妻への手紙 -14ページ目

高橋の想い

一通りの会話のあと
雪乃は じゃぁね と高橋に告げ
そして僕にも 目だけでちょっと挨拶をして去っていった。

「おい、高橋。ボーっとすんなよ。いい子そうじゃん、彼女」
「だろ?」

「だろ? じゃねぇーよ。どうすんだよ。」
「な。 どうすんべ」

「どうすんべ っておまえ。いきなり木更津なまりでしゃべられてもな」


実際、雪乃は高橋のことをただの友達以外の何者でもないと思っているようで、
高橋は、そんな雪乃に想いを告げてしまうことで、これまでの友達としての関係すら失ってしまうのではないかと、そればかりを恐れていた。

そんなものなのかもしれない。

“大学生はナンパで彼女を調達”なんて、本当に一部の奴らがすることであって、僕らのようにごく普通の大学生には、ナンパはおろか、女友達を作ることだってなかなか難しいことだった。

高橋にとって、雪乃は失いたくない存在だったのだろう。
もし、雪乃が僕の友達だったなら、そして僕が雪乃のことを好きだったなら、同じように、想いを告げることに戸惑いを感じただろう。

「かわいいよな」

そんなことばかりを言っている高橋の横で、僕も今見たばかりの雪乃の笑顔をひっそりと思い出していた。