早めに羽化する蛹があったため、毎日蛹の様子を見る必要があったし。パラパラと羽化する個体の世話もあって、7月半ばまでの時間はかなり長く感じた。
早めに羽化した個体をすべて知人に進呈し、羽化日の揃ったものだけ残した。7月半ばにそれらをすべて冷温庫から出し、羽化させた。手元に残した蛹は、7月23日から25日に羽化したグループと、7月25日から27日に羽化したグループに分かれた。それぞれは6月16日から20日.、6月25日から30日に蛹化した個体である。
羽化後はそれらの個体を4日に一度ずつ餌を与えた。その期間は1週間ちょっとしかないのだが、これはかなり長く感じた。餌を与えて冷温庫に戻す、その繰り返ししかないから、逆に長く感じたの知れない。その期間もやっと終わった。今日からハンドペアリングを゙始める。
ミヤマカラスアゲハの春型雌を捕まえて産卵させ、夏型を得る。これは多くの人がやっている。得られた幼虫を゙暗黒条件で飼育し、夏型をスキップして翌春まで蛹を保存し、春型を゙作っている人もいるようだ。
ミヤマカラスアゲハの夏型の雌を得て採卵し、翌春春型を゙得る。これは春型からの飼育よりも易しい。春型からの飼育は、幼虫が病気にかかりやすい6月にかかることが多く、ここで死ぬ率がかなり高いのに対し、夏型からの飼育は酷暑の時期を゙過ぎた後で病気の率がかなり下がるため、比較的容易である。
つまり、春型からの飼育、夏型からの飼育、どちらも単独では難しくないが、両方を繋げたと言う話は寡聞にして知らない。
私自身、それに何度も挑戦してきたが、毎年失敗してきた。春型からの飼育で得られた夏型は通常7月に羽化してしまい、7月からの飼育では幼虫が死滅してしまうからである。カラスアゲハならば何とか乗り越えられるが、ミヤマカラスアゲハでは異なる。
ミヤマカラスアゲハにとって魔の期間である関東平地の7月、この期間を「蛹の時期に10℃で保存して蛹の時期を゙伸ばす」と言う単純な方法でスキップさせて、何とか累代飼育に成功したい。それが本年のテーマである。そのための第一関門が夏型の交尾、本来は2ペアあればよいのだが、環境変化のせいで交尾しても産卵前に死亡する個体が出る可能性を゙考え、念のため3ペア作った。それが下の写真である。
しかし、不安はある。すでに書いたように、この成虫達は蛹の時期に10℃まで冷却され、蛹の期間を1か月以上に引き延ばされている。そんな個体を゙交尾に使って、正常な受精卵が得られるのか?
確認してみなくては分からないとしか言いようがない。
今日と明日で合計6ペアを゙作る。それらのうちから合計4頭で産卵させる予定。
産卵しても、孵化、幼虫の生育、蛹化、翌年の羽化と続く。本当にすべてうまくいくのか?
確認してみなくては分からないとしか言いようがない。
乗り越えなくてはならない山はまだ幾つもあるが、少なくとも最初の山は越えた。