ブログ記事などに、挿し木に関する記事は、沢山ある。挿し木容易な種で成功した話題の記事に、情報は少ない。情報があるのは難しい種などでの失敗を話題にしている記事だ。
失敗には以下のどちらかか゚多い。
1.挿し穂が腐敗して枯れた。
2.挿し穂は元気だが、発根しない。
1の失敗は、挿し穂に病原菌が入り込んで繁殖したことに起因すると思う。
この失敗を避けるため、挿し穂の切り口から病原菌か゚侵入出来ないように切り口をカルスメイトで塞いだ。
2の失敗は、その種の特性、あるいは挿し穂の取り方により、発根しにくいことに起因すると思う。
この失敗を避けるため、節がある挿し穂を使ったり、地下に埋める部位の芽を除去して葉痕部を維持した。
ホルモン剤や活力剤は、弱った挿し穂に発根させる以上の意味はないと判断したため、使わなかった。
さて、最近の状況である。前回写真を出してから約2週間か゚経過し、初めから芽が殆どない枝挿しの挿し穂1本を除き、すべての挿し穂で芽の展開か゚進んで来た。
1番目の鉢。枝挿しの挿し穂が6本入っている。芽が殆どなかった1本の挿し穂を除き、芽が展開を始めている。

2番目の鉢。頂芽を持つ挿し穂3本。芽か゚小さかった挿し穂1本では展開か゚遅れているが、2本は勢いよく芽が展開している。「芽」でなく「葉」と呼べる段階が近づいている。

3番目の鉢。側芽1個+芽を除去した葉痕部2個を持つ挿し穂8本。1本の挿し穂だけは芽が非常に小さかったために芽を2個残した。その挿し穂の芽はまだ展開していないが、それ以外については2番目の鉢、頂芽とほぼ同じ、ないし少し遅れた感じで展開している。

4番目の鉢。側芽1個+芽を除去した葉痕部を一個持つヤクシマカラスザンショウの挿し穂4本と、カラスザンショウ1芽の縦置きとキハダの対生芽の一つを地上、芽を除去した葉痕部を地中にした挿し穂、各2本ずつ。
ヤクシマカラスザンショウの芽の展開は、枝挿しよりも早いが3番目の鉢より少し遅い程度。左右のキハダと上下のカラスザンショウ、特にキハダの芽の展開が早く見えるか゚、これは種の特性と思われる。

今回は、ヤクシマカラスザンショウの挿し穂の比較のみを考える。
芽の展開は1番目の鉢、枝挿しが一番遅い。
この鉢では、芽か゚地表面からかなり離れている。しかし、芽が地表面から離れた位置にあるという物理的な要因では説明が付かない芽が多い。原因は、化学的要因、植物ホルモンとの関係だろうか?
枝の切断位置を起点として、下から順に概ね1番目→4番目→3番目→2番目の鉢の挿し穂を取っている。芽の展開の遅いもの→早いものの順序は、ほぼこれと一致している。
先端の方から得た挿し穂は細く、芽の間の間隔か゚詰まっている。細い枝に狭い間隔で付いた芽は展開か゚早いと考えると、大体辻褄が合う。
茎にアブシシン酸などの芽の展開を抑制する植物ホルモンか゚蓄積していて、芽1個あたりの茎の量か゚大きく、その作用を受け易いと芽の展開か゚遅くなるのだろうか。
別の説明も考えられる。
上に挙げた1→4→3→2と言う鉢番号の順とは逆の順序で先端に近いということは、挿し穂の幼若性が高いと言うことだ。そのような枝はアブシシン酸量か゚少ないため、芽の展開か゚抑制されにくいという理解も成立する。
共に、茎に蓄積しているアブシシン酸の違いに展開速度の違いの原因を求める考え方であり、枝の体積あたりのアブシシン酸量か゚等しければ前者、幼若性が低い枝ほど多ければ後者が正しい。どちらが正しいか、あるいはどちらも正しくないかは、枝のアブシシン酸濃度を測定すれば分かるが、それを確認する手段は持ち合わせていない。
「挿し穂は長い方がよい」と言われる理由は多數の芽や葉が付いた大きな挿し穂を使えば、そこから出るオーキシンの総量が増え、発根総量か゚増えるために成功率が上がると言うことだろう。
しかし、業者か゚販売を目的として行う場合ではなく、個人が趣味としてやる場合は、「茎の先端は挿し木に使うのには向かない」と言う経験則と同様、この経験則は必ずしも正しくないように思える。個人は短い挿し穂を沢山作り、先端部の高い発芽力を利用した方が良さそうだ。
このまま挿し穂が元気でいてくれれば、第一の失敗は回避できる。第二の失敗も回避できるだろうか。これから2ヶ月ほどが勝負だろう。但し、すぐに「鉢上げ」はせず、秋まで同じ鉢で育てる予定。
2週間後、4月中旬頃にまた経過を更新する。次回は主にカラスザンショウとキハダの挿し穂について考えたことに触れたい。