詩 「ユカリと雨」
外は土砂降りだった。
ユカリは、酒飲みでひどい女だった。
ビールを2本。
ワインを2杯。
それからバーボンにとりかかる。
1杯目のグラス。
2杯目のグラス。
3杯目のグラスを飲み干したところで、俺に言った。
「あんたは、クソ野郎よ!死んじまえ!」
そして、ユカリは部屋を出ていく。
俺はバーボングラスをちびちびやりながら、ベランダから階下を見下ろす。
ユカリが何かに躓き、転んだ。
起き上がり、こっちを見上げて、叫んでいる。
「くそったれ!あんたのせいよ!」
俺は、グラスを高く掲げてそれに応える。
「ありがとうよベイビー!」
雨。
クラクションの音。
ベランダから身を乗り出し、雨の中にグラスを翳す。
グラスの中の小さな波紋。
そしつを口に押し付け
ガソリンのようなものを飲み干し、俺は思った。
ユカリのやつ。
酔っておかしくなるのは、いつも雨の日だな。
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くそったれ!原子爆弾
有史、先史を通じ、人類にとってもっとも重大な日はいつかと問われれば、私は躊躇なく1945年8月6日と答える。
理由は簡単だ。
意識の夜明けからその日まで、人間は「個としての死」を予感しながら生きてきた。
しかし、人類史上初の原子爆弾が広島上空で太陽を凌ぐ閃光を放って以来、人類は「種としての絶滅」を予感しながら生きていかねばならなくなった。
(クラストラー著「ホロン革命」)
とんでもない事だ。
何故、我が国は、敗戦間近のあの状況下で、広島と長崎に立て続けに原爆を落とされなければならなかったのか。
執拗な抵抗を続ける我が国を、降伏させるため?
教科書で語られる事柄全てが、真実とは限らない。
年をとってみると、それがわかる。
とんでもない事だ。
俺は毎年、この日を迎えるると、色々と余計な事を考えてしまう。
大義名分に隠された真意。
敗戦国がやがて復興し、復讐に燃える、強力な敵にならないよう力を削ぐ。
そのために、巧妙に仕組まれたプログラム。
(我が国に、反米感情を持った国民は、たぶん多くはない)
とんでもない事になっちまったよ。
まったく。
