学食のプラスチックのトレイに カレーと味噌汁を載せて
以来、高橋は真由ちゃんに夢中だった。
やれ、真由ちゃんと昼メシを食っただの、
クラスの連中と真由ちゃんのアパートで鍋パーティをするだの、
そんなことばかり言っては、浮かれていた。
ただし、雪乃の時と同様、
真由ちゃんに告白することはできていなかったのだけれど。
それでも、高橋は、今の状況に満足しているように見えた。
そして、
僕はと言えば、
相変わらず、授業と、練習と、そして加奈とのデートに明け暮れていた。
それなりに楽しく、満ち足りた日々だった。
そんなある日。
そう、あれは11月の末頃だったと思う。
その日の3時からの授業に提出しなければならない課題を忘れていた僕は、
昼メシも食わずに課題に取り組み、
3時ギリギリにようやく仕上げて、授業に出席した。
だから、授業を終えた頃には
すっかり腹が減っていて、
こりゃ、練習に行く前にメシでも食わなきゃ死ぬな、とか言いながら
学食へ立ち寄った。
― もしも、この時、学食に立ち寄らなければ
僕のこの後の人生は、今とは全く別の物になっていただろう。
だが、“もしも、立ち寄っていなければ…”などと考えるのは
無意味だ。
なぜなら、僕が、この時、学食に立ち寄ったことは事実であるし、
立ち寄らなかった場合の「今」は、どこにも存在しないのだから ―
僕は、学食のさえない色のプラスティックのトレイに
カレーと味噌汁を載せ、会計を済ますと
座る場所を探して、学食内を見渡した。
すると、日当たりのいい窓際の席に
サッカー部のウインドブレーカーを来た奴がいた。
逆光に目を凝らすと、背中には「TAKAHASHI」の文字が見えた。
高橋の席には、高橋の他に
男が一人と女の子が二人、居るようだった。
僕は、そこに真由ちゃんがいるのなら
高橋を冷やかしてやろうと思い、高橋の席に近寄り、言った。
「おう、高橋、オレもココで一緒にメシ食っていい?」
「おっ!上杉。ま、座れよ」
そう言われ、高橋の隣に座り、
対面に座る女の子の顔を見ると、それは
真由ちゃんでも誰でもなく、
冴木雪乃だった。
やれ、真由ちゃんと昼メシを食っただの、
クラスの連中と真由ちゃんのアパートで鍋パーティをするだの、
そんなことばかり言っては、浮かれていた。
ただし、雪乃の時と同様、
真由ちゃんに告白することはできていなかったのだけれど。
それでも、高橋は、今の状況に満足しているように見えた。
そして、
僕はと言えば、
相変わらず、授業と、練習と、そして加奈とのデートに明け暮れていた。
それなりに楽しく、満ち足りた日々だった。
そんなある日。
そう、あれは11月の末頃だったと思う。
その日の3時からの授業に提出しなければならない課題を忘れていた僕は、
昼メシも食わずに課題に取り組み、
3時ギリギリにようやく仕上げて、授業に出席した。
だから、授業を終えた頃には
すっかり腹が減っていて、
こりゃ、練習に行く前にメシでも食わなきゃ死ぬな、とか言いながら
学食へ立ち寄った。
― もしも、この時、学食に立ち寄らなければ
僕のこの後の人生は、今とは全く別の物になっていただろう。
だが、“もしも、立ち寄っていなければ…”などと考えるのは
無意味だ。
なぜなら、僕が、この時、学食に立ち寄ったことは事実であるし、
立ち寄らなかった場合の「今」は、どこにも存在しないのだから ―
僕は、学食のさえない色のプラスティックのトレイに
カレーと味噌汁を載せ、会計を済ますと
座る場所を探して、学食内を見渡した。
すると、日当たりのいい窓際の席に
サッカー部のウインドブレーカーを来た奴がいた。
逆光に目を凝らすと、背中には「TAKAHASHI」の文字が見えた。
高橋の席には、高橋の他に
男が一人と女の子が二人、居るようだった。
僕は、そこに真由ちゃんがいるのなら
高橋を冷やかしてやろうと思い、高橋の席に近寄り、言った。
「おう、高橋、オレもココで一緒にメシ食っていい?」
「おっ!上杉。ま、座れよ」
そう言われ、高橋の隣に座り、
対面に座る女の子の顔を見ると、それは
真由ちゃんでも誰でもなく、
冴木雪乃だった。