タンボール箱
なにもしない。
自分の時間はいったい何をしている。
こっちは、忙しいのだ。
家に戻ってみれば、なにもしていないじゃないか。
何もしない。
何故、そう言われなくてはならないのか。
よくみてみろよ。やっているじゃないか。
そう思ったが、同時に、本当に何もする気が無くなった。
やることなんて、いくらだってあるだろう。この部屋だって、まだ片付いてないじゃない。
妻の罵声は止まらなかった。
いくつかのタンボール箱。
それを以前、押し入れに入れようとしたところ、妻に駄目だと言われた。
妻の物と俺の物。
しまう場所もすべて妻が決めた。
妻にあてがわれた、小さな押し入れのスペースが俺の場所だった。
そこは、古いアルバムや親父やお袋の物などをしまうとすぐに一杯になった。
ガタクタばかりで、本当に頭に来る。
妻にそう怒鳴られながら、仕方なく、親父の遺品を処分した。
しばらくじっとしていた。
やはり、何もする気になれなかった。
いつまでも、じっとしていても仕方がなかった。
俺は構わず、タンボール箱を空いているスペースに押し込んだ。
妻の足音。
部屋に来るなり、また俺を罵った。
「私がきたときだけ片付けて。あんた、馬鹿じゃないの。そんなこと、ガキでもやらないわ」
もう我慢出来なかった。
かといって、怒鳴る気力もなかった。
荷物を持って玄関を出た。
車に乗ろうとしたところに、妻が先回りしてきた。
侮蔑の言葉を並べ立てる。
俺が黙って車に乗り込むと、妻が言った。
「もしも出掛けるのなら、あなたの親戚に電話して、出ていくって言うから。もう、どうしようもない状態だって」
それはこっちの台詞だろう。
それでも、俺は車を出すことが出来なかった。
自分の時間はいったい何をしている。
こっちは、忙しいのだ。
家に戻ってみれば、なにもしていないじゃないか。
何もしない。
何故、そう言われなくてはならないのか。
よくみてみろよ。やっているじゃないか。
そう思ったが、同時に、本当に何もする気が無くなった。
やることなんて、いくらだってあるだろう。この部屋だって、まだ片付いてないじゃない。
妻の罵声は止まらなかった。
いくつかのタンボール箱。
それを以前、押し入れに入れようとしたところ、妻に駄目だと言われた。
妻の物と俺の物。
しまう場所もすべて妻が決めた。
妻にあてがわれた、小さな押し入れのスペースが俺の場所だった。
そこは、古いアルバムや親父やお袋の物などをしまうとすぐに一杯になった。
ガタクタばかりで、本当に頭に来る。
妻にそう怒鳴られながら、仕方なく、親父の遺品を処分した。
しばらくじっとしていた。
やはり、何もする気になれなかった。
いつまでも、じっとしていても仕方がなかった。
俺は構わず、タンボール箱を空いているスペースに押し込んだ。
妻の足音。
部屋に来るなり、また俺を罵った。
「私がきたときだけ片付けて。あんた、馬鹿じゃないの。そんなこと、ガキでもやらないわ」
もう我慢出来なかった。
かといって、怒鳴る気力もなかった。
荷物を持って玄関を出た。
車に乗ろうとしたところに、妻が先回りしてきた。
侮蔑の言葉を並べ立てる。
俺が黙って車に乗り込むと、妻が言った。
「もしも出掛けるのなら、あなたの親戚に電話して、出ていくって言うから。もう、どうしようもない状態だって」
それはこっちの台詞だろう。
それでも、俺は車を出すことが出来なかった。
付き人
携帯が鳴った。
直ぐに出掛けるから、準備をしろ。
妻だった。
実家に帰っていて、家に戻なり、俺という運転手を拾って出掛けると言う訳だ。
微かな怒りが湧いてきた。
「ちゃんと戸締まりしてよね」
俺は答えなかった。
「わかってるの」
苛立ったような声。
俺は、間を置いて、はい、と答えた。
途端に、通話が切れた。
妻が、来る。
俺は読みかけの小説をバックに突っ込み、流しにひとつあったコップを洗った。
気付くと、歯を強く噛み締めていた。
こめかみがひくついているのが、指で触れなくてもはっきりとわかった。
出動命令だった。
お前の付き人か何かか、俺は。
一人、呟いた。
直ぐに出掛けるから、準備をしろ。
妻だった。
実家に帰っていて、家に戻なり、俺という運転手を拾って出掛けると言う訳だ。
微かな怒りが湧いてきた。
「ちゃんと戸締まりしてよね」
俺は答えなかった。
「わかってるの」
苛立ったような声。
俺は、間を置いて、はい、と答えた。
途端に、通話が切れた。
妻が、来る。
俺は読みかけの小説をバックに突っ込み、流しにひとつあったコップを洗った。
気付くと、歯を強く噛み締めていた。
こめかみがひくついているのが、指で触れなくてもはっきりとわかった。
出動命令だった。
お前の付き人か何かか、俺は。
一人、呟いた。