私がいつ死ぬかは分からないが、その後もしばらくの間、以下の2つが続くことはほぼ確実だろう。
1.温暖化が進み、真夏の飼育はますます難しくなる。
2.規制はどんどんうるさくなり、山で木を引っこ抜いて来るようなことは、今以上にやりにくくなる。
生き物を手元に置いて、育つ様子を眺めることがどんどん難しくなると言うことだ。それでまともな自然保護意識など、育つもんか。
「真夏になる前に蛹にして、真夏は冷やして蛹の時期を伸ばし、秋から飼育を続けたらどうかな?」
「木を抜いて来るのが難しくて、種も見つからないようなら、カッターで芽だけを切り取って持ってきて、そこから育ててみたらどうかな?」
どこかの国の生き物好きの少年少女に、上のようなことを入門書から話しかけることができたら、私が生まれてきた意味も少しはあったのではあるまいか。
リシャールさんはとっくに亡くなっているだろうが、その方法を試す世界中の少年少女の心の中にまだ生きている。どこかに私の方法を試し、毀誉褒貶してくれる人がいる間は、私に本当の死が訪れることはない。
リシャールの方法は単純ではあるが、背後で色々試したと思う。
蛹の時期に冷やすと言うことも実に単純なことだか、その結論に至るまでに、産卵させる時期を変えるとか、成虫の時期に冷やすことなども試み、何年も失敗を繰り返し、やっと春の羽化タイミングを変えなくても蛹を冷やせば良いと言う結論にたどり着いた。
しかし、その蛹から健全な成虫が得られなくては意味がない。前蛹期の高温で雄の生殖能力か゚失われて無精卵か゚発生することなどへの対策として、前蛹や羽化後の温度設定はどうすべきかと言う点など、まだ課題は残っている。そして、いつでも、誰にでもできると言えるためには、普通の冷蔵庫で冷やすのでは駄目なのか、その検証も必要であり、もう少し改良が必要だろう。植物の方に至っては、本当に切り取った芽だけから植物を育てられるのか、まだ分からない。やっと端緒に付いた所だ。
そんなことも意識しながら、本年は現在試している方法を更にブラッシュアップさせる一年にしたいと思う。
リシャール式採卵法と同じく、私のやり方も万能ではない。しかし、ミヤマカラスアゲハとヤクシマカラスザンショウと言う種ではこのやり方で成功すると言う所までは仕上げたい。
そこまで仕上げれば、同じやり方で成功する種は少なくないだろうし、ちょっとやり方を変えればうまく行く種もあるだろう。その改良は、まだ生まれていないどこかの誰かに任せよう。
私がやるべきことは、まずこのやり方を試してみようと言えるような方法に仕上げることまでだ。そのための一年にしたいと思う。
ではまた。月末付近に挿し木の状態について更新する。