日々を生きる。~大切なものを失って得たもの。 -215ページ目

飯 2

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出かけるなら、言ってくれよな。

俺は呟いた。

帰宅すると妻も娘もいなかったのだった。


俺は何を喰うか、すぐに考え始めた。

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腹が減っていた。

何処で何かを買おうと思ったが、財布の中には銅貨とアルミニウムしか入っていなかった。

全て合わせても、飲み物すら買えない。


仕方なく、誰もいない家に帰り、飯を作った。

一つの皿に全て盛った。


何故なら、皿を洗うのが嫌いだからだ。

これなら、一つ洗うだけで済む。


一人の時くらい、皿など洗いたくはなかった。


皿、洗ってないじゃない。

一瞬、どこからか、声が聞こえた様な気がした。

欠落

娘が泣いていた。

妻に、カキ氷を作ってくれと頼んだが、断られたためだった。

その理由は、明日からはまた、朝から晩まで忙しい。それを考えると憂鬱でカキ氷など作れないというものだった。



俺は冷蔵庫から氷を取り出し、機械に入れてハンドルを回した。


氷の削れるさまを見て、娘が喜ぶ。


すると不意に、娘が言った。


「おかあちゃんはいつもおとうちゃんのこと怒っているよね」


それを聞いた妻が、結婚前はこんなに怒ったりしなかったと怒鳴り始めた。


こんな自分にしたのは俺だ、常に自分をいらいらさせる俺がすべて悪い。


そんなことを、いろいろな例を上げ、しゃべり続けた。



自分の思い通りに行かないこの世の事象は、すべて人のせいにする。


これが妻だった。


結婚だって、自分で決めたはずじゃないか。


別れるか別れないか。決めたのはお前だろう。


喉もとまで出掛かった言葉を俺は飲み込んだ。


娘がそばにいたからだ。


もしも娘がそばにいなかったら、口汚く妻を罵ったかもしれない。


以前のように、何を言われても大して気持ちを乱されることはなかった。


妻の言動が、明らかに、道理に反している。


今は、それがわかった。


そして、鼻で笑っている自分に気づいた。


なにかが欠落していく。


どんなものかもわからぬまま、欠落していくということだけはっきりとわかった。