慶応義塾、決勝進出 | アマチュア野球をめぐる旅。

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高校野球を中心にアマチュア野球(ときどきプロ野球)の観戦記。

春季神奈川県大会・準決勝を観戦に横浜スタジアムに足を運んだ。

神奈川県大会は対戦カードに旨味があれば観客動員には春・夏・秋季や球場を問わない。
決勝戦は試合開始一時間以上前に入場制限する事も珍しくない高い観客動員が他地区では見られない特徴。


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試合開始1時間前でもハマスタを一周するほど行列


横浜、慶応義塾という神奈川高校球界を代表する両校の対戦に高校野球ファンは朝早くから列を作っていた。
試合開始直前には解放されていない外野席を除くと、ほぼ満席の観客動員には驚くばかりである。


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試合開始間もなくでほぼ満員のハマスタ


今季の両校の対戦は今回が初めてではない。
昨年10月16日に行われた仙台育英・硬式野球部 創部80周年記念招待試合の第二試合で対戦している。
試合は5-4で横浜が逆転勝利(試合の詳細はこちらから)。
その後、横浜は関東大会でも準決勝まで勝ち上がりセンバツ出場を果たしている。

一方、慶応義塾は横須賀総合に三回戦で敗れて消化不良な秋季大会を過ごしていた。
上田誠監督は「この春は優勝を遮二無二に狙う」と宣言するなど春季大会に懸ける想いは強い。
夏のシード権を取る戦いではなく、神奈川を勝ち抜き関東大会で経験値を積み上げるのが狙いとの事である。


試合は初回、慶応義塾が一回裏、二死二塁・三塁から5番・斎藤大輝の右前適時打で二点を先制する。
3番・谷田成吾の強烈なショートゴロを宍倉和磨がトンネルした直後の失点。
横浜は出鼻を挫かれた形である。
更に、三回と六回にも横浜内野守備陣の失策が絡み失点。横浜は見せ場無く慶応義塾に4-0で敗れた。


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内野ネットが張られていないハマスタは臨場感たっぷり


慶応義塾はエース・三宮舜が横浜打線を被安打4、奪三振9に抑えて完封勝利。
三宮は昨夏から主戦を務めるが、一冬を越えて安定感が増してワンランク上の投手にステップアップ。

力を入れたストレートが高めに浮いたところを痛打される悪癖は解消されていた。
更に大きな弧を描くブレーキの利いたカーブが、投球に効果的にアクセントを加えている。
初球に投じて打者の打ち気を逸らしたり、連投で目先を変えたり、配球が非常に巧妙であった。
このあたりの配球は捕手・木村健人とのコンビネーションと推測する。


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一年生から注目集めた慶応・谷田は3打数1安打(1四球)


投手として下級生から主戦を務めていた横浜・齋藤健汰が背番号3のユニフォームで一塁手として出場。
中本牧シニア時代から注目を集めた逸材で、昨夏の神奈川県大会・決勝戦では先発マウンドに上がっている。

齋藤は昨秋の慶応義塾との対戦では先発マウンドを任されながら、僅か2/3イニングで降板させられている。
関東大会でもセンバツでも登板機会が無かったが、一塁手転向には驚きを隠せなかった。

二年前の春季大会決勝(横浜商大戦)での1年生らしからぬ落ち着いたマウンド捌きは記憶に新しい。
昨秋の齋藤は体の使い方はバランスを欠き、リリースは投球毎にポイントを変えるなど不安定であった。

秋季大会・三回戦、桐光学園戦、慶応義塾戦と徐々に投球フォームを見失っている印象を受けた。
シートノックでのぎこちない送球から推察するとメンタル面に起因するイップスではないだろうか。
投球フォームの取り扱いは非常に繊細で、復調を図る事が極めて難しい作業である事を改めて考えさせられる。


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一塁手として出場する齋藤健汰(写真右)


横浜は先発した2年生の柳裕也に秋からの確実な成長の軌跡が見て取れる。夏に向けて一筋の光明である。
両コーナーに力強く配球する伸びのあるストレート、ブレーキの利いたカーブの完成度は高い。
昨秋から悪癖のない投球フォームであったが、筋力が加わり力強さを増して各ボールの精度を上げている。

それにしても、今季の横浜は非常に掴みどころの無いチームである。
各選手のプレイには所々ではセンスや才能の片鱗が垣間見える事があるが、チームとしては熱を感じない。

渡辺監督と小倉コーチが、どのようにチームを仕上げて夏の大会に臨んで来るのだろうか。
夏の大会での横浜の戦いぶりを楽しみにしたい。


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試合終了後のスコアボード



「横浜対桐光学園」(弊ブログ・10年9月13日付け記事)
http://ameblo.jp/go-baseball-studium/entry-10646748014.html