新年度に入り、

 

進級や進学、就職をはじめ

 

多くの人々が新しいスタートを

 

きったことでしょう。

 

自分は何ができるのか、

 

どのようなものであるのか、

 

期待とともに

 

不安も入り混じりながら迷い、

 

悩む時期でもあります。

 

 

次のような言葉があります。

 

人とは、

 

自分が把握しているよりも

 

遥かに多くのことを成しうるもの ―――

 

 

孫子の兵法、

 

敵を知り己を知れば百戦危うからず。

 

これも含蓄のある格言ですが、

 

これと対比するのではなく、

 

人とは自分のすべてを

 

把握できるような存在ではない、

 

すべてを分かるものではないけれども、

 

自分が把握している以上の

 

多くのものを成すし、

 

成すことができるもの、

 

という一言もまた素晴らしい。

 

空虚感の漂う根拠のない

 

応援のようなものの類ではなく

 

人の本質を端的に表している、

 

哲学的な思考からきている言葉です。

 

 

たくさんの出会いや

 

縁に恵まれたおかげで

 

いまの自分があるという感謝の気持ちを

 

多くの先輩方から伺ってきました。

 

自分がかつて

 

想像してきたこと以上の

 

いまの自分があることに感謝し、

 

そして、

 

人には推し量ることのできない

 

表し得ない

 

何かがあるものなのだと

 

充分に理解することができる。

 

 

これらは、他力本願や

 

誰かや何か不確かなものに傾倒し

 

寄りかかること、

 

幸運がやってくるのを待ち、

 

運を天に任せるような

 

安易なことをよしとしているわけでは

 

ありません。

 

本人の迷いや試行錯誤、

 

自分なりの頑張りがあってのものであり、

 

この先にこそ、

 

それだけではない何かが

 

間違いなくある、

 

確かにあったと言えるような自分で

 

あることができるのです。

 

 

何度チャレンジしても

 

思うように結果がでないことも

 

あるなかで、

 

自分を分かったかのように卑下し、

 

ムリだと決めつけ諦めるのは

 

もったいない。

 

心の持ち方として、

 

萎縮せずに挑む気持ちをもち、

 

臨む姿勢をもつことが

 

いかに大切か、

 

誰しも経験があるものと思います。

 

始めから可能性を狭めずに、

 

未来を見据えていまを生きることは

 

人だけがもつ

 

とても尊いことなのです。

 

 

成ったこと、

 

成らなかったことも

 

すべては己の糧となる。

 

そして、

 

切り拓き築いてきた道は

 

自分一人だけのものにはとどまらず、

 

同時代を生きる者はもちろん

 

後進や、後世への

 

何かしらの糧や道標ともなるのです。

 

ゆえに、

 

努力は必ず実を結ぶと

 

あらゆる面から

 

言い切ることができます。

 

 

stay hungry, stay foolish ―――

 

スティーブ・ジョブズ氏が

 

若者に贈ったスピーチのなかでも

 

よく知られているワンフレーズ。

 

特に、

 

stay foolish ―――

 

過去や前例にとらわれない言動、

 

既成概念を超える

 

発想や創意工夫、

 

周囲からは

 

無謀とも思える挑戦など。

 

表層的に

 

少し賢くなったつもりにならずに、

 

foolish のままでいること、

 

幼く無知で、

 

ものを知らない未熟さがあったことを

 

忘れずにいることの意味は

 

とても大きい。

 

 

日本の禅に興味を抱き

 

その禅に学んだジョブズ氏の

 

真に己と向き合い、

 

自己を探求して、

 

自分を深める姿勢と

 

取り組みを続けたこととも

 

通じるものがあるように思います。

 

 

振り返れば、

 

苦しいことも恥じ入ることも

 

多々あったなかで、

 

誰しもいまがあるもの。

 

私も恩師をはじめ

 

たくさんの方々のさまざまな表情が

 

思い浮かびます。

 

そして、ともに在る。

 

いまから、

 

ここから何をしていけるか。

 

これからも

 

試行錯誤しいていこうと思う

 

節目の春です。

 

 

追記(「ひめゆり学徒」与那覇百子さん(続報)」抜粋)

 

早くも新年度を

 

迎える時季となりました。

 

当会に入会して稽古を始めた仲間、

 

特に大人の方々からは、

 

身体の動きを覚えることが

 

なかなか難しいとのお話を

 

いただくことがあります。

 

その気持ちはよく分かります。

 

誰にでも

 

はじめの一歩があるものです。

 

 

昨日の稽古でも少し伝えました。

 

みなその最初があります。

 

ですが、

 

必ず慣れてくるときが

 

くるものであり、

 

自分のものとして手応えを

 

感じられるときがくるものです。

 

その時に、

 

初心を覚えているのは

 

とても大切なこと。

 

そして、

 

当初はできない自分があったことを

 

覚えておくことは、

 

視点をかえれば

 

慣れることよりも

 

難しいと言えるでしょう。

 

 

それは、


インドのヨガ、

 

アジア大陸を源流とし、

 

当会で連綿と受け継がれている

 

伝統はもとより、

 

ほかの学びでも仕事でも同じ。

 

何もできなかった自分を

 

忘れずにいることは

 

成長や向上心の源泉であり続けます。

 

そして

 

慢心やおごりを抑え、

 

学びの姿勢を持ち続けて

 

周囲にも優しさをもって

 

応じることができるのだと

 

思うのです。

 

 

もちろん、

 

私も空手道にとどまらず、

 

何においても

 

思い返すことが少なくありません。

 

当会に入った白帯のとき、

 

入社時や産業調査部に異動したとき、

 

等々。

 

いまは、

 

すべて自信に満ちていると

 

言い切りたいところですが、

 

それほどでもありません。

 

 

 

     桶川空手道会 1983年7月(木曜日道場)

  前列中央に矢部会長(赤帯)、二列目やや左に森(白帯)

 

 

多くの方への

 

感謝の気持ちは、

 

こうべを垂れるような、

 

身を小さくする思いとともに

 

でもあります。

 

 

誰もが、

 

はじめの一歩から始まる。

 

そして

 

その一歩をどこかで忘れずにいることが

 

着実な成長につながるのです。

 

 

継続こそが力であり、

 

努力は必ず実を結びます ―――

 

これからも

 

ともに頑張ってまいりましょう。

 

 

5つ再掲します。

 

意志と伝統

 

生涯にわたり、生涯ののちも

 

立禅

 

丹田

 

ヨガ(源流)