醜悪な言葉 | 日々を生きる。~大切なものを失って得たもの。

醜悪な言葉

どうしてこうなるのだ。

ちょっとした一言で、妻は激怒していた。

笑って済むような事でも、俺の口から出たものは、非常識で理解に苦しむものらしい。

話が違う方向へ、行った。

俺という存在自体を否定するような内容だった。


ふと、この世から消えてしまいたい、と思った。



妻は思いやりを、感じることが出来ないと言い、思いやりのかけらもない言葉を俺に浴びせてくる。

お互い様じゃないのか。


ここ数日、ちょっと上手くいっていると思った。

こうなってしまうと、妻に言ってみようと考えていた言葉は、言えなくなった。

言えたとしても、拒否されただろう。

それでも、構わない。

俺の、お前に対する気持ちを伝えるだけでいい。




天井の不規則な模様をぼんやりと眺めていた。


小さな虫が這っている様だと思った。



暗い部屋で、一人、身をよじる。


頭の中で、その言葉を繰り返していた。


俺の口をついて出た瞬間、醜悪で、顔を背けたくなるようなものになるのだろう。


そう思いながら、俺は瞼を閉じた。