『妖虫戦線〈3〉ヘル・パラダイス』 山田正紀 中央公論社C・NOVELS
敵か味方か!?謎の妖虫カゲロウ現る!!
デリヴィルスは略すとデヴルになるが、
死んだ愛した少女がカゲロウの奇跡で甦り、
主人公(の一人)はカゲロウはエンジェルかもと期待する。
神も欧米先進諸国も日本の滅亡を是とするなか、
日本人に味方するスーパーナチュラルは現れるのか!?
怪しい宗教団体も登場し、物語は更に錯綜!
カフカの城のKと自分を同一視してる少女ケイが実は敵の雰囲気も!
どうなるどうなる!!日本が日本が大ピンチ!!!
『死者を鞭打て』 ギャビン・ライアル 早川ミステリ文庫
冒険小説と言うよりハードボイルドジェンダーミステリ。
ミステリの要素が強いが、事件の真相を推理出来る者はいないであろう。
殺人の動機が素晴しいジェンダーテーマになっている。
こんな悲劇が起こらない為に我々はジェンダーについて深く考えねばならない。
『虚空』 ロバート・B・パーカー 菊池光 訳 早川ミステリ文庫
スペンサーシリーズ22作目。
15作目『真紅の歓び』 と同様の人称混在手法で、
必然性は増えているが、最初の方の三人称はもっとカットしても良かったな。
ラストの方のスペンサー視点を三人称で語り直す所は、
危機一髪でヒロインを救うヒーローというベタな視点が消えてしまい、
スペンサーの語りに読者よ欺かれる事なかれ!
というパーカーの主張があるようで面白い。
語り手は嘘を言う可能性があるというここをトコトン突き詰めると
クーンツ の『オッド・トーマスの霊感』 のような大傑作になったろうに惜しい。
ジェンダーミステリとしては、結婚しても旧姓を名乗り続ける女性ネタが良い。
『拳銃を持つヴィーナス』 ギャビン・ライアル 早川ミステリ文庫
全ての美術ミステリは
この作品の一エピソードにしかすぎない究極の美術ミステリ。
ミステリ=殺人=拳銃ということで、
拳銃と美術ネタが完璧に融合した見事なトリックが出てくる
美術ミステリの完成形。
美術ファンは他の芸術ファンも兼ることが多いが、
音楽ネタでパブロ・カザルスが出てくるのも文句無し!
ゴヤを生んだ世界一の美術大国のスペイン人女性が、
ニカラグア大統領になる為に美術館を建てようとする話である。
展示品購入費用は2億5千万£!
主人公のチームは絵の買い付けにヨーロッパ中を駆け巡る!
大金に惹かれ危険な奴等が来る!
ラストの大ピンチに拳銃が無い状況に追い込まれており、
弾丸から自作始める場面は、
デズモンド・バグリィ の『高い砦』 を彷彿させ大興奮しました。
直裁なセクースシーンは無いが、
男女が共同して食器を洗うシーンがあり、
例によってジェンダー観も素晴しい!
ピカソやミロやポール・セザンヌ や
モネやゴッホやレンブラントやフェルメールや
ダ・ヴィンチやラファエルロの話題とともに、
ティツィアーノ(チチアン)がなんども出てくるのが、
ジョルジョーネの幻の絵画「拳銃を持つヴィーナス」への
伏線になってるのが巧いです。
小説タイトルは暗喩だと誰もが思うが、
固有名詞だったとは憎いねぇ。
このネタを超えるには、
「核ロケットランチャーを背負うモナリザ」ぐらいしかありえないが、
そんなもん贋作だと誰もが判るので、
この作品が美術ミステリとして上限ということです。
『鉄塔 武蔵野線』 銀林みのる ソフトバンク文庫
ファンタジーと言うより児童文学の雰囲気だが、
難しい漢字けっこう使っているので、
漢字萌えの大人でも充分楽しめます。
カキ氷よりエロ本より美少女より、鉄塔調査を優先する素晴しい少年冒険物語。
ゲッターロボは2、モビルスーツはハンブラビ、メカサタンはイカデビルが好きな方は、
500枚も収録されている鉄塔写真にどえりゃあシンクロ出来ると思います。
それにしても鉄塔に男型と女型を幻視する作者の想像力は凄い!
結末は捻らなくても良かったと思う。
誘拐ババァが再登場しなかったのがなんか気になる。
普通の作家だとババァの息子の死体が発見されてミステリになるところだが、
鉄塔文学に徹するのが素晴しいですよね。





