『愛しても、獣』 山田正紀 双葉社
本書のベストセリフ
「女たちは解放されなければならない。
しかし、解放されるのは女だけでいいのか。
いや、女たちだけの解放がありうるのか。
じつは男たち自身も、
男社会の過酷な競争原理のなかで、
圧迫され、窒息しかかっているのではないか?」
天才正紀の素晴しいジェンダーミステリ。
例によってマスゴミ批判も痛快!
『前夜』 リー・チャイルド 講談社文庫
普通の作家ならキャラの紹介エピソードとしてパターンで流す箇所も、
一歩踏み込んで見事にストーリーに関連させている。
無駄な描写が無い巧さに唸る。
ホモ殺人事件も出てくるのでジェンダー観も素晴しい傑作。
ひたすらプロットが巧い。
セクースの為のラブコールさえ
演繹的推理小説のトリックの一部として見事に組み込んでいる。
純文学的なうっとおしいダラダラ文でなく、
スタイリッシュな短いセンテンスの文のテンポも良い。
エンタメとしてしっかり考えて書かれた傑作。
エドワード・ホッパーの「ナイトホークス」も出てくることから、
作者の理想はマイクル・コナリー だと期待する。
一部マイクル・コナリー を超えている箇所も見受けられる。
これは全作コンプしなアカンですな。
『静かなる天使の叫び』 R・J・エロリー 集英社文庫
リーダビリティは良いが、1940年代が舞台なので仕方ないとは思うが、
ジェンダー観が古臭い。
女は守られるのみで、男が女を守らないとアカンのだそうです。
ジョー・R・ランズデール に似ているが、ロバート・R・マキャモン の『少年時代』 にも似てると思いました。
もっともこの時点ではジョー・R・ランズデール にもロバート・R・マキャモン にも劣ると思う。
純真な少年時代が終わり、18歳になった途端主人公がセクースやりまくるのは下品。
下巻で語り手が犯人とか、探偵が犯人とか、
強姦殺人だが女が犯人とかいうどんでん返しが無かったら怒るよ。
下巻に入って、
中どんでん返しも大どんでん返しもキタ━━(゚∀゚)━━!
主人公が不幸に陶酔する純文学タイプなので主人公に魅力が無いが、
下巻に限って言えば、マイクル・コナリー が褒めるのも頷ける怒涛の展開です。
図書館で女を軟派するような主人公は不幸になっても自業自得だと思いますw
愛する者を次々と失う主人公だが、
それは逆に言うと次々と愛する者に巡り合えたと言うことです。
不幸を饒舌に語る主人公はうざい。
ヨブ入ってるよなw。
総合評価はやはりジョー・R・ランズデール の『ボトムズ』 よりもロバート・R・マキャモン の『少年時代』 よりも下だな。
『電脳少女アイドロイド・ユイ』 山田正紀 光風ノベルス
アンドロイドではなくてアイドロイドざんす。
スーパーアイドルになる為に
17歳の美少女が強化サイボーグになり麻薬密売組織と戦う話。
と思わせて…。
スーパーパワーを封じられた最大のピンチの脱出方法に芸がない。
もうちょっと捻って欲しかった。
『赤い夏の日』 オーサ・ラーソン 早川ミステリ文庫
レベッカ・マーティーソンシリーズ2作目。
本書のベストセリフ
「男は女を蔑む、支配する、虐げる、殺す。
監禁する、レイプする、教育を禁じる、
男より低い賃金しか払わない、
支配力を握る機会を男ほど与えない。
司祭になる権利を与えない。
わたしはそれを無視することはできません」
ウーマンリブの男憎しに凝固まった女副司祭が殺された!
妊婦刑事改め馬面女刑事はチームリーダーとして捜査を開始する。
暴力女弁護士のレベッカは不法行為をして捜査に協力!
女達は野蛮で破廉恥な男どもに一矢を報いることが出来るか!?
という素晴しいジェンダーミステリ。
スウェーデンの美しい自然描写もパワーアップしてます。
美しい自然は心を癒しますよね、オホホ
という単純なものではなくて、
蝿とか蚊とか蚋とかの醜いものもしっかり描かれているのが、
リアルで素晴しい!
ゲロも糞も出ますぞ!
ヘニング・マンケル を超えそうな雰囲気。
女弁護士レベッカシリーズとして紹介されているが、
この巻で既に検察官か皿洗いに転職する可能性が語られる。
弁護士としてダメになっても、
検察官に転職する可能性は誰でも考えるが、
零細食堂の皿洗いも転職候補に挙げられるのが、
職業差別の意識が無くて素晴しい。
雑魚キャラの人生も丹念に描写するのはやりすぎだと思うが、
作者の人権意識の反映だろうな。
精神薄弱児と主人公の交流も巧い。
ストーリーの盛り上げ方はヘタだが、
オーサ・ラーソン には超期待してます。
[1年で何ページ読める?] 7月篇
1~7月累計 145作154冊51998P
2009年の月平均 20.7作22冊7428P
7月の内訳
歩く影 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
読了日:07月01日 著者:ロバート・B. パーカー
孟嘗君と戦国時代 (中公新書)
読了日:07月02日 著者:宮城谷 昌光
虎の首〔ハヤカワ・ミステリ1820〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
読了日:07月02日 著者:ポール・アルテ
妖虫戦線(デリヴィルス・ウォーズ)〈1〉バビロン・プロジェクト (C・NOVELS)
読了日:07月03日 著者:山田 正紀
太陽系最後の日 (ザ・ベスト・オブ・アーサー・C・クラーク 1) (ハヤカワ文庫 SF ク 1-45 ザ・ベスト・オブ・アーサー・C・クラ)
読了日:07月04日 著者:アーサー・C・クラーク
忍法さだめうつし
読了日:07月06日 著者:荒山 徹
川は静かに流れ (ハヤカワ・ミステリ文庫 ハ 24-2)
読了日:07月07日 著者:ジョン・ハート
ゴースト (講談社ノベルス ヤE- 8 創造士・俎凄一郎 第 1部)
読了日:07月08日 著者:山田 正紀
ユダヤ警官同盟〈上〉 (新潮文庫)
読了日:07月09日 著者:マイケル シェイボン
ユダヤ警官同盟〈下〉 (新潮文庫)
読了日:07月10日 著者:マイケル シェイボン
鉄塔 武蔵野線 (ソフトバンク文庫 キ 1-1) (ソフトバンク文庫 キ 1-1)
読了日:07月11日 著者:銀林 みのる
拳銃を持つヴィーナス (ハヤカワ・ミステリ文庫)
読了日:07月13日 著者:ギャビン ライアル
妖虫戦線(デリヴィルス・ウォーズ)〈2〉妖虫、めざめる (C・NOVELS)
読了日:07月14日 著者:山田 正紀
虚空―スペンサー・シリーズ (ハヤカワ・ミステリ文庫)
読了日:07月15日 著者:ロバート・B. パーカー
パラサイト・イヴ (角川ホラー文庫)
読了日:07月17日 著者:瀬名 秀明
死者を鞭打て (ハヤカワ・ミステリ文庫)
読了日:07月18日 著者:ギャビン ライアル
妖虫戦線(デリヴィルス・ウォーズ)〈3〉ヘル・パラダイス (C・NOVELS)
読了日:07月19日 著者:山田 正紀
チャンス (ハヤカワ・ミステリ文庫)
読了日:07月20日 著者:ロバート・B・パーカー
パンタとレイニンの反戦放浪記
読了日:07月21日 著者:パンタ,椎野 礼仁
宇宙の果てのレストラン (河出文庫)
読了日:07月22日 著者:ダグラス・アダムス
妖虫戦線(デリヴィルス・ウォーズ)〈4〉分岐点 (C・NOVELS)
読了日:07月23日 著者:山田 正紀
悪党 スペンサー・シリーズ (ハヤカワ文庫 HM)
読了日:07月24日 著者:ロバート・B・パーカー
恋恋蓮歩の演習―A Sea of Deceits (講談社文庫)
読了日:07月25日 著者:森 博嗣
裏切りの国 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
読了日:07月28日 著者:ギャビン ライアル
おとり捜査官 5 味覚 (朝日文庫 や 23-5)
読了日:07月28日 著者:山田 正紀
突然の災禍 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
読了日:07月29日 著者:ロバート・B・パーカー
「まあ、ええがな」のこころ
読了日:07月30日 著者:森村 泰昌
90億の神の御名 (ザ・ベスト・オブ・アーサー・C・クラーク 2) (ハヤカワ文庫SF)
読了日:07月30日 著者:アーサー・C・クラーク
ヨハネの剣 (講談社文庫)
読了日:07月30日 著者:山田 正紀
沈黙 (ハヤカワ・ミステリ文庫 スペンサー・シリーズ)
読了日:07月31日 著者:ロバート・B・パーカー
冊数は30冊だが初めて1万P突破!
読書人よ、俺を祝福しろ!!
先月読んだ新刊の話題作のお勧めは『ユダヤ警官同盟』 と『川は静かに流れ』 かな?
先々月読んだ『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女』 より素晴しいと思う。
『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女』 は男に都合の良いシチュエーションが古い。
リスベットはフェラチオ強要された時に、
男のチンチン噛み切るべきだと思ったよw
リスベットは14歳に見えるけど本当は24歳だから、主人公は、
リスベットとセクースしてもロリコンではないのだよという視点は笑たww
『沈黙』 ロバート・B・パーカー 菊池光 訳 早川ミステリ文庫
スペンサーシリーズ26作目。
本書のベストセリフ
「誇りを持って自分のことを公表するゲイの人間が増えるのは、
我々の性的特質の妥当性の完全な認知に向けて一歩前進することだ」
ホモ達の痴情の縺れ殺人事件キタ━━(゚∀゚)━━!
同性愛、人種差別に加え、ストーカー問題も今巻のテーマであるが、
エンタメとしてスペンサーの漫才に磨きがかかるのがまた素晴しい。
前作で開発した新しいギャグがスペンサーの持ちネタとして固定されたなw
汎用性の高い無敵のツッコミ返しに爆笑せよ!
ホークの悲惨な少年時代が始めて語られる巻だが、
単純なお涙頂戴にならずに、ユーモアを忘れないパーカーは一流。
しかし、ホークにあんな過去がある巻で、
スペンサーがスーザンに男装させてセクースを企むのは、
ホークとスペンサーがホモに目覚める伏線か?w
最終巻はやはりスーザンが殺されて、
ホークとスペンサーが結ばれてハッピイエンドだよな?ww
『ヨハネの剣』 山田正紀 講談社文庫
「ヨハネの剣」
「マッカーサーを射った男」
「雪のなかのふたり」
「伊豆の捕虜」
「闇より来たりて」
「アナクロニズム」
「ブロンコ」
「コルクの部屋からなぜ逃げる」
「優しい町」
『ヘロデの夜』 の原口一族の物語のアーキタイプが入っていたとは!
意外な収穫。
マルセル・プルーストを主人公にした話もあるので、
「失われた時を求めて」を読む必要が無くなりお値打ちw
「アナクロニズム」はスチームパンク+P・K・ディック /2みたいな感じで、
しかも『ディファレンス・エンジン』より発表は早い!
サイバーパンク、スチームパンクのブームの前に、
それを軽々と超越した作品を書いていた正紀 の天才性を再認識しました。
全ての面白いアイデアは正紀 がとっくの昔に発見していたのであ~る。





