WEEKLY MAIL 第1286号(令和4年9月4日)発行 NO.2
ニューヨークダウは想定通りの下落ということになっています。しかし今さらですが、2020年3月安値から2022年1月高値までで指数は倍になったのですね。よくそこまで下がったとも言えますが、よくそれだけ上がったな、とも言えます。手元できっちり計算していませんが、この上げ幅の38.2%下げがだいたい30,000ドル前後になると思いますので、今年6月の下落(短期的に30,000ドル割れ)は、その節目まで到達したということになります。 となれば、ここからの下落のめどは、まずはそのあたりがターゲットになると思われます。この水準は2020年のコロナ直前の高値にもおおむね一致するので、節目としてはなかなか固め。したがって、30,000万ドル近辺で買いを入れるのは順当と言えるでしょう。 しかし、過去の株価調整局面を見ていくと、大幅調整はそろって上げ幅の半値押しまで下げています。ここで調査部なら何年のいつ、と指摘するところですが、今はちょっとそういう環境にないのですみません。で、今回も半値押しとなるとすると28,000ドル割れぐらいでしょうか。逆に言えば、そこまで見ておけばいいように思います。 最近までは、高圧経済などと言って、多少インフレが高めに来ていても経済成長を優先する姿勢を見せていたFRBですが、ここにきて、多少景気を犠牲にしてもインフレを抑える、という真逆の方向にかじを切っていることがわかりましたので(それで1,000ドル安となったわけですが)、株価としては下げざるを得ないところだと思いますし、これはなかなかのネガティブ材料ではあるので、半値押しがメインシナリオでいいと思います。 しかし、足元で一部新興企業ではレイオフの動きがあるようですが、雇用統計でみると総じて雇用は堅調です。インフレも進んでいますが賃金も上昇しており、また、金利水準は消費者物価より低いので、実質的にはマイナス金利状態(年限等によりますが)。となれば景気はまだまだ堅調なはずで、同時に、金利の上昇余地もあるということでしょう。このあたり、マスコミ等はあれこれ不安を掻き立てるようなことを常に書いているわけですが、さほど新たに驚くような話はないように思います。10月、11月はヘッジファンドの解約が、という話もそろそろ出てきそうに思いますし、実際、株価が下がってからうろたえて解約する人もいるでしょうから、この分だと10月安値で28,000ドル割れ、というのはそれっぽい予想のように思います。10月はブラックマンデーをはじめとして、何かと暴落とか安値のイメージがあるので、そういう話になりやすいかと思います。とそこまで読むと、NYダウはむしろ9月中に底打ちするかもしれません。 一方日経平均はと言えば、当欄では強気姿勢を貫いていますが、その見方は変わりません。強気と言っても下落しななそう、というやや消極的なところではありますが。リーマンショック後は日銀の金融政策の誤りで、景気、株価ともにとんでもないことになりましたが、今回はその真逆と言っていいと思います。米国は、FRB(米金融政策)が失敗したというより、トランプの財政政策(拡張しすぎ)と、それを相手にバイデンがムキになって一段と財政拡張策を取った、その影響が出ており、FRBでも抑えきれなかった、ということかと思います。要するに需要が超過したということで、日本にとっては悪い話ではありません。一方、日本は金融緩和策を継続しており、国内需給は引き続き需要不足の中、輸出環境は円安で一段と改善、財政出動策もそれなりに取られている、というところですから、悪いわけはないと思います。こうしたマクロからの落とし込みのストーリーを考えるにつけても、日本株の指数を本気で売るという発想はどうかしてる、とすら思います。あいかわらず個別銘柄の分析が少なくてすみません。