独り、それでも
お湯を頭から浴びせられた。
風呂である。
娘は、唸るように笑いながら五度、それを繰り返した。
六度目に、止めさせた。
もう、と声を上げ、浴槽の端で俺に背を向けてしまう。
赤ん坊らしい、ぷくりとした体が、愛らしい。
どことなく、小便小僧に似ていると思った。
いつもと変わらない。
善くも悪くもない一日。
そう思ったのはつかの間だった。
妻が帰宅する。
お帰りの声も、妻には届かないのか。
最初に出た言葉は、ものを頼む命令のようなものだった。
また機嫌が悪い。
妻の気持ちをわかろうとしても、そこまでしかわからない。
わかりたくもなかった。
俺は、日々生きている。
それだけだった。
蔑まれながら、それでも、愛情を渇望する様は、滑稽ですらある。
毎日、こうして自嘲の言葉を並べていて、愉しいか。
同じことの、繰り返し。
妻に話など出来るような状態ではない。
娘を見つめていた。
娘は眼を逸らし、また、もう、という声を上げ背を向けた。
妻のもとへ駆けて行く。
独り、生きているのと同じだ。
刹那、それを感じた。
風呂である。
娘は、唸るように笑いながら五度、それを繰り返した。
六度目に、止めさせた。
もう、と声を上げ、浴槽の端で俺に背を向けてしまう。
赤ん坊らしい、ぷくりとした体が、愛らしい。
どことなく、小便小僧に似ていると思った。
いつもと変わらない。
善くも悪くもない一日。
そう思ったのはつかの間だった。
妻が帰宅する。
お帰りの声も、妻には届かないのか。
最初に出た言葉は、ものを頼む命令のようなものだった。
また機嫌が悪い。
妻の気持ちをわかろうとしても、そこまでしかわからない。
わかりたくもなかった。
俺は、日々生きている。
それだけだった。
蔑まれながら、それでも、愛情を渇望する様は、滑稽ですらある。
毎日、こうして自嘲の言葉を並べていて、愉しいか。
同じことの、繰り返し。
妻に話など出来るような状態ではない。
娘を見つめていた。
娘は眼を逸らし、また、もう、という声を上げ背を向けた。
妻のもとへ駆けて行く。
独り、生きているのと同じだ。
刹那、それを感じた。
早くみたい、EP3
はじめて映画館で観た映画がスターウォーズだった。
子供騙しの特撮ものしか知らなかった俺は、オープニングからぶっ飛んだ。
本物としか思えなかった。
すべての乗り物や建造物は、使い古され、汚れていた。
リアリティーとスピード感があったのだ。
当時ささやかれていたのが、9部作になるというもの。
それは、正式に否定され、今回のEP3で最後となる。
この映画だけは、なんとしてでも、観に行ってやる。
こずかいを節約して、7月までに貯めてこう。
醜悪な言葉
どうしてこうなるのだ。
ちょっとした一言で、妻は激怒していた。
笑って済むような事でも、俺の口から出たものは、非常識で理解に苦しむものらしい。
話が違う方向へ、行った。
俺という存在自体を否定するような内容だった。
ふと、この世から消えてしまいたい、と思った。
妻は思いやりを、感じることが出来ないと言い、思いやりのかけらもない言葉を俺に浴びせてくる。
お互い様じゃないのか。
ここ数日、ちょっと上手くいっていると思った。
こうなってしまうと、妻に言ってみようと考えていた言葉は、言えなくなった。
言えたとしても、拒否されただろう。
それでも、構わない。
俺の、お前に対する気持ちを伝えるだけでいい。
天井の不規則な模様をぼんやりと眺めていた。
小さな虫が這っている様だと思った。
暗い部屋で、一人、身をよじる。
頭の中で、その言葉を繰り返していた。
俺の口をついて出た瞬間、醜悪で、顔を背けたくなるようなものになるのだろう。
そう思いながら、俺は瞼を閉じた。
ちょっとした一言で、妻は激怒していた。
笑って済むような事でも、俺の口から出たものは、非常識で理解に苦しむものらしい。
話が違う方向へ、行った。
俺という存在自体を否定するような内容だった。
ふと、この世から消えてしまいたい、と思った。
妻は思いやりを、感じることが出来ないと言い、思いやりのかけらもない言葉を俺に浴びせてくる。
お互い様じゃないのか。
ここ数日、ちょっと上手くいっていると思った。
こうなってしまうと、妻に言ってみようと考えていた言葉は、言えなくなった。
言えたとしても、拒否されただろう。
それでも、構わない。
俺の、お前に対する気持ちを伝えるだけでいい。
天井の不規則な模様をぼんやりと眺めていた。
小さな虫が這っている様だと思った。
暗い部屋で、一人、身をよじる。
頭の中で、その言葉を繰り返していた。
俺の口をついて出た瞬間、醜悪で、顔を背けたくなるようなものになるのだろう。
そう思いながら、俺は瞼を閉じた。