60鉢以上のヒメカンアオイを保有しているが、その多くはヤフオクやメルカリで落札したものてある。ヤフオクに出ていたものは、恐らくギフチョウ飼育か゚趣味の方が物故されたか、高齢で飼育をしなくなったため、家族の方などが出品したものだろう。カンアオイ自体か゚趣味の方なら喜びそうな特殊な紋のものはなく、平凡な無紋やありきたりな雲紋のものばかりで、当然のように青軸とか素心花などはない。勿論私もそれで不満はない。

落札して入手したもの以外は株が大きくなり過ぎて株分けしたものや、自分で種子から増やしたものである。


6月に入ると、カンアオイの実が熟して崩れ、実の中に赤黒く完成した種子が見えて来る。自分で種から増やしたものは、この種子を採取して小さなポリポットに蒔いて少しずつ増やしたものである。成長が遅いため、自分で蒔いた種子からのものか゚ギフチョウの餌になるまで成長するにはかなり時間か゚かかる。



カンアオイの種子からの成長は異常なほどゆっくりであり、秋には根だけ出ているらしい。翌年春に双葉が出て、その年は双葉のみ、その翌年に本葉か゚1枚出て、以後本葉の枚数か゚増えてゆく。


先日、ギフチョウやカンアオイか゚趣味の友人が「カンアオイは実ごと蒔いてしまった方が発芽率が高い」

と言っていた。


そりゃ、実の中には種子が20個程度は入っているから、一つでも発芽したものを発芽したと呼ぶなら、実ごと蒔いた方が発芽率が高いのは当たり前だろう。ただ、種は実が熟した後に一つずつ分けて蒔くものと決めつけていた私にとっては、この『実ごと蒔く』と言うやり方は想像しておらず、新鮮に感じられた。


幾つかの種子がまとめて発芽、成長すれば、数年後には「大株」が育つかも知れない。荒っぽいやり方ではあるが、面白い。一度試してみよう。


実が熟すのは丹沢などでは6月に入ってから。今の時期に行っても、よく熟した実はまだないだろうが、実ごと蒔くつもりなら、少し早めに採集しても良いかも知れない。「じゃがいも切り口保護材」の効果を試すこともできる。



丹沢の日帰り温泉に浸かるついでにランヨウアオイの実を採集に行くことにした。


切り取ったランヨウアオイの未熟な実(花)を軽く水洗して汚れを取り、『じゃがいも切り口保護材』の入った容器の中で転がすと、実全体に「じゃがいも切り口保護材」をまぶした感じになる。これを下の写真のように小さなポリポットの真ん中に置いた。



『じゃがいも切り口保護材』の効果を確認すると言う意味では、種子が発芽するのは来年春であり、それまで結果が分からないのは大いに問題である。しかし、発芽の有無でなく実が腐らないかどうかの確認だけであれば近日中に確認出来るだろう。

カンアオイの実の成熟過程が一般的な果実のものと同じとすると、未熟な実でも種子内部の細胞分裂など、大半の過程は終わっている。種子が大体できた後、種子にはオーキシンを分泌して果肉を成長させるとか、エチレンを分泌して果肉を柔らかくするなどの仕事がある。だから種皮だけは内部で合成した物質(植物ホルモン)が通れる状態を維持しなくてはならない。これらが終了して始めて種子は眠りにつくことができる。種皮は物質を通さなくなり、種子は硬化する。大体そんな感じだろう。
『じゃがいも切り口保護材』の作用で実が腐敗しなければ、親株から切り離された状態でも、種子形成は発芽可能な段階まで進行するはずだ。

しばらく様子を見てみる。じゃがいも切り口ならぬ、切り取ったランヨウアオイの実の保護材として使えるかどうかの確認である。種子もろとも実が腐ってしまった状態と、種子が完成して実が熟した状態が見分けられれば良い。
一部の鉢で6月末頃に種子の状態を確かめてみよう。赤茶色く成熟した種子が見えれば、それでOKだ。もしも白い種皮が見えたら。種子としての仕事は完了していないかも知れない。