第13回シドニー国際ピアノコンクール セミファイナル 第2日 | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

オーストラリアのシドニーで開催されている、第13回シドニー国際ピアノコンクール(公式サイトはこちら)。

7月13日は、セミファイナルの第2日。

ネット配信を聴いた(動画123)。

ちなみに、第13回シドニー国際ピアノコンクールについてのこれまでの記事はこちら。

 

第12回シドニー国際ピアノコンクール ファイナル結果発表

第13回シドニー国際ピアノコンクール 出場者一覧

予選 第1日

予選 第2日

予選 第3~5日

セミファイナル 第1日

 

 

 

 

 

28. Yuanfan YANG (2 January 1997)

 

Franz Schubert: from 4 Impromptus D.935

Helmut Lachenmann: Five Variations on a Theme by Franz Schubert

Sergei Rachmaninoff: Variations on a Theme of Corelli Op.42

Robert Schumann: Carnaval Op.9

 

ピアノはカワイ。

予選のシャコンヌなど聴いたときには、今回の強者たちの間であまりパッとしないかと思ったが、セミファイナルは会心の出来。

彼の、派手さはないけれども鄙びたような粒立ちのいい自然体の音が、いずれの曲でもよく活きており、音楽のつくりも丁寧。

そして、審査対象ではないのだろうけれど、アンコールの即興演奏が圧巻。

「ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番の主題の、バロックおよびプロコフィエフの様式によるパラフレーズ」という聴衆からのお題を、何なくさらりとこなしてしまう。

こんなにすばやく、一瞬でゼクエンツやフーガ、プロコフィエフ風和声のパッセージが作れてしまうなんて、そんじょそこらの(右手が派手なだけの)単純な即興とはわけが違う、天才の所業としか言いようがないと思うのだが、これくらい皆できるのだろうか?

この即興演奏、ぜひご覧いただきたい(1:22:42~)。

 

 

23. Vitaly STARIKOV (8 May 1995)

 

Frédéric Chopin: from Nocturnes Op.48

Frédéric Chopin: Scherzo No.4 in E major Op.54

Robert Schumann: Symphonic Etudes Op.13

Franz Liszt: from 12 Lieder von Franz Schubert S.558

Dmitry Shostakovich: Piano Sonata No.1 Op.12

 

ピアノはカワイ。

彼もまた、予選のペトルーシュカなどではテクニック的に今回の面々の間で厳しいかと思いきや、セミファイナルではスケルツォ第4番や交響的練習曲など、余人の同曲演奏よりもよく弾けている。

テクニシャンではないが、弾けると思ったら弾けないけれど弾けないと思ったら弾けるような、不思議な人である。

全体に、豊かかつ節度ある歌があって、音楽的。

 

 

03. Junyan CHEN (9 August 2000)

 

Sofia Gubaidulina: Piano Sonata

Béla Bartók: Studies for Piano Op.18

Franz Liszt: Piano Sonata in B minor S.178

 

ピアノはカワイ。

相変わらず情熱的な演奏で、聴きごたえがある。

ただ、予選でのデュティユーのソナタ終楽章やヴァインのソナタ第4番ほど圧倒的なところはなく、バルトークもリストももう少しキレがあるとなお良かったか。

できればファイナルでの演奏も聴きたいのだが、こうなるとみな拮抗していて、誰がファイナルに進むのか全然分からない。

 

 

25. Reuben TSANG (29 August 2003)

 

Muzio Clementi: from 3 Piano Sonatas Op.40

Sergei Rachmaninoff: Etudes-tableaux Op.39

 

ピアノはカワイ。

明るく素直で開放的な音色と歌心が良い。

ただ、細部がぶっきらぼうな箇所もあり、今回の面々の間にあっては少し若いかなといった印象もある。

テクニック面も、かなり弾けてはいるのだが勢い余ってなのか粗さもみられる。

とはいえ、こういうタイプが協奏曲で威力を発揮するパターンも往々にしてあるけれど。

 

 

26. Wynona Yinuo WANG (9 October 1996)

 

Leoš Janáček: Piano Sonata 1.X.1905 in E♭ Minor

Maurice Ravel: from Le tombeau de Couperin M.68

Sergei Rachmaninoff: Piano Sonata No.1 in D minor Op.28

 

ピアノはカワイ。

ラヴェルはCarter JOHNSONの同曲演奏に比べ、またラフマニノフはKorkmaz Can SAĞLAMの同曲演奏に比べ、技巧面のスムーズさで劣っており、音色も小ぶりで硬いのだが、独自の音楽性があって、色彩面ではむしろ優っている。

どちらのタイプを評価するかは、好みが分かれそう(私はCarter JOHNSONやKorkmaz Can SAĞLAMのほうを推すのだが)。

 

 

27. Junlin WU (12 December 1997)

 

Robert Schumann: Davidsbündlertänze Op.6

Sergey Prokofiev: Piano Sonata No.6 in A major Op.82

 

ピアノはカワイ。

シューマン、まるでリストのように巨大化された演奏だが、これはこれでサマになっている。

プロコフィエフ、前日のJeonghwan KIMのキレのある同曲演奏に唯一足りなかったパワー面が、ここでは存分に発揮されており、やはりプロコフィエフはこうでなくてはと思わせられる。

彼は、ファイナルに進む可能性が高そう。

 

 

 

 

 

そんなわけで、第2日の演奏者のうち、私がファイナルに進んでほしいと思うのは

 

28. Yuanfan YANG (2 January 1997)

23. Vitaly STARIKOV (8 May 1995)

03. Junyan CHEN (9 August 2000)

27. Junlin WU (12 December 1997)

 

あたりである。

それでもやはり例によって、誰が選ばれてもおかしくなさそう。

 

 

 

 

 

第1、2日を併せて、ファイナルに進める人数である6人を選ぶとすると

 

第1日

11. Carter JOHNSON (25 September 1996)

22. Korkmaz Can SAĞLAM (18 October 1999)

12. Uladzislau KHANDOHI (7 October 2001)

 

第2日

28. Yuanfan YANG (2 January 1997)

03. Junyan CHEN (9 August 2000)

27. Junlin WU (12 December 1997)

 

あたりになる。

Carter JOHNSONとJunyan CHENは贔屓目で選んでおり、実際にはなかなか厳しいかもしれないが、どうなるか。

なお、第3、4日は二巡目というか、同じ奏者たちが別のプログラムを演奏する(室内楽)。

それを聴いたら、また印象が変わって別の6人を選ぶことになるかもしれない。

 

 

 

 

 

次回(7月14日)はセミファイナルの第3日。

 

 


音楽(クラシック) ブログランキングへ

↑ ブログランキングに参加しています。もしよろしければ、クリックお願いいたします。

 

YouTube(こちら)やTwitter(こちら)もよろしければぜひ!