経営の勘どころ・つかみどころ -13ページ目

Only one か? Number one か?

稲垣栄洋氏の著書「弱者の戦略」に感銘深いこんな一節があった。

SMAPのヒット曲「世界に一つだけの花」に「№1にならなくてもいい、

もともと特別なオンリー1」という歌詞があるが、生物の世界では№1しか

生き残れないという記述である。


それを証明したのが「ガウゼの実験」というもので、簡述するとそれは次のうなものである。

実験では、ヒメゾウリムシとゾウリムシを同じ水槽で一緒に飼うと、やがてヒメゾウリムシだけが生き残った。

次にゾウリムシとミドリゾウリムシを同様に一緒に飼うと両方ともに水槽の中で共存した。


前者の実験では両者とも水槽の上層の大腸菌を餌としていたが、後者の実験ではゾウリムシが上層の大腸菌を、ミドリゾウリムシが下層の酵母菌を餌とし、共に棲む場所と餌が異なっていたため共存できた。


この実験で示すとおり、自然界ではオンリー1となれる場所で、最強の№1でなければ生存できないというのが自然界のセオリーである。

すなわち、オンリーワンとは、自らが生きるべき場所・ポジションのことであり、その場所・ポジションで最強の№1でなければ生き残れないということである。


・・・と、氏は述べている。


さしずめ人間界ならば、ただやみくもに「一生懸命」に生きるのではなく、

自らの天職を探し出し、そこで「一所懸命」に生きるということなのかも!?

相続税大増税時代が迫って来た。資産移転1,000兆円の衝撃!


相続税の大増税の時代が目の前に迫って来た。

来年1月から相続税の基礎控除額が4割削減される。

これにより、首都圏では毎年10万人以上が相続税申告の必要が生じると予測されている。

死亡件数から見た割合は従前の20.9%から44.5%に倍増するとみられる。


日本は今や超高齢社会。国民の金融資産1,600兆円の内、2030年迄に相続で次世代に移転される資産は1,000兆円になるとの試算もある。この相続市場の急拡大を見込んで、今や銀行、信託会社、証券会社、保険会社等の金融機関は、猛烈な勢いで富裕層の囲い込み戦略を展開している。


年間50兆円と目される世代間の移転資産をめぐる争奪戦は既に過熱状態だ。

NISA、教育資金の非課税贈与、遺言、信託、成年後見等々、新聞の紙面を賑わさない日はない。


静かに余生を楽しむなどは、もう昔の話しになったようである。


2015年度予算編成 概算要求額! 過去最大101兆円!

来年度の各省庁の予算概算要求が出そろい、

その額は過去最大の101兆円台となった模様。

しかし政策的自由度は低く、財政硬直化が更に顕著になったようだ。


主因は医療・年金の31.7兆円、国債元利払費の25.8兆円、

地方交付税の16.1兆円、人件費の12.4兆円の四つの経費合計

で86兆円に及ぶことに尽きる。


政策に回せる裁量的経費は特別枠を含めても17兆に過ぎない。

超高齢・人口減少社会を抑制する地方創成や子育て支援策、

温暖化進展に伴う大規模災害対策、厳しさを増す安全保障・防衛政策、

TPPを睨んだ企業の成長戦略や農業再生政策等々、

未来の日本を創る政策に回すお金は、

概算要求額と比較しても驚くほど少ないのが実態だ。


為政者にとって「増税の甘い誘惑」はまだまだ続きそうだ。

法人税引き下げ2%?! 増税の風力が強まるなかでの減税の風?


アベノミクスも消費税増税の逆風を乗り越え、

成長戦略とデフレ脱却を確実なものとすべく、

法人税実効税率の引下げに着手した。


現在の法人税の実効税率35.64%を5年間かけて

ドイツ並みの29%台に引下げる方針だ。

手始めに27年度は2%引下げる検討に入ったようだが、

しかし、国民の税負担は既に今年の消費税増税と来年からの再増税、

更には相続税の大増税、上場株式の譲渡益課税や配当金課税の

税率10%から20%に引上げ等、増税の嵐に苦しんでいる。


加えて、円安と原発停止による物価高や燃料費高で、

生活コストや生産コストも上昇傾向にある。

人手不足感から賃金上昇懸念もくすぶり始めている。

長く続いたデフレ環境が障害となって、顧客心理はいまだに安値思考のまま。

中小企業は今なお価格転嫁が容易ではない状態に放置され続けている。


国民や中小企業がこの増税風を乗り切るには、

法人税引下げという減税の風を期待する前に、

いっそ、腹を括ってイノベーションに挑む以外に道はない。

喉元過ぎれば熱さ忘れる!


「3・11」から早3年が経過した。

今夏の電力事情は、震災後初めて原発ゼロの年を迎える。

しかし3年も時が経つとあの当時の計画停電やガソリン不足など、

自分達の生活を直撃した時の危機感はもうどこにもない。


世間の関心事は今や、アベノミクスだ、オリンピックだ、W杯だ、集団的自衛権だ、

などであり、「節電」は忘れ去られたかのようである。


今から100年前の1914年6月28日、東アジアからは遠いサラエホの地で、

オーストリア・ハンガリー帝国の皇太子夫妻の暗殺事件が起きた。

この事件を契機に欧州各国は大きく二つに分裂し、全欧州を巻き込む形で、

第一次世界大戦が勃発した。


軍人の死者1,000万人、民間人を含めると3,700万人の犠牲者を伴った

人類史上最大の惨事であった。


昨今の世界情勢は、1900年初頭の「それ」と似ているといわれる。

シリア・ウクライナ・イラク・南シナ海・東シナ海、朝鮮半島等々、

世界の各処で緊張が高まりつつある。


人類は100年前の、身を焦がすようなあの時の熱さを

決して忘れてはならないのだが・・・。

日本人は金持ちなのか? 貧乏なのか?


先月5月の新聞報道では、国の借金が2013年度末で1,024兆円であることが

財務省の発表で判明した。前年度末から33兆円も借金が増加したとのこと。

これで、日本人一人が背負う国の借金は、806万円となり、

2014年度末での借金総額は1,143兆円にまで膨らむとのこと。


一方で年間115兆円にのぼる社会保障給付費を賄うために、

国は毎年2兆円規模の負担増が避けられず、

消費税の再引き上げを含む更なる国民の負担増が懸念されている。


他方2013年9月時点での国民の保有する金融資産は1,600兆円あり、

企業の保有する金融資産も863兆円(内、現預金224兆円)あるといわれる。


果たして日本人は金持ちなのか貧乏なのかよく分からなくなるが、

確かなことは、日本人は確実に少子高齢化に伴う

「人口貧乏」になりつつあるという事だ。


バブル崩壊後20年間の長きにわたり、

日本人はわが身を守ることに汲々として、

他を顧みることを忘れてきたようだ。

特に未来を繋ぐ新世代への心遣いが、

政府にも企業にも希薄であったように思う。

就職難民、非正規雇用、待機児童、賃金格差等の問題は、

新世代を粗末に扱ってきた結果であるように思われるのだ。


今の日本人は、金より大切な「人づくり」の面で、

大変貧乏になってしまったようだ。

日本人の心を覆う将来不安の元凶も、

今やこの人づくり貧乏にあるのかも知れない。

道徳と経済

「道徳を忘れた経済は罪悪である。経済を忘れた道徳は寝言である。」

二宮尊徳翁の名言句である。

 JTB社員が遠足バスの手配過怠を糊塗するため、

学校に生徒の自殺を仄めかす偽の手紙を届け、

遠足中止を企てるという不祥事が発覚した。


 韓国・珍島では旅客船が転覆して修学旅行の高校生300人超の

死者・行方不明者を出す大惨事が起きた。

事故原因は船体改造と過積載が疑われているが、

事故のさなか船長や乗組員が乗客の避難誘導を怠り、

いち早くを船を捨てて逃げ出していたことも判明し、

韓国民の怒りを買っている。


 二つの事件の共通点は商道徳や倫理観の著しい欠落と

身勝手極まる自己保身の醜悪な姿である。

職業人はおおよそ仕事への使命感や倫理観がなければならない。

仕事の中心に道徳心を据え、社会のために役立つ働きをすることが

職業人の役割であることを肝に銘ずべし。

ついにやって来た消費税増税時代! 今後の政策は成長か重税か?

 
新年度開始とともに17年ぶりに消費税率が8%に引き上げられた。

増税前の駆け込み消費で一部に欠品や納品遅滞などの混乱が生じたが、

概ね大過なく増税の日を迎えたようだ。


同日、領収書に貼る印紙税も3万円から5万円未満へと非課税限度額が

引き上げられ、経理現場ではプラスワンの対応が求められる。


消費税増税分は全額が社会保障費の財源に当てられるが、

今回の増税だけでは膨張する社会保障費の財源を賄うことはできず、

来年10月には10%への税率引き上げが決まっている。


国家財政も企業経営も「入りを図りて、出を制す」が基本である。

税収を増やす方法は、景気を良くして税収を増やすか、

国民に我慢を強いて増税をするかである。


アベノミクス第三の矢が力強く放たれることを切望したい。

新冷戦時代に突入するのか? ウクライナ危機の行方!


平和の祭典:ソチ冬季オリンピックに目を奪われている間隙を突く形で、

ウクライナ危機が予想もしなかった方向に動き出した。

ロシヤによるクリミア併合という、まるで19世紀の列強による

領土拡張を彷彿とさせる大事件が勃発したのだ。


欧米はこれに激しく反発し、日本を含む主要7カ国は

ロシアをG8からキックアウトする動きに出た。

ロシアに対する経済制裁の強化も排除しないとするG7に対して、

ロシア側も一歩も譲る気配を見せず、対抗心を剥き出しにしている。


このままでは、対立がエスカレートし、「新冷戦時代」さながらの構図

となる可能性が大である。

戦後70年間維持されてきた国際秩序だが、

今回のロシアによる国境線変更の現状を看過した場合には、その悪影響は

やがて東シナ海や南シナ海にも及び、極東地域にも風雲急を告げる事態と

なることすら想像に難くない。


どうやら私たちは、「平和を守る」という言葉に正面から向き合わねばならぬ

時代を迎えたようだ。

事業革新:INNOVATIONはどこから生まれるのか!

「僕はミドリムシで地球を救うことに決めました。」

植物の光合成と動物の特徴を備えたミドリムシの大量培養に世界で初めて成功。

革新的な事業化を果たしたのが㈱ユーグレナの出雲充氏である。


出雲氏は2012年、32歳の若さでダボス会議でヤング・グローバル・リーダーに選出されている。

氏の起業の原点は飢餓に苦しむ人を救いたいとの思いで、

学生時代に訪問したバングラデシュの旅にあった。

ところが、彼の地で飢餓で苦しむ人はおらず、炭水化物しか摂取できない

栄養失調の人々が大勢いる事を知った。

その後東大・文系から農学部に転身して、ついにミドリムシにたどり着いた。


しかし、ミドリムシは大量培養が難しく、研究もあまり進んでいない事を知る。

普通の人ならばここでたいがいは諦めてしまうところだ。

しかし、出雲氏の場合は違った。

世界の人を救いたいという強い思いが、困難とも思われた壁を打ち破り、

ついに、石垣島でミドリムシの大量培養に成功したのだ。

既に普及のために設立した㈱ユーグレナも、マザーズに上場し、

本格的な事業展開が始まっている。

今後、ミドリムシが添加された食品が世界の貧困地域の人々の栄養改善に

大きく貢献する日がやってくるだろう。


2020年までには、ミドリムシから取り出した燃料でジェット機を飛ばす

計画にも着手し、出雲氏の夢は途方もなく多きく膨らんでいる。


世界を驚かせたSTAP細胞を発見した小保方晴子さん。

彼女も「子宮を失った女性を救いたい。」という一念で理系から再生分野に転身した。

寝食を忘れ、めげる心を自ら奮い立たせ、研究に打ち込んだ結果、

30歳の若さで見事、ノーベル賞級の偉業を達成したのである。


二人の共通点は人のために役立ちたいという強い志である。

事業革新は金欲や出世欲などではなく、高邁で強い利他心から生み出されるのだ。