日々を生きる。~大切なものを失って得たもの。 -153ページ目

悲しき想ひで~街の灯り

お金がない時のデート、何やる? ブログネタ:お金がない時のデート、何やる? 参加中
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学生時代。

金など無かった。

仕送りの大半は、家賃に消えた。

バイト代が生活費だった。

無理をして引いた電話はいつも止まっていて、それでも女の子とデートを成立させるためには必要だった。

俺は必死でバイトをし、電話料金をNTTへ払いに行った。


デートの当日。

女の子と飯も食うだろうから、千円分だけガソリンを入れた。

地方の大学だったので、車が無ければどこにもいけなかった。

四方を山に囲まれ、車を少し走らせればそこは観光地で、ドライブに事欠かなかった。



金のない俺にとってのデートとは、ドライブデートだった。


夜。

峠道を上り、街の明かりが見渡せる駐車スペースに車を寄せ、眼下に広がる夜景を観た。

規則正しい街路が描く街の灯りがいくつも線をなし、縦と横に交差する。


女の子は、無言で夜景を見つめていた。


潤んだ瞳が、微かに届く街の灯りを照り返し、ゆらゆらと揺れていた。

女の子は泣いていた。

「以前付き合っていた彼のこと、思い出しちゃった」

女の子は、悪びれることなくさらりと言ってのけた。

それからは、忘れることのできないその彼の素晴らしさを、延々と俺に話してくれた。

俺はそれらしく受け答えをし、女の子の心境を理解しているふりをしていたが、内心では苛ついていた。

お互いに、これからディナーを食いに行く気分でないことは明らかだった。

「これから、どうする?飯でも食おうか?」


俺は心にもないことを言っていた。

「今日はそろそろ、帰るわ。話を聞いてくれて、ありがとう」

俺は複雑な心持ちで、こちらこそ楽しかったよと、何とか声を絞り出していた。


帰り道。

俺たちは、殆ど言葉を交わすことなく、女の子は物憂げに窓の外に視線を向けていた。

女の子はアパートの前で車を降り、私の方から電話するわ、と一言いって背を向けた。



電話料金もばっちり払っていた。

俺は二週間ほど、女の子からの電話を待ったが、電話のベルが鳴ることはなかった。




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詩 「問題」

あなたの問題は、尽きることを知らない。


私はそれを一つ一つ、摘み取ってきた。


親類との関係。


あなたが物騒だという住環境。


わたしの家事分担。


それら全てを、私は解決してきた。


故郷を捨て、親類を捨て、遠くへ。


結局は、また新たな問題が発生しましたね。


もう、わかったのですよ。


どんなに私が頑張ってみても、あなたの問題は消えることはない。


また、新たな問題が湧き出してくるだけなのです。




そう。




たった一つ、問題を解決する術がありました。


それは。


あなたの前から、私が消えることです。



もっとも。





また、新たな私があなたの前に現れれば、また同じ事ですが…。




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バイトの面接、再び

バイトの面接。


仕事は、老人ホームでの飯作りだった。




駐車場に車を止め、建物の入り口まで歩くなか、ラードの匂いが漂ってきて、俺はそのとき空腹を意識した。


と同時に、老人たちも揚げ物を食うのかと、妙に感心した。


エントランスから、2本の廊下が平行に走っていて、一方は食堂に通じ、もう一方は湯と書かれた暖簾があり、風呂場に通じていた。


驚いた事に、床屋の看板もあった。



俺は、エントランスのソファーで待った。


テーブルの上には、老人たちが作ったと思われる人形やら、折り紙やらが並んでいた。


食堂を覗いた。


そこは、老人たちで溢れかえっていた。


昼食の時間だった。



しばらくすると、頭の先からズボンまで、ピンク色の白衣で身を固めた女が現れた。


頭巾とマスクの間から、目だけが覗いている。


美しいのか、醜いのかすらもわからなかった。


ただ、俺よりは確実に若かった。



俺は、椅子から少しだけ身を前に乗り出して説明を聞き、仕事に対しての興味と熱意を表そうとした。


事実、飯作りには、興味も情熱もあった。


俺のエントリーする仕事は早朝で、朝飯を作る。


作業の内容は主に三種類で、盛りつけ、きりこみ(材料を着ること、業界用語なのか?)、調理だった。


今は昼で、事務所からガラス一枚隔てた調理場では、おばちゃんや若い女の子が何かを切り、何かを油で揚げ、何かを盛りつけていた。


男は一人もいなかった。


面接官に話を聞くと、男も少数だがいるという。


俺はどうしても、この仕事がやりたかった。


老人たちの飯を作るなんて、すばらしいと思ったし、何より、食事が出るらしい点が魅力だった。



しかし、俺の職歴は、飯関係の経験は無かった。


俺は例のごとく、家では料理もするし、料理学校にも通ったことがあると、面接官に話した。





一週間後に連絡すると、面接官が言った。




俺は、これから一週間の間、俺以外に面接希望者が現れないことを祈った。









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