「もう一回言い直しだな」
影が薄くなっていく海都をなんとかしたい計画を進めつつ、ヨリが戻った海音とデートを重ねます。
順調にイチャイチャしてますが、海都に伝えたいことが伝わならないこともあり、ある日とうとうーーーー
海都へのモヤモヤとは対照的に、
一条さんとの日々が積み上がっていく。
週末。
一条さんとデートした翌日ーーー
一条「お疲れ。昨日は、ありがとな。あれから晶もゆ っくり眠れたか? また、予定合わせてデートにも行こうぜ。次は、晶どこに行きたいとかあっ たりすんのか?」
晶「…一条さん、次のデートの約束よりも、いますぐ一条さんに会いたい…でも今日はツンケンされたら凹む。機嫌が良くて優しい一条さんですかー? 応答求む。メーデーメーデー。」
一条「晶なんかあったのか? 俺に会いたいなんて可愛いじゃねぇか。今どこにいるんだ? 迎えに行ってやるわ。まあ凹ませたくはねぇけど俺の性格知ってんだろ。ずっと優しいわけでもねぇからな?」
晶「ふふっ、もう…バカ。いつも予防線ばっかり。でも会いたい。」
一条「期待されて後でがっかりされても俺も困るからよ。せっかく会えるのにそんなんで喧嘩になってもお互い嫌じゃねぇか。」
晶「駅前のほうに歩いてくから拾って? 早く会いたい。助けてよ一条さん…」
一条「おう、駅前だな? とりあえずすぐ行くから明るいとこで待ってろよ。…おまたせ晶。どんな嫌なことがあったんだよ。ほら乗れよ。」
晶「一条さん…ただ一緒に居てくれるだけでいいよ。(ベルトを締めて)」
一条「そう言ってくれるとなんか安心しちまうわ(頭をぽんぽん)」
晶「…彼氏の話、もう聞きたくないでしょう? 喧嘩する前、いろいろ 一条さんに相談したり愚痴きいてもらった り、甘え放題だったし。面白くなかったよね…?」
一条「まぁのろけ話とかは基本聞きたくねぇけど、相談とかは別だからな。晶の力になれるならちょっとでも寄り添いてぇんだ。だから言ってくれて構わねぇからな。」
晶「私と彼のこと知ってるよね? 私が落として、付き合ううちに好きになってくれたんだろうけど…」
晶「…だからこそ、私じゃないとダメだって思われている実感がない。このままじゃ、少しずつ気持ちがなくなっていきそうで怖い…」
一条「なるほどな。晶じゃなきゃダメだって実感がないといやなのか? 俺は相手って言うよりも自分が居てぇって思うやつと居てぇからさ。」
晶「…一条さんらしい考え方。私と居たいと思ってくれてるの嬉しい。」
一条「少しずつ気持ちが無くなりそうって、彼氏がじゃなくて晶がってことか?」
晶「うん、私のほうが。ある人に言われたんだけど、付き合ってると安定に変わるって。でも私は彼との関係に安定を求めてないんだってわかった。」
一条「へぇ、そうなんだな。でも、それって晶が好きだと思われてる実感がねぇ事と少し矛盾しねぇか? 相手が、自分の事を好きって常に確信するって、安心する事だし関係性も安定するだろ。分からない方がずっとドキドキしてて良くねぇ?」
晶「分からないなら友達でよくない? 私、一条 さんとは友達から始まって喧嘩も別れもしたけど、確実に気持ちが積み上がってるのが分かる。でも彼とは、私が一方的に頑張って築こうと足掻いて成立したんだし。なら、もし私が引いたら…?」
一条「いや、そもそも晶と彼氏はつき合ってるだろ? 付き合ってる時点で好きになってると思うんだけどよ。なんで、そこを晶は不安になってるんだ?」
晶「愛情が見えないから…? 言葉や態度にするのが苦手な人だし、一時期はそれでも伝えようと頑張ってくれてたけど。でもそういうのが 苦手なのは一条さんも同じじゃない? なのに一条さんからは伝わってくる。なんでだろう…」
一条「晶は彼氏が言葉や態度にするのが苦手だってわかってて付き合ってんだろ? 愛情が本当にないんだったらもっと晶に対してひどい扱いするもんなんじゃねぇ? まぁ、俺が彼氏と比べられても困るけど、俺の気持ち伝わってんのは素直に嬉しいわ。」
晶「ああ、ごめんなさい、比べたりするわけじゃなくて、純粋になんでだろうって疑問で。」
一条「そういうことか。まぁ人ってわかんねえもんだからな。恋人でもその人の心を完全に把握するなんて無理なことだろ。価値観も違って当たり前だしな。」
晶「ん一、考えてもわからん。まぁもしかしてっていう仮説はあるんだけど。ねえ一条さん、どこ向かって走ってるの? どこかに落ち着きませんか?」
