう。
愛しい私の友よ、仲間よ。
私の心はここにある。



北方にまた、花が咲く。



END