「ニコライ・レザノフ『露日辞書』にある語義不明の箇所について」浅川哲也 2017 の中につぎのような記述がある。
1199<Карячиться><強情を張る>(不格好に体をくねらせる)
Нобимаштемо.(Nobimashtemo.)「述べましても」(のびましても(?))
ニコライ・レザノフ『露日辞書』の日本版の著者はロシア語の<Карячиться>の訳語として(不格好に体をくねらせる)とかき、それにあたるНобимаштемо.(Nobimashtemo.)という日本語がよくわからず(?)とかいた。
「ニコライ・レザノフ『露日辞書』にある語義不明の箇所について」浅川哲也 2017 は、ロシア語の訳語に<強情を張る>とかいて、善六の訳語は「述べましても」であるとかいた。
もうひとつ。
1325<Корчить><身をよじらせる>(けいれんさせる)
Суку маримаштемо.(Suku marimashtemo.)
「竦まりましても」(すくまりましても(?))
日本版の著者はロシア語の<Корчить>の訳語として(けいれんさせる)とかき、それにあたるСуку маримаштемо.(Suku marimashtemo.)という日本語がよくわからず(?)とかいた。
「ニコライ・レザノフ『露日辞書』にある語義不明の箇所について」浅川哲也 2017 は、ロシア語の訳語に<身をよじらせる>とかいて、善六の訳語は「竦まりましても」であるとかいた。「竦まる」というのは(身がすくむ)ということだろう。
このふたつ、おなじ動詞に「ся」(sya)がついたものとついていないものなんじゃないの?とおもう。
岩波ロシア語辞典
「корчить 1けいれんさせる、ひきつらせる。2(顔を)しかめる。3ひどく気を悪くさせる、虫酸の走る思いをさせる。」
「корчиться 1けいれんして身を曲げる、体をひきつらせる;身もだえする、身を縮める。2曲る、縮まる。」
訳語の「のびる」も「すくまる」も人の体が(まがったり、ちぢんだり、ひきつったり、のびたり)するというような意味で「述べる」は関係ないとおもう。
このことばはごんざの辞書にもでてくる。
「ロシア語」(ラテン文字転写)「村山七郎訳」 『ごんざ訳』
「корчю」(korchyu) 「曲げる」 『まぐる』
「корчуся」(korchusya) 「曲がる、縮まる」 『ちぢゅむ』