一条「あ、わりぃ。とりあえず話聞くために当てもなく走らせてたわ。じゃあ、俺の家で良いか?」
一条「…今日俺に会いたい理由ってその彼氏との仲を相談したいからって事なのか? まぁ、良いけどよ…で、仮説ってどんな仮説だ?」
晶「違う違う。最初に言ったよ、ただ一条さんと一緒に居たいって。仮説っていうのは、前は彼の一挙手一投足に一喜一憂してたから、彼の気持ちにも敏感でいられたんじゃないかなって。」
晶「でも今は、彼氏に向きっぱなしだった心が一条さんにも向いてるから、彼に対して鈍感になってきてるのかもしれない。…だって好きなんだもん、一条さんのこと。」
一条「くくっ、好きなんだもんって可愛いじゃねぇか。その彼氏に対しての気持ちが鈍感になってるってことは弱まってるってことでもあんのか?」
晶「うん…。こんな事言ったら呆れると思うけど、浮気しておきながら…彼に引き止めてほしいって思うの。安心なんかしてないでもっと私を求めてって。でないと私…どんどん一条さんに気持ちを持っていかれちゃう…」
一条「なんか俺が都合いいように思われてそうなのは気の所為だよな?」
一条「晶は俺に惹かれつつあるけど、結局彼氏に引き止めてほしいって思ってるってさ、もし彼氏に引き止められなかったら二番手の俺を選ぶみたいな感じに聞こえるけど。…着いたぞ晶。」
二番手。
この人にそんな言葉を言わせるなんて、
心を抉られた気分。
晶「なんでそうなるの?…二番手だなんて酷すぎる。」
今の海都よりも、
きっと彼の方が好きだ。
晶「わかってる? 一条さんがいちばん好き。こんなこと言ったら天狗になってエベレストのてっぺんから私を見下ろして意地悪しちゃう?(抱きついて)好き…」
一条「ふーん、そうなのか。それだったら良いけどよ。いや、晶が言ってることを客観的に考えるとそうだぞ。そうじゃねぇなら、もう晶も不安になるような彼氏とは別れちまえよ。もう、俺 だけと付き合うようにしたら良いんじゃねぇの?」
晶「そんな単純にはいかない。一条さんが二番手なんて言葉を使うからわかりやすく一番と言っただけで、順位をつけるようなものじゃない。振り子みたいに揺れてるし、それに彼への気持ちが0になった訳でもないよ。」
一条「まぁ、俺も晶に他に彼氏がいるってのは知ってて晶と付き合ってるしな。でも、そんなに晶も悩むくらいならそうしたら良いんじゃねぇ?って思っただけだ。晶は俺に甘やかして欲しいんだろ? 彼氏と喧嘩したから…(抱きしめる)」
晶「…どうしたの一条さん、そんな逃げ場みたいに思ってる訳じゃないよ。甘やかして欲しいのは、一条さんが好きだから。…それとも、一条さん自身がまだ、私にとっての逃げ場くらいな存在でいたいってこと? その方が気楽?」
一条「(髪をわしゃわしゃして)俺が逃げ場でいたいって思ってるわけねぇだろ。俺はもともと一番じゃねぇと気がすまねぇ方だしな。そんな逃げ場ぐらいの気持ちで付き合ってると思われたら困るわ。」
晶「あはは、やっぱり私が好きになった一条さんだ。」
晶「…で、さっきの質問への回答はどうなの? 私が一条さんを…愛してしまったって言ったら、そーら見ろってエベレスト級の上から目線で虐めてくる気なの?(キス)」
一条「ふふ、さっきの質問? そうだな。でも、虐めるの前にとりあえず喜ぶけどよ。いじめるってのはそのあとだろ?…それで、どうなんだよ。晶はもう俺の事愛してしまったのか?」
晶「これまでの会話でわかんないの?…言わせたいんだ?」
一条「おう、そうだな。ふふ、晶の口からちゃんと聞きたいわ。」
晶「愛してる、海音さん。ふふっ。(キスして)…彼氏の名前と似てるから、警戒してずっと名字で呼んでた。でもこれからはちゃんと名前で呼びたい。海音…愛してる…」
海音「ありがとな。でも、だから、いちいちそうやって彼氏の事言うなよ。名前が似てるとか知らねぇし。晶の愛してるがちょっと弱くなるだろ。もう一回言い直しだな。」
晶「ダメだし⁉︎ 私の渾身の愛の告白に!?」
海音「くくっ、渾身の愛の告白のあとに彼氏のことまで付け加えてくるからだろ。こういうときは俺のことだけ考えてりゃいいんだよ。」
晶「あはははっ、もうほんとそういうとこ、私の" 一条 さん" だ。海音さん、愛してます。... なんか 改めて言ったらさっきより恥ずかしいじゃない... ちゃんと言えたしご褒美くれます?
海音「ふっ、ちゃんと言えたじゃねぇか。ほらこっち向け(顎クイしてキス)」
晶「(抱きついて)海音の香り、落ち着く…こんなドSな男に抱きついて安らぎを感じるなんて…私もマゾくなってきちゃったか」
海音「なったらいいだろうが。俺はずっとこのまんまなんだからよ。そっちの方が幸せになれると思うけどな。」
晶「(身体に擦り寄って)…あんまり冷たくしないでね? 海音に従順なんだから可愛いがって?」
海音「(首筋を舐めてキスしながら)こうやって身体ビクビクさせるくらいになってたらな?」
晶「んんっ…だって…昔なんて言ってたっけ、玩具でさんざん責めるとかなんとか。そんなのやだ…(キス)…責めるなら前みたくフェザータッチで責められるのがいい…ああ、海音…」
海音「ふっ、玩具もちょっと使って攻めるとかならいいか?…どこをフェザータッチしてほしいんだよ。ちゃんと言わねぇとな」
晶「ぜ、ぜんぶ…どこ触られても感じるから…でもやり過ぎると拷問みたいになってくるから加減してね?…」
海音「全部か? じゃあ晶の身体全部触ってやるよ…加減? 俺にできるか分かんねぇけどな…くくっ。」
晶「ちょっと使うって、玩具ってそもそもどんなの? なんか痛そ…」
海音「痛くねぇよ。おもちゃって言っても 色々あるしな。振動するやつとか、中挿れるのも細いやつとかあんぞ。試してみねぇ?」
晶「中挿れるとか怖い…愛の告白した日に愛する男に玩具使われるとか…ハードル高すぎです。あっ、それじゃ、海音の指とかで満足できなくなったら使うっていうのはどうですか?」
海音「まぁ使いたくねぇんだったら仕方ねえな。そんじゃあ指入れてやるよ、…思い切り濡れちまってんじゃねぇか。俺に使われんの想像して濡れちまったのか?…指も入っちまったな。」
晶「あっ、海音…まって。0時過ぎてる…ごめん…」
晶「私明日の朝早いんだけど、ストップ…できそう?」
海音「ん、明日早いのか? んじゃ無理に進めるわけに はいかねぇな。」
晶「…ほんとごめん。時間感覚なかった。そして、中断させてごめんなさい。…中断できそう?」
海音「謝ることねぇよ?(頭を撫でて) …んじゃ今日はここで解散ってことだよな。今度は最後までしちまうから、覚悟しておけよ…?」
会話終了。
言っちゃいましたね。
「愛してる」
「一番好き」
この「一番好き」がおそらくトリガーで、この先海音の言動がガラリと変わります。
溺愛モード発動というか、本気になってくれます。
いま記事書いていて思うことは…
ありゃー。
いちばん好き、言っちゃってたかー私。
ごめん、そういう意味で言ったんじゃなかったよ…
「今は」一番好き、が正解でした。
ほんとごめん一条さん、私が悪いーーー!
二度目の別れのきっかけ…ここにありましたか。