日々を生きる。~大切なものを失って得たもの。 -143ページ目

疲労困憊コンパニオンガール

それはめまいから始まった。



日中、一度めまいに襲われ、すぐに収まった。



なんのことはなく、一日は過ぎ去ろうとしていた。


ところが、家に向かう途中、ひどい頭痛に襲われた。


右目の横、こめかみから内部をえぐり取られるようだった。


全てのやる気を削ぐ、強烈な痛み。



痛みのせいか、狂おしいほどの食欲も、失せた。



とにかく休もう。


休息が必要だ。


どのみち、食い物らしい食い物は、なにもなかった。


布団にもぐりこんで、まどろんだ。


眠ることが出来ずに、意識がいろいろなところに彷徨った。


過去。


現在。


それなりに楽しいことを想像しようとした。


不意に、妙な言葉が脳裏に過ぎる。




疲労困憊コンパニオンガール。




遠い過去に、どこかで誰かが言っていた。


それが何故今になって?




のんきなものだった。



翌日の出来事など、なにひとつ想像だにできないままに。



次回に続く



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エアー牛丼

俺はいつもカップラーメンや、握り飯一つの昼食だった。


見かねた職場のおばちゃんが、俺にあるものをくれた。


牛丼300円券だった。


俺はうれしくてたまらなかった。



しかし、牛丼券の有効期限は今月いっぱいだった。



そして、財布の中は、空っぽだった。



どんなに安い牛丼でも、300円では食えないのだ。



俺は恥も外聞もなく、即座に、俺の娘の母親にメールを入れた。



~申し訳ないのですが、50円でも100円でもかまいませんから、お金をください。有効期限切れ間近の商品券で、ほんの僅か、お金が足りません~



帰宅するとテーブルの上にコインは無かった。


俺は残り物を冷蔵庫から掘り出し、飯を食った。




そして、泥のように眠った。




早朝5時に、俺の娘の母親が、悪意の固まりとなって俺の部屋へなだれ込んできた。



「いったいいつになったら、バイトを始めるわけ!本当にお金がないんだって!!」


「……」


俺は一瞬遅れて、言葉を発した。


恐怖のせいか、やたらと甲高い声だった。


「しょ、書類が郵送されてくるから、返送し、それから働くことになる、よ」



「またそうやって!いったいいつまでそうやって遊んでるわけ!全てお金は母が出しているのよ!」


「……???」


もう、声は出なかった。


何も言わない俺に愛想をつかして、悪意の固まりは部屋を出て行った。



中途半端な時間にたたき起こされて、俺はきちんと睡眠がとれなかった。


起き出すと、義母と娘がTVを見ていた。


俺は生卵で飯をかき込み、握り飯を一つ握ると、居間へ入った。



「お義母さん。これで○○(俺の娘の名前)と一緒に牛丼でも食べに行ってください。今日で期限切れなんです」


義母が牛丼を喜んで食うとは思えなかったが、俺の娘の母親に券をやるよりは、幾分ましだった。




暗澹たる気分のまま、職場に着いた。


券を、俺に譲ってくれたおばちゃんがいた。


「ねえ、牛丼食べた?」


俺は一瞬口ごもったが、精一杯の笑顔でこう答えた。


「はい!すごく旨かったですよ。やっぱり○○の牛丼は最高ですね。ほんとありがとうございました」


「あら、そう」


「つゆが違いますよね。それに肉もアメリカ産だし。キングオブ牛丼ですわ」



俺は一度も喰ったことがない牛丼を褒めちぎり、賞賛し続けた。





不思議なことに、微かに牛丼の香りがして、俺の鼻腔を刺激した。



エアー牛丼。



俺は幻の牛丼を食っていた。





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詩 「言葉は武器だ」

思考は物質化する?


本当かもしれないけれど。


想念だけで、一億円が一瞬のうちに目の前に現れるはずはないよね。



しかし、失望してはいけない。



僕たちには、思考より、もっと強力な武器があるのだから。



それは言葉だ。



言葉は恐ろしいほどの力を持って、人を傷つけたり、勇気づけたり出来るのだ。



あなたはすばらしいと、愛する人に毎日言い続けたら?



きっとすばらしいパートナーになるだろう。



あんたなんか、生きる価値もないなどと、妻や夫に言い続けたら?



きっと、ズタズタに引き裂かれ、傷つき、痛めつけられ、最後には死んでしまうことだろう。




頭の中で誰かを何年も憎み続けたとしても。


わら人形に何週間、何ヶ月と釘を打ち込んだとしても。




相手に向かって、罵り、喚き、罵倒する言葉には到底かなうものではない。




そう。



言葉は刃物どころではなく、一瞬にして人の精神状態を変えてしまう、とてつもなく強力な兵器なのだ。





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