ツマベニチョウ「エバ」の産んだ卵からは7頭の幼虫が孵化したが、その後幼虫期間を経て5つが無事蛹になった。
2頭減った原因は分からない。蛹にならなかった幼虫が入っていた袋の周囲には、早い時期からアリが歩いていたので、途中何らかの原因で死亡したようだ。
5頭のうちの2頭は7月20日前後に蛹化し、3頭は24日前後に蛹化した。同じ日に産卵された卵から4日の差がある2グループの蛹ができた。この2グループは、雌雄の可能性が高い。
多くの種で雄は雌よりも少し早く羽化する。早めに羽化した雄が成熟する頃に、雌が羽化する。ツマベニチョウの蛹期間は2週間程度とされているため、順調に行けば8月4日付近に2頭の雄が羽化し、その後、8月8日付近に3頭の雌が羽化する。
幼虫期間に何らかのトラブルが存在し、蛹化が遅れたとすれば、遅く蛹になったものの中に雄が含まれる可能性もある。何しろ幼虫期間に2頭が死んでいるのだ。人間に例えれば、「7人のグループのうちの2名が死亡」と言うのは、かなり重大な事故などの場合であろう。
とは言え、一応上記の日程で雌雄の羽化が起こると想定しておく。
羽化まではまだ時間があるので、蛹はずっと室内に置いた状態でも良いとは思ったが、気が急く部分もあり、写真のような自然交配のセッティングをした。
白色の洗濯ばさみで止めてある方が雄になると思われる早くできた蛹、緑色の洗濯ばさみで止めてあるのが雌になると思われる蛹である。もう1つの容器には、雄になると思われる蛹1個と雌になると思われる蛹2個がいれてある。
ツマベニチョウは羽化の少し前には雌雄の識別が可能になる。今後の状況によっては、一部の蛹を交換するような場合は普通に起こるだろう。5つ全部雄とか全部雌でなければ良いのだが。
容器の左右に置いてあるのは、ブッドレアの株であり、一つの株にはすでに蕾があり、雄が羽化するタイミングには開花しそうだ。
コヒョウモンモドキの時にも感じたが、ブッドレアだけで蜜が足りるかどうかは怪しい。特に今度は大柄なツマベニチョウだ。ポカリスエットなどの餌を与えることになると思う。ブッドレアは成虫の止まり場所としての意味が大きそうだ。
早めに羽化した雄は、給餌の時以外はずっとこの容器の中で生活する。是非縄張り意識をもつようになって欲しい。そして、縄張りの中に雌が現れたら、交尾していただきたい。ブッドレアでのんびり吸蜜している雌に後ろから近づいて、などと言う形も好ましい。
ハンドペアリングで交尾させられれば、こんな容器は不要なのだが、過去にツマベニチョウのハンドペアリングを試みた時にはうまくいかなかった。交尾器が大きいからと言ってハンドペアリングが易しいと言うことにはならないようだ。まだツマベニチョウにおけるハンドペアリングのコツが掴めていないため、今回は大事を取って自然交配を試みる。次世代においてもう少し多くの数の成虫が得られたら、ツマベニチョウのハンドペアリングにも再チャレンジしてみたい。
なお、エバとの約束であるが、台風通過などの予報が出ない限り、8月の最後の日曜日付近で行く予定であるが、2週間程度前に決める。できれば交尾を終えた雄と十分な数の産卵を終えた雌を持って行きたいものだ。