機嫌がよかった理由
機嫌が良かったのは日中だけだった。
この状態が続けばよいと微かな期待をした。
俺は妻の話を聞きながら、そんな期待をした自分を笑った。
妻は前日に友人と会っていた。
気の通じた友と話すことが出来て、どんなに気が晴れた事か、と言った。
それは、俺に対する当て付けである。
俺という、気持ちの通じ合わない人間と一緒にいる事自体がストレスなのだと。
こんな事を言われたまま耐えるつもりはなかった。
もう終わっている。
クルマを止めて、何処かに消えたかった。
こんな奴と一緒にいるのはもう沢山だからた。
しかし、妻の実家からの帰り道だった。
こんな所でクルマを降りた所で、どうなもならないのだった。
おまけに、財布の中身は空である。
これから先、一人になった時の自分を想像してみる。
独りになることに、極度の恐怖を感じでいた以前の俺はもういなかった。
果てしなく遠く、またすぐそこにあるかもしれない夢を、今は目指してみよう。
そんな思いが最後には涌き出て来て、消えた。
妻の溜息とともに。
この状態が続けばよいと微かな期待をした。
俺は妻の話を聞きながら、そんな期待をした自分を笑った。
妻は前日に友人と会っていた。
気の通じた友と話すことが出来て、どんなに気が晴れた事か、と言った。
それは、俺に対する当て付けである。
俺という、気持ちの通じ合わない人間と一緒にいる事自体がストレスなのだと。
こんな事を言われたまま耐えるつもりはなかった。
もう終わっている。
クルマを止めて、何処かに消えたかった。
こんな奴と一緒にいるのはもう沢山だからた。
しかし、妻の実家からの帰り道だった。
こんな所でクルマを降りた所で、どうなもならないのだった。
おまけに、財布の中身は空である。
これから先、一人になった時の自分を想像してみる。
独りになることに、極度の恐怖を感じでいた以前の俺はもういなかった。
果てしなく遠く、またすぐそこにあるかもしれない夢を、今は目指してみよう。
そんな思いが最後には涌き出て来て、消えた。
妻の溜息とともに。
悲鳴
咄嗟にあっ、という声が出た。
俺はボトルのキャップをポットの中に落とした。
その時に口から出たのだった。
すかさず妻が言ってくる。
「たいしたことないのに、一々あっ、とか言わないでよ。苛々するんだから」
どうしようもなかった。
無意識に口を付いて出てしまうのだ。
どうということもなかった。
ねえ、ちょっと。
言った妻は苛立ってはいなかった。
俺はボトルのキャップをポットの中に落とした。
その時に口から出たのだった。
すかさず妻が言ってくる。
「たいしたことないのに、一々あっ、とか言わないでよ。苛々するんだから」
どうしようもなかった。
無意識に口を付いて出てしまうのだ。
どうということもなかった。
ねえ、ちょっと。
言った妻は苛立ってはいなかった。
68円
財布を開き、掌の上に硬貨を拡げる。
たいした重さもなく、アルミニウムと銅ばかりだった。
数えると68円あった。
妻に貸しがあったから本来ならば、缶コーヒーの一つも飲めたはずだ 。
何かあると買い物を頼まれた。
金がないときは金を渡され、財布に金があると払っておいてと言う。
財布の中身を正確に把握しているのではないかと、時々思った。
そして、立て替えた金をすぐに返さない。
いつもの事だった。
コーヒーが飲みたかった。
通勤途中の道を外れ、ディスカウントショップへ行った。
聞いたことのないメーカーの缶コーヒーが55円、名前の通ったメーカーのものが、65円だった。
俺は迷う事なく、55円のコーヒーを取った。
レジの前まで来て、ふと思う。
元の売り場に戻り、65円の物と交換した。
13円でも3円でも財布にあった所で、缶コーヒーは買えないのだった。
たいした重さもなく、アルミニウムと銅ばかりだった。
数えると68円あった。
妻に貸しがあったから本来ならば、缶コーヒーの一つも飲めたはずだ 。
何かあると買い物を頼まれた。
金がないときは金を渡され、財布に金があると払っておいてと言う。
財布の中身を正確に把握しているのではないかと、時々思った。
そして、立て替えた金をすぐに返さない。
いつもの事だった。
コーヒーが飲みたかった。
通勤途中の道を外れ、ディスカウントショップへ行った。
聞いたことのないメーカーの缶コーヒーが55円、名前の通ったメーカーのものが、65円だった。
俺は迷う事なく、55円のコーヒーを取った。
レジの前まで来て、ふと思う。
元の売り場に戻り、65円の物と交換した。
13円でも3円でも財布にあった所で、缶コーヒーは買えないのだった